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1億円以上の資金調達に成功した23社のスタートアップ・ベンチャーにみる億単位のラウンドの共通項

5/15 13時 コロプラ社を追記し、23社に変更しております。

最近、1億円規模の資金調達のニュースが何社か飛び交い、これから億単位のラウンドを狙って資金調達に動いているスタートアップも多くなるであろうことから「1億円以上の資金調達」ネタはホットなトピックです。ちなみに昨年9月に私はTech Waveにこういう記事を寄稿しています。
日本に必要なのは1億円単位で出資する「Series B特化型ファンド」

既に先にWantedlyの仲さんが1億以上の資金調達を完了した、創業期のピカピカのベンチャーに今参画するべき。優秀な人こそ。という記事にて、直近のTech Crunchの記事を元に5社程度1億円以上のディールをまとめられていますが、本稿では「直近1年半での1億円以上の資金調達をしたディール23社」をご紹介し、1億円以上調達できる共通項を探ります。

まずは下記の図をご覧下さい。色分けに意味があります。(データが多いため見づらいでしょうが、写真をクリックすると画像が大きくなります
色の個数の多いディールは、何かしらのExitの確度が高そうな傾向にあると思われます。(全てのディールを拾えてはいないと思われるため、取り上げられていないディールがあればぜひご一報下さい。追記します
注:解散した会社は割愛しております。

リンク先を見る

ジャンルはゲームと写真とEC関連が人気

まずはジャンルですが、予想通りソーシャルゲーム銘柄は人気です。20億調達したgumiや5億調達したコロプラはじめ、ワンオブゼム、エムラボあたりがゲーム銘柄です。(カヤックはゲーム「も」あると思われるため一応ゲーム銘柄にカウント)こう見るとIVPはゲーム銘柄を好む傾向がありそうですね。(サンシャイン牧場のRekooにも過去投資しています)

写真に関しては、デコピックのコミュニティファクトリー、Snapeeeeのマインドパレット、FXカメラを買収したビットセラーの3社があります。 写真アプリに関してはFacebookのInstagramの買収があったことが関係しているのか、特に最近のディールはValuationが高騰しやすいのではないでしょうか。写真アプリの単体マネタイズは難易度が高く、写真アプリ事業をメインで続ける場合は売却でのExitが現実路線と思われます。

幅広く見るとEC関連銘柄がも多数あります。ドイツのロケットインターネットとITVなどから総額20億弱調達したロコンドを運営するジェイドをはじめ、話題のiQonのVASILYも。バックエンドサポート系ではアラタナやダイアモンドヘッドがあります。ラクスルも印刷通販という観点でここに入る。ITVがEC系(特にファッション)を好む傾向がありそうです。

いずれの分野も「スケーラブルであるか」や「Exitの確度が高そうか否か(写真はinstagramの例が大きい)」という点がポイントかと思います。

インベスターはGCPとITVの2強が目立つ

インベスターは億単位のディールに定評のあるグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)と伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(ITV)の2社の投資活動が目立ちます。この2社は業界でも評判が良いです。

GCP銘柄は23社中6社。美人時計、nanapi、みんなのウェディング、カヤック、ブイキューブ、ワンオブゼムとスケーラブルな可能性の高いプラットフォーム志向のディールが目立ちます。いずれもFacebookやGREE/モバゲーなどのプラットフォームの上に成り立つプロバイダーではなく、単体のサービスでプラットフォームとなりうる資質があります。

ITVは4社。ロコンドをはじめ、iQon、Snapeeee、スマポ。前者2社はファッション系であり、総合商社の中でも繊維に強いといわれる伊藤忠とのシナジーが見込まれると思われます。スマポに関してもオフラインの店舗との取り組みが必要になると考えられ、その点も事業シナジーが見込めます。Snapeeeとの事業シナジーはちょっと謎ですが、ITVは事業シナジーを追求する傾向にあると思われます。

ちなみにジャフコも3社ありますね…

シリアルアントレプレナーと経歴の良い経営陣が有利

経営陣を見ると、シリアルアントレプレナーや経歴の良い経営陣が出資を受けているパターンを見かけます。

シリアルアントレプレナー銘柄は、nanapi、FreakOut、スマポ、ビットセラーなど。投資家からしてみると、小さなExitでも良いので事業売却での成功体験がある経営者は成功の再現可能性が高いと判断され、投資ハードルはグッと下がるでしょう。確度の高いディールといえます。

経歴の良い経営陣でいうと、コンサル出身者とネット事業会社の2パターンが見受けられます。(投資銀行出身者は意外にいない。)ジェイド、ラクスル、スマポなどがコンサル出身。iQonはヤフー、ワンオブゼムはCAでピグの統括、コロプラはKLAB出身、みんなのウェディングはDeNAからのスピンオフです何もバックグラウンドがない起業家よりは明らかに有利に働くでしょう。

実際に投資家(特に億単位のラウンドの投資家)は経営陣のバックグラウンドをかなり見ていると思われます。事業領域は当然ですが、その事業と経営チームの掛け算という相性を見るでしょう。成功の再現可能性がある経営チームが昔経験してきた事業領域であると成功確度は高いでしょう。

3つの良い条件を満たした成功確度が高い銘柄

表の色付きの要素を3つ満たしている銘柄は3つ。(共通項が多いという観点で、ジャンル、インベスター、経営陣、の3つの確度が高い銘柄)あくまで判断指標の1つであると思って下さい。

VASILIY(iQON)=ファッションEC×ITV×ヤフー出身
ワンオブゼム=ゲーム×GCP/IVP×アメーバピグ出身
ジェイド(ロコンド)=ファッションEC×ITV×BCG/マッキンゼー出身

この辺は何らかのExitまで持っていける可能性が極めて高い「堅いディール」といえそうです。ここまで良い要素が揃っていて大外れすることはなかなかないでしょう。何かしらのExitにはなると思います。

他にもカヤックやgumiは遠くないIPOの噂をたびたび耳にします。個人的にはFreakOutやスマポなどは事業売却でのExitの成功確度がかなり高そうな匂いがします。

スタートアップにとっては億単位のラウンドは狭き門ですが、億単位の調達をしているからといってもちろん全てが成功しているわけではありません。ただ、億単位のラウンドを経験したスタートアップ・ベンチャーはExitへの大きな階段を一歩上ったことに違いはないでしょう。

億のラウンドの前のスタートアップこそ魅力的

億のラウンドを完了したスタートアップ・ベンチャーは当然採用に力を入れます。本メディアをご覧の方は経営者の方も多いと思いますが、スタートアップ業界に興味のある20代-30代の方もいることでしょう。大手ネット企業に入るより、億単位かそれに等しいラウンドのあるスタートアップに入る方がチャレンジングで面白いと感じ、そういう機会を求めている方も少なくないと思います。

しかし、億単位のラウンドが完了した以降のフェーズではいわゆるCクラスのポジションは埋まってしまっていることが多く、現場のone of themでしかジョインできなくなってしまいがちです。腕に自信のある方は、今回の要素を参考にしつつ、億単位のラウンドが完了する前のスタートアップへジョインすることをお勧めします。 初期メンバーでジョインした方が頭角を現せばCクラスもしくはCクラスでなくとも組織的に上の階層で事業を牽引する機会に恵まれると思います。

億単位のラウンドが完了する前の見極めるポイントは「事業領域(サービス自体の伸びと市場の成長性)」と「経営者の質」の2点です。若い経営者の場合は魅力的なバックグラウンドがない場合もあると思いますが、そういう場合はビジョンや信頼できるか否かなどの「人間性」にかけます。(魅力的なバックグラウンドがあっても人間性は当然重要)それに加えて「億単位のラウンドの噂」があれば3点セットで確度が高いです。

単独で億単位で入れてくるプレイヤーは事実上4-5社に限られ、あとは2-3社で共同で億単位となる場合があります。(金融系同士などに多い。)
億単位のラウンドのディールは年間15-20社程度と思われ、狭き門です。今後どういう傾向で億単位のディールが出てくるのか、そしてその後の事業成長はいかほどのものかに注目ですね。

今回の記事がスタートアップの経営者、および「イケてるスタートアップへ転職を検討する人」の参考になれば幸いです。

参考リンク

Venture now、Tech crunch、Tech Wave、各社HPから抜粋。

1. 美人時計、GCPから2億790万円を調達
2. nanapi、GCPから3.3億円を調達
3. みんなのウェディング、GCPから1億5,360万円を調達
4. T.C.FACTORY、KDDIらに対して総額1億6,800万円を調達
5. コミュニティファクトリー、ミクシィから1億8000万円を調達
6. 3Di、NIPファンド/エイチアイから総額約1億2,000万円を調達
7. 面白法人カヤック、VCファンド等から3億5,000万円の調達
8. VASILY、ITV/GMO VenturePartnersから総額1億4,000万円を調達
9. ブイキューブ、GCP/プレミアコンファレンシング/株式会社東電通から5億2800万円を調達
10. ロイヤルゲート、NTT-IP/みずほキャピタルから総額1億円を調達
11. ワンオブゼム、GCP/IVPから3億円を調達
12. デコ写真共有「Snapeee」、ITV/グリーから約1億円を資金調達
13. ロコンド、ITV/リードキャピタルから7億円を調達
14. エムラボ、IVP Fund IIから約1億円を調達
15. NEXTBOOK、シリーズAで1億2,100万円をVC/個人らから調達
16. ソーシャルゲームのgumiが20億円の資金調達を実施
17. ソーシャルコマースのアラタナ、ジャフコから1億円調達
18. ダイアモンドヘッド、ニッセイらVC3社から2億円調達
19. アドテクノロジーのFreakOutが3.5億円を調達
20. 印刷通販のポータルサイトのラクスルが1億1000万円を調達
21. ロケーション×ポイントサービスのスマポが1.5億円を調達
22. FxCameraを買収したビットセラーが4.2億円をジャフコから調達
23. コロプラ、KDDIから5億調達。時価総額は100億円

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