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異常気象にどう対応するか

 世界の気象観測の数値は、いずれも明らかに温暖化の傾向を指し示している。その結果、30年に一度あるかないかの異常気象は日常茶飯事となり、50年に一度、100年に一度という激しい現象も稀ではなくなって来ている。

 このような危機感から、数年前の気候変動枠組み条約締約国会議(COP)では「パリ協定」が締結され、各国がCO2削減目標をプレッジした。ところがアメリカのトランプ政権はパリ協定からの脱退を宣言し、世界を失望させた。この度のG20大阪サミットでもトランプを説得することは出来なかったが、海洋プラスチックの削減に一歩踏み出したことは、一つの成果である。

 昨年7月には西日本一帯で未曾有の豪雨被害があり、多くの人命が失われた。被災地では復旧作業が進み、堤防の嵩上げなどが必死で行われているが、残念ながら後手後手に回ってしまっている。今年の国の予算では、国土強靱化のための別枠予算を7兆円付けることができたが、災害の頻発にインフラ整備が追いついていないのが現状である。

 斯くなる上は迅速・的確な災害予測と、それに基づく住民避難により、被害を最小限に食い止めるしか方法はない。天気予報や災害発生予報の精度は、以前より格段に向上したが、まだまだ万能ではない。またその情報に基づく自治体の避難の呼びかけも、避難準備や避難指示・勧告など5段階に分けて分かりやすくなったが、なお現場での混乱は残る。

 自治体においてはどのようなタイミングで指示や勧告を出すべきか、悩むケースが後を絶たない。早めの指示をして住民を無用な混乱に陥れたくないとの思いや、空振りになった時の責任問題を恐れることが、発令に二の足を踏ませてきた。ところが最近では空振りでも命には代えられないと言った考えが浸透し、思い切った対応をし始める自治体も増えてきた。

 さらには行政任せにしないで、自ら自分の身を守ろうとする人々も増え始めている。どうしても行政は一定のかたまりで住民を把握せざるを得なく、個人の事情に全て対応することは困難である。災害の被害を最小限に留める最終兵器はインフラ強靱化だが、当面は確かで迅速な情報提供と、個々人の日頃からの防災意識の向上が何よりも大切である。

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