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「国際薬物乱用・不正取引防止デー」悪意感じる国の取組み

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アントニオ・グテーレス国連事務総長 出典:Flickr; Chatham House

田中紀子(ギャンブル依存症問題を考える会代表)

【まとめ】

・国連のコンセプトと真逆の広報をする厚労省。

・薬物問題を言葉でなく具体的な「回復」や「再起」への道示すべき。

・厚労省の対応は、薬物依存者の家族を失望させている。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46819でお読みください。】

皆さまは、国連により6月26日が「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に定められていることをご存じだろうか?

国連のホームページの中に、今年の「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に対する、国連事務総長アントニオ・グテレス氏のメッセージが書かれているので、是非ご一読頂きたい。中でも重要と思われる箇所を抜粋すると、

今年初め、麻薬委員会で、加盟国は「人々が安全、繁栄しながら健康、尊厳、そして平和に暮らせるように、権利と健康に基づいた薬物への対応のために共に取り組む」ことを約束しました。

私はすべての政府にこの誓約を守るよう呼びかけます。(中略)人権に基づく、性別や未熟な年齢の薬物予防、薬物使用およびHIVのための治療およびリハビリテーションサービスを意味し、スティグマも差別もなしに提供されます。

家族、学校、地域社会は、特に薬物乱用の影響を受け、ひどく長期的な影響を与える可能性のある若者を支援するうえで、きわめて重要な役割を果たしています。若い人たちと一緒に、そして若い人たちのために薬物使用を防ぎ、若い人たちがより健康的な生活を送れるように助け、力と回復力を持って人生の選択を進めましょう

と、「国際薬物乱用・不正取引防止デー」は、特に若者を薬物使用から守ることと同時に、薬物使用をしてしまった若者たちが、排除されることがなく健康が回復できること、そして麻薬の不法取引を根絶する、というコンセプトのもと制定されている。

ちなみに、こちらの日本の国連広報センターには、前国連事務総長のコフィー・アナン氏、潘基文氏のメッセージが掲載されているので、こちらもあわせてご一読頂きたい。

さて問題は、これらの国連決議に対する、日本の取組みである。

このポスターをご覧いただきたい。

▲画像

相も変わらず「ダメ。ゼッタイ。」の一辺倒だが、しかも今年は、薬物乱用の行きつく先は「破滅」しかないという、国連のコンセプトとは真逆のものを広報しているのだ。

これでは、薬物乱用に苦しむ若者を救うどころか、「お前らなんかどうなっても知らない」と厚生労働省(イニシアチブをとっている部署がどこなのかは、ハッキリしないが監視指導・麻薬対策課あたりか?)と、都道府県は職務を放棄したも同然ではないだろうか。

そもそも「ダメ絶対運動」は、1998年に、国連が「国際薬物乱用・不正取引防止デー」を制定したことに端を発した運動だが、日本ではこの「国際薬物乱用・不正取引防止デー」を勝手に「国際麻薬乱用撲滅デー」と名前を変えてしまった。そして、末端の使用者を極悪人の様に仕立て上げ、「ダメ絶対!それを守れない奴は人間失格」とスティグマを強め、世界中で最も警戒し力を入れている、不正取引の方は切り捨ててしまったのである。

「ダメ!絶対」と叫び続けるだけなら、なんの苦労も努力もいらないではないか。

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