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2019年度に賃上げを実施した企業は1.3%減少、賃上げだけでは引き留めに限界か

 東京商工リサーチの調査によると、8割の企業が賃上げを実施しているが、昨年度より1.3ポイント減少。人で不足が深刻化する業界では、もはや賃上げだけでは難しい状況になりつつあるようだ。

 東京商工リサーチが発表した、2019年度「賃上げに関するアンケート」の調査結果によると、2019年度に賃上げを実施した企業は80.9%(前年度82.2%)で、前年度を1.3ポイント下回った。


 大企業(資本金1億円以上)で賃上げを実施したのは81.5%、中小企業(資本金1億円未満)では80.8%で、中小企業が賃上げをした割合は大企業を若干下回っている。

 賃上げを実施したと回答した6,223社のうち、賃上げの理由を複数回答で聞いたところ、5,569社から回答を得た。全企業で最多は「雇用中の従業員の引き留めのため」で44.5%。「雇用中の従業員の引き留めのため」は大企業が243社(34.5%)、中小企業は2,237社(46.0%)で、中小企業が大企業を11.5ポイント上回った。今年5月、日本商工会議所が最低賃金引き上げ反対を表明し、賃上げによる人材流出の抑制に限界も指摘されているが、中小企業は従業員の雇用継続が課題になっている。


 賃上げの実施理由を業種別にみると、回答数100社以上の業種では、人手不足が深刻な運輸業で「雇用中の従業員の引き留め」が6割と他の業種より突出して多かった。

 また、賃上げの内容のうち、「新卒者の初任給の増額」は大企業が25.4%、中小企業が15.6%と大企業が上回っている。

 賃上げを実施した企業では、その効果をどのように感じているのだろうか。最も多かったのは「従業員のモチベーションがあがった」で、「従業員の引き留めに成功した(離職率が低下)」「入社希望者が増えた」が続いている。


 一方、「特に効果はなかった」も2割に達している。このうち大企業では定期昇給が高く、賃上げも「当然」という考えが背景にあるようだ。

 賃上げを実施していないと回答した企業にその理由を聞くと、「景気の見通しが不透明であるため」(47.0%)が最も多く、「業績低迷」(36.5%)が続いた。「景気の見通しが不透明」は大企業が34.7%、中小企業が48.7%だった。

 2019年度に賃上げを実施した企業は全体の80.9%だったが、前年度と比較すると1.3ポイント減少している。特に中小企業では、働き方改革の影響が不透明で生産性向上に課題を残し、賃上げに消極的にならざるを得ない側面もあるようだ。ワーク・ライフ・バランスを考慮し、自由回答では「賃金よりも、残業や休日数、福利厚生を重視している」との記載も多くみられた。また、賃上げしても社会保険料等が増加するため、従業員に「賃上げの実感」が乏しく感じられるとの回答もあった。


【調査概要】
この調査は2019年5月9日~31日にインターネットでアンケートを実施。有効回答7,693社を集計、分析した。賃上げ実体を把握するため「定期昇給」「ベースアップ」「賞与(一時金)」「新卒者の初任給の増額」「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義した。資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。

MONEYzine編集部[著]

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