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  • 東龍
  • 2019年07月10日 15:44

この夏に食べておきたいフランス料理5店はどこ? その理由と料理人のこだわり

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背景

鴨のロティ/エスコフィエ 提供

「抗酸化野菜×発酵ランチコース」が始まったきっかけに関して、代表を務めるKAORU氏は「野菜ジャーナリストとして食文化を次世代へ継承することに心血を注いでいる。従来の伝統的なフレンチの形を守りつつ、アンチエイジングや健康に気をつける中で、抗酸化ランチが2019年3月にスタートした」と説明します。

ランチ限定であることに関しては「若い世代に親しみを持ってもらうため、手頃な値段で始めた。近隣のオフィスワーカーや銀座にお越しいただいた女性をターゲットにしているため、ランチタイム限定にしている」と理由を述べます。

これから

しょうゆの実シフォンケーキ/エスコフィエ 提供

発酵と抗酸化をコンセプトにしたフランス料理のコースとは非常に珍しいものです。銀座「エスコフィエ」という老舗であれば、なおのことでしょう。

老舗ながらの縛りがある中で、こういった女性のための企画が持ち上がるのも、第一号の野菜ソムリエとなり、健康と美を研究しているKAORU氏ならではの発想ではないでしょうか。

最近では若い方のフレンチ離れが進んでいるといいますが、発酵や抗酸化を取り入れたフレンチは若い女性にも興味をもたれるはずなので、引き続き期待したいです。

アムール

「唯一無二を求め、誠実な冒険心で挑戦し続けるジャパニーズフレンチ」を理念に掲げ、日本のフランス料理を表現することにこだわった一軒家レストランがあります。

それは、食材のほとんどを日本産にこだわり、四季折々の日本の食材を使用している恵比寿の「アムール」です。

「アムール」は「ミシュランガイド東京 2019」で7年連続1つ星として掲載されている実力派のフランス料理店。

エグゼクティブシェフを務める後藤祐輔氏はフランス料理人である父親の影響で、幼少期よりフランスを身近に感じ、多くのレストランを巡っているうちに、自身も人々に感動を与える料理を作りたいと思うようになったという生粋の料理人です。

ミシュランガイド3つ星であったストラスブール「オ・クロコディル」で修行した後に帰国し、銀座「レカン」で十時亨氏に4年間師事してから、再度フランスへと渡りました。星付きレストランで研鑽を積んでから日本へと戻り、ミシュランガイド3つ星に輝く「カンテサンス」、宇都宮「オトワレストラン」といった名店で腕を磨きました。

そして2012年にオープンした「アムール」(当初は西麻布、2016年から現在の恵比寿へ移転)でエグゼクティブシェフに就任し、僅か半年でミシュランガイド1つ星として掲載されたという実績を誇ります。

この後藤氏による日本の夏を存分に感じられる料理が楽しめるのです。

コース内容

穴子・加賀太きゅうり・有明海苔/著者撮影

メニューには開業当初から食材しか記載されておらず、後藤氏のインスピレーションからコースが組み立てられています。

初夏2019

  • そら豆の収穫
  • じゅん菜・栄螺・ういきょう
  • 穴子・加賀太きゅうり・有明海苔
  • とうもろこし・炙り雲丹
  • 燻製卵・ダチョウ
  • 甘鯛・海老・豆
  • 若桜鹿・森の木の実
  • メロン・新生姜
  • マンゴー・パッション・ココナッツ
  • 余韻

ソラマメ、ジュンサイ、サザエ、アナゴ、海苔、ウニ、アユなど、食材だけを見てみれば、日本料理のように思えます。

しかし、ジャパニーズフレンチをコンセプトにしているだけあって、日本の食材をふんだんに用いながらも、しっかりとしたフランス料理を紡ぎ出しているのです。

注目料理

燻製卵・ダチョウ/著者撮影

特に注目したい料理を紹介します。

「穴子・加賀太きゅうり・有明海苔」は縦長の陶器の上に米粉のクレープが敷かれ、その上に江戸前アナゴの炭火焼き、加賀太キュウリのピクルス、有明海苔が載せられています。これを自分で巻いて食べるというアクションによって、旬の食材をより肌身で感じられるという穴子巻です。

「燻製卵・ダチョウ」は鹿児島県産のダチョウのタルタルに、ホワイトアスパラガスの炭火焼き、黒トリュフのスライスという面白い取り合わせ。燻製した鶏卵をかけて味わいがまろやかになりますが、忍ばされた野ワサビでピリリとしたアクセントがあり、メリハリが感じられます。

「鮎」は、アユを骨も肝もまるごと使ったスープで非常に濃厚。稚アユはフリットにして、緑が美しい大葉クリームの上に。日本における夏の先駆けであるアユを、モダンフレンチのデクリネゾンで表現した一品です。

「若桜鹿・森の木の実」は食味に定評のある鳥取県の若桜鹿のロースを藁焼きにしてからロースト。鹿肉と相性のよいソース・ポワブラードを合わせ、旬のアスパラソバージュを添えています。森の木の実であるクルミ、ブルーベリー、マルベリーはコンフィチュール状にして、変化を楽しめるようになっています。

背景

鮎/著者撮影

後藤氏のインスピレーションから紡がれた素晴らしい料理が提供されていますが、やはりこだわっているのは、アナゴやアユといった日本ならではの夏の食材を使用していることです。

昨年の夏メニューと比べて何が違うか尋ねると「毎年ブラッシュアップしているが、今年はより産地にこだわり、自分自身で足を運んで探し求めた食材を使用している」と後藤氏は答えます。

工夫していることについては「暑い季節は、重たいイメージのあるフレンチは敬遠されがちだが、軽やかに活力がわいてくるような料理を目指している」と述べます。

これから

若桜鹿・森の木の実/著者撮影

後藤氏にとって夏の思い出は「フランス・プロヴァンス地方で働いていたレストラン『クリスチャンエティエンヌ』が印象に残っている。真夏の太陽の恵みをふんだんに取り入れた食材の軽やかで気持ちの良いフレンチであった」と修行時代を振り返ります。

フランスの名だたるレストランで研鑽を積んできた後藤氏が、ジャパニーズフレンチを標榜することによって、日本の食材の素晴らしさが国内外に向けて改めて認識されることは間違いありません。

「アムール」で体験できる夏の軽快なジャパニーズフレンチに注目です。

ピエール・ガニェール

存命するミシュランガイド3つ星シェフを挙げろといわれたら、多くの食通がピエール・ガニェール氏の名を声に出すのではないでしょうか。

ガニェール氏は「厨房のピカソ」の異名をとる料理人であり、最新の「ミシュランガイド フランス 2019」でも3つ星として掲載されています。世界9カ国で23店舗を展開し、世界各地の食通たちから評価を得ているのです。

そのピエール・ガニェール氏がプロデュースする日本で唯一のレストランといえば、ANAインターコンチネンタルホテル東京36階にある「ピエール・ガニェール」。ガニェール氏のもとで16年師事し、氏から絶大な信頼を寄せられる赤坂洋介氏がエグゼクティブシェフを務めており、2010年のオープンからずっとミシュランガイドで2つ星を獲得しています。

そして、例年同様に2019年も、6月5日から9月1日にかけて「オマール・ブルー特別コース」が提供されているのです。

フランス・ブルターニュ産のオマールブルーは、夏の最高級食材としてフランスの食通に愛されており、その素晴らしい食味を求めて多くの人がレストランに訪れます。

コース内容

オマールブルーをファルスした花ズッキーニのクリスティアン/著者撮影

日本でオマールブルー尽くしのコースを食べられるレストランはなかなかありませんが、そのコース内容は以下の通りです。

オマール・ブルー特別コース

  • オマールブルー / アオリ烏賊 / 枝豆 オイスターリーフとオシェトラキャビアと共に
  • ティミット胡椒の香るオマールブルーのメダイヨン ミュスカワインとライムのジュレ 白桃とロケットサラダの新芽
  • オマールブルーをファルスした花ズッキーニのクリスティアン ピキオスのコンディモンとエゴマ
  • オーストラリア産黒トリュフの香るオマールブルーのムースリーヌ カリフラワーのグラタンと共に
  • オマールブルーのグリエ 赤ビーツ風味 インゲン豆 / ミニ人参 / チェリートマトと共に
  • 生姜の香る赤ポルト酒を絡めたオマールブルーのポワレ ジロール茸のフリカッセとリドヴォー
  • ピエール・ガニェール特選デザート

最初のアミューズ・ブーシュから冷前菜、温前菜、メインディッシュもオマールブルーが用いられており、まさにオマールブルーを堪能できるコースになっているといってよいでしょう。

注目料理

オーストラリア産黒トリュフの香るオマールブルーのムースリーヌ/著者撮影

どの料理にもオマールブルーが使われていますが、特に注目したいものを紹介します。

「 オマールブルー / アオリ烏賊 / 枝豆 オイスターリーフとオシェトラキャビアと共に」はふんだんな海の幸をカクテルグラスで提供した潮が香る前菜。

「オマールブルーをファルスした花ズッキーニのクリスティアン ピキオスのコンディモンとエゴマ」は旬の花ズッキーニにオマールブルーのツメの身を合わせてベニエにした、想像力に富んだ一品です。

「オーストラリア産黒トリュフの香るオマールブルーのムースリーヌ カリフラワーのグラタンと共に」はオマールブルーのなめらかなムースリーヌの味わいが黒トリュフの芳醇な香りとよく合っています。

「 オマールブルーのグリエ 赤ビーツ風味 インゲン豆 / ミニ人参 / チェリートマトと共に」はグリルしてあるのでオマールブルーの香りが広がり、甘味のあるビーツのソースとの相性は抜群によいです。

メインディッシュに相当する「生姜の香る赤ポルト酒を絡めたオマールブルーのポワレ ジロール茸のフリカッセとリドヴォー」はふっくらと仕上げており、仔牛のリドヴォーの脂によって力強さも加わっています。

背景

オマールブルーのグリエ 赤ビーツ風味/著者撮影

こだわりのメニューについて尋ねると赤坂氏は「オマールブルーをテーマにして、全体の流れを重視して作り上げているので、どれか一品を挙げるのは難しい。フレッシュ感から始まり、徐々に濃厚な味へと変化していくので、全てにこだわっている」と自信をもって答えます。

昨年の夏メニューとの違いに関しては「フレッシュ感とスパイス使いなど、メリハリあるパンチをより意識した。ひとつのコースでオマールブルーを昨年は1尾使っていたが、今年は1尾半も使っているので、より堪能していただけるのではないか」と、非常に高価なオマールブルーを惜しげもなく用いているといいます。

夏ならではのこだわりとして「日差しに負けない夏野菜を種類豊富に使用し、濃厚な味わいのオマールブルーに存在感のある夏野菜やスパイスを組み合わせている。例えば、メニューには記載していないが、万願寺唐辛子などたくさんの野菜が使われている」と説明します。

これから

生姜の香る赤ポルト酒を絡めたオマールブルーのポワレ/著者撮影

夏の思い出を尋ねると「フランスでは、夏はレストランがバケーションで長く休業することが多いため、南仏リゾートで味わうバカンス料理が印象に残っている」と振り返ります。

さらには、夏のフレンチとして「海の果物」を意味する「フリュイ・ド・メール」、「ラタトゥイユ」や「ブイヤベース」をはじめ、ニースの郷土料理である「ソッカ」、バーベキュー料理「グリエ」など肩を張らない料理を挙げます。

赤坂氏の夏の思い出は大変素晴らしいものですが、おそらく「ピエール・ガニェール」を訪れるゲストにとっては、夏のフレンチの思い出として、他では体験できない赤坂氏の「オマール・ブルー特別コース」を挙げるのではないかと、私は思うのです。

夏のフレンチ

暑い夏にも訪れてみたくなるフランス料理とその背景を紹介してきました。

「Sonore」は星野リゾートが美食に力を入れた本格フランス料理であり、渓流でアペリティフからダイニングへの流れによって、涼しげで希少な体験を紡ぎ出しています。

「フレンチごはん 西麻布GINA」はたくさんの野菜を用いた栄養満点でその名の通りの「美しいサラダ」を生み出しており、「エスコフィエ」は老舗ながらも、女性に嬉しい夏に負けない「抗酸化野菜×発酵ランチコース」を提供しています。

「アムール」はジャパニーズフレンチとして日本の夏の食材をモダンフレンチにうまく融合させており、「ピエール・ガニェール」は他ではなかなか味わえない旬のオマールブルー尽くしの料理を創り出しています。

フレンチは冬においしいのはもちろんのこと、夏も十分に魅力的なので、是非とも訪れてみるとよいのではないでしょうか。

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