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ハンセン病家族訴訟 控訴せず

ハンセン病患者の隔離政策による家族への差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁判決について、安倍首相は昨日9日、「家族の苦労をこれ以上長引かせない」として控訴しないと表明しました。

家族541人に計3億7600万円の賠償を命じた判決が確定します。控訴期限が12日に迫る中での政治決断で、参院選への影響を懸念したものとみられる、と報じられています。

原告団と弁護団は、首相が原告に直接謝罪することや一律に被害を回復する制度を創設するよう求める声明を発表しています。

このような訴訟で、地裁の判決の段階で控訴しないのは異例なことで、政府内や官僚からは、控訴して高裁で争うべきだという意見が大勢だったが、最終的に首相が判断した、ということです。ずっと見過ごされてきた家族の被害の回復に道を開く決断で、評価したいと思います。

ハンセン病患者への隔離政策を違憲と断じた熊本地裁判決が2001年に確定し、元患者に補償がなされましたが、家族の被害は対象になっていません。国の誤った隔離政策によって、家族までが偏見や差別を受ける社会構造が形成され、「個人の尊厳にかかわる人生被害」が生じた、と地裁では認定しました。政府が判決を受け入れるということは、家族の「人生被害」を償い、偏見や差別をなくす責務を負うことになります。

私は、厚生労働副大臣・大臣の時や国会議員時代に、全国に13あるハンセン病療養所のうち、東京都村山市にある多摩全生園、岡山県にある長島愛生園、岡山県にある邑久光明園に行き、元患者のみなさんから筆舌につくせない体験を聞きました。隔離政策が誤っていたと国が認めた後も、外の社会で生活していくことは難しく、生涯ここにいる、と聞きました。

今でも、家族の方たちが、結婚、就職などで差別を受けているということで、国が賠償するとともに、ひとりひとりの意識を変える課題も大きいと思います。控訴を断念しても、元患者の家族がいったい何人いるのかは、わかっていません。原告側の弁護団も把握していない、とされています。

政府は、差別の被害を受けた家族を確認することに全力をあげ、どのような人が救済対象になるのか明確な基準を示すことが必要です。元患者の生活保障などを国に義務付けた「ハンセン病問題基本法」に、家族を被害者として明記することを、原告・弁護団は求めてきています。

一方、政府は、熊本地裁判決が、時効の開始時点を、同種訴訟で鳥取地裁が原告敗訴の判決を言い渡した2015年9月としたことについて、「法律上、重大な問題点がある」と指摘し、近く判決の問題点を挙げて反論する「政府声明」を出す、と菅官房長官が述べています。参院選対策でというのは、もっての外で、真摯に家族のみなさんの声にこたえ、対応してもらいたいと思います。

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