- 2019年07月09日 07:00
AIが株式ポートフォリオを提案する新サービスは「老後2000万円問題」の解決策になるか?
2/2ネット証券流行の裏側で離脱ユーザーの増加
煩雑な分析も必要なく、なによりAIがポートフォリオ提案で投資をサポートしてくれる。しかし、そもそもなぜ日本ではここまで投資が流行らなかったのだろうか?
SMBC日興証券の丸山氏によると、その理由に投資スタイルの変遷が理由として挙げられるという。

――丸山氏(SMBC日興証券株式会社)
「ネット証券が登場するまでの100年間、ずっと営業員が対面でお客さまを対応するビジネスモデルでした。
しかし、ネット証券が始まった1999年からは、お客様が自分で考えて自由に取引していただくモデルへと移行してきました。これまでずっと営業員が伴走していたものが、急に個人で考えて運用していくものに変わったのです。
運用初心者の方にとっては、自らの知識や経験が必要になったこともあり、投資に対するハードルが上がった側面もあります」
ネット証券の登場から20年、営業員がいないネット証券からの離脱層に対するサポートサービスの必要性を感じたそうだ。投資を始める前から離脱するユーザーも少なくないという。
口座開設してみたものの難しくて株取引をしていない“休眠口座”が、ネット上には無数に存在している。そのようなユーザーの手助けになるのではないか?と始まったのが、AI株式ポートフォリオ診断だという。
金融業界はAIを活用する上で絶好の産業だった
自社ユーザーの休眠口座の解消から投資×AIに着目し始めたSMBC日興証券。では、AI開発のHEROZはなぜ投資に着目したのだろうか。元々証券会社に在籍していたHEROZ CFOの浅原氏は「証券業界や金融業界には、AIが活用できる余地が十分にある」と語る。

――浅原氏(HEROZ株式会社 CFO)
「我々は、AIでさまざまな産業にインパクトを与えたいという思いがあります。
金融業界には構造化されたデータがたくさんあり、新しくデータを集めなくても、決算資料や株価データはデジタルデータですでに存在しています。つまり、AIに学習させる教師データがふんだんにあったのです。
AIと掛け合わせることで、産業にインパクトを与えられるだけの素地は整っていたので、ここでAIを活用しないわけにはいかないだろうと思いました」
AIが株式ポートフォリオを提案することによって、ユーザーが買いに走りチャートに影響することはないのだろうか?
――浅原氏 「同じ銘柄を集中して推奨することはないように設計されています。提案内容を極力分散させ、また活発に取引されていない銘柄も推奨しないため、チャートになるべく影響が出ないようにしています」
AI株式ポートフォリオ診断でマーケットの活性化を促す
AIは現在さまざまな産業に適用されている真っ只中だ。まさに金融業界にAIを適用させた今回のプロダクトは、今後投資の世界や競合他社にどのような影響を及ぼすのだろうか?

――安田氏(SMBC日興証券株式会社)
「AI株式ポートフォリオ診断が与える影響は非常に大きいと思っています。普通人間では3000もの銘柄すべてを把握することはできません。
しかしAIなら、マーケットのすべての銘柄を把握するだけでなく、そのなかから瞬時でより良いものを選んでくれます。また、このサービスは自動運用するものではありません。そのため、お客様も自分の意思に沿った決断ができるのです」

――丸山氏
「投資の世界への影響というと、他社による類似サービスの追随などの懸念の声がありますが、私はそれが悪いことだとは思いません。私たちは今回の技術を特許申請しましたが、それはこの技術をただ縛りたいわけではなく、知的価値を見える化しただけにすぎません。
他社が参入することによって、投資家がさらにマーケットに入ってくる。マーケットをより盛り上げることに繋がるのではないでしょうか」
金融庁の発表から1ヶ月近く経ってもほとぼりが冷めない「老後2000万円問題」。
先日の発表に困惑していた人たちや投資初心者にとっても、今回のプロダクトが大きな手助け、きっかけになるのではないだろうか。
AI株式ポートフォリオ診断を皮切りに「貯蓄から投資」への流れが加速するかもしれない。

アメリカ在住中、技術革新により日々の生活が豊かになっていく様を肌で感じたことがきっかけでレッジに参画。映像制作や記事執筆など、多岐に渡ってこなす。テクノロジーが社会をどう変革していくかに興味がある。



