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Just(ice) as Fair(ness) - 書評 - 正義論/ハーバード白熱教室講義録

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P. 777
卒業の翌月、陸軍へ入隊。歩兵としての基礎訓練を受けた後、米第三二師団百二十八連隊のF中隊に配属されてニューギニア、フィリピンを転戦し、占領軍に連なって四十五年九月には日本の地を踏んだ。四ヶ月間のGHQへの服務中、軍用列車に乗せられた彼は被爆直後の広島を目撃。また上官を侮辱した兵士を罰せよとの命令を拒否した科により、下士官から一平卒へ降格処分を受けるにいたっている。
まさに世界最強の軍隊に対しすら譲らなかった「正義の人」であり、正義ゆえに受けた受難のエピソードに事欠かない人でもあった。しかしこの正義の原体験は、「正義論」には一切登場しないのだ。もし登場していたとしたら、本書は50万部ではなく500万部売れたのではなかろうか。

この「論を物語を持ち込まない」というのも、Rawlsの正義の一環をなしているはずなのだが、なぜそれがRawlsにとっての正義となるのだろうか。それを読み解くのが、「正義論」のもう一つの読み方かも知れない。

Rawlsにとって、物語の添付は「多数派の利益」とはなっても「全員の利益」とはならないという判断だったというのが私の読みだ。確かに物語は話を分かりやすくする。しかし「敵」なくして「正義の物語」を紡ぐことは難しい。しかし「全員の利益」を志向する以上、それは「反則」というわけである。

それがほんのかすかに覗いている箇所がある。本書では数少ない、実例が出てくる一節である。

第79節 社会連合という理念
〔南北戦争で北軍の将軍であった〕グラントと〔南軍の将軍であった〕リーは、リッチモンドを占拠したいという彼らの欲求にあっては同一であったものの、この欲求は彼らの間に共同体を成立させなかった。
グラント、リー両将軍の名は、この箇所には登場しても巻末の人名索引には登場しない。

そしてこの両将軍はなぜ相見えることになったのか、「全員」とは誰かの定義が一致しなかったからだ。

具体的には、黒人は「全員」の一員か否かということだ。

「生まれつき恵まれた立場におかれた人々は誰であれ、恵まれない人々の状況を改善するという条件に基づいてのみ、自分たちの幸運から利得を得ることが許される」。しかしRawlsは「人々とは誰なのか」をつまびらかにしない、しかし「人々」に何を代入するかによって、この主張の解釈には北軍と南軍ほどの違いが生じる。

代入。Sandelがやっているのが、まさにそれである。そこには一つの諦念がある。

Restlessness of the Reason という、諦念が。「正義は行ってなんぼ」であり、そうである以上「論」ずるだけでは使えない。その点はRawlsも同意するだろう。にも関わらず、なぜRawlsは「論」で留めたのか。それこそが、「正義で負けた」Rawlsが達した、「正義の逆襲」なのだろうか。人は死ぬが、論は死なない。彼の正義を降格をもって拒否した連邦が死んでも、正義を考えるだれかがそこにいる限り、彼の論は死なないだろう。

しかし、論は論のみでは何ももたらさない。そこに現実を代入して、論ははじめて人を動かす。

この点において、 Communitarianism は Richmond で、 Rawls と Sandel は Grant と Lee のように見える。どちらが Grant でどちらが Lee かはわからないが…

Dan the Fair Reader

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