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自民党日本国憲法改正草案の解説

 日本国憲法改正草案を発表
 自民党主導で憲法改正を

 谷垣禎一総裁は4月27日に会見し、党憲法改正推進本部(本部長・保利耕輔衆院議員)がまとめた「日本国憲法改正草案」を発表した。同草案は、主権回復60周年を迎える4月28日に向け、わが党が目指す独立国家としての日本の姿を提示することを目的に、平成17年の「新憲法草案」を補強する形で作成された。会見で谷垣総裁は憲法改正を「立党の原点」と強調したうえで、憲法改正原案の国会提出に全力で取り組む決意を示した。

「立党の原点」国会提出に全力


 会見で谷垣総裁は「先頭に立ち、自主憲法制定に向けた取り組みを加速させ、日本の進むべき針路と骨格を明確にしたい」と述べ、憲法改正をわが党主導で実現させる考えを表明した。
 また、憲法改正を「立党の原点」とし「(現行憲法は)日本人ではなく占領下で(外国人によって)つくられたことは厳然たる事実だ」と語り、日本人の血の通った憲法草案を目指したことを強調した。

 具体例をあげると、同草案では天皇の位置付けに関し、前文冒頭で「長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家」とし「天皇は日本国の元首」(第一条)と規定した。
 国旗・国歌については「国旗は日章旗、国歌は君が代」(第三条)とし、尊重する義務も定めた。また、元号では「皇位継承があったとき制定する」(第四条)が加えられた。

 憲法改正の最大の争点となる第九条では、「自衛隊」から名称を改めた「国防軍」の「保持」を明記。「平和主義」を維持しながら集団的自衛権の行使を容認した。さらに、「国際社会の平和と安全を確保するため」に国際紛争や侵略に対し、集団安全保障への参加が可能になる。

 また、保守政治の基礎となる家族や地域社会、文化継承の重要性を明確にした。前文で「家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」とし、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」(第二十四条)と規定した。

 前文の結びでは「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承する」と規定し、歴史性を重んじ伝統文化を子孫に伝える意思を打ち出した。



「日本国憲法改正草案」の概要

(前文)
・国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの原則を継承しつつ、日本国の歴史や文化、国や郷土を自ら守る気概などを表明。

(第1章 天皇)
・天皇は元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴。
・国旗は日章旗、国歌は君が代とし、元号の規定も新設。

(第2章 安全保障)
・平和主義は継承するとともに、自衛権を明記し、国防軍の保持を規定。
・領土の保全等の規定を新設。

(第3章 国民の権利及び義務)
・選挙権(地方選挙を含む)について国籍要件を規定。
・家族の尊重、家族は互いに助け合うことを規定。
・環境保全の責務、在外国民の保護、犯罪被害者等への配慮を規定。

(第4章 国会)
・選挙区は人口を基本とし、行政区画等を総合的に勘案して定める。

(第5章 内閣)
・内閣総理大臣が欠けた場合の権限代行を規定。
・内閣総理大臣の権限として、衆議院の解散決定権、行政各部の指揮監督権、国防軍の指揮権を規定。

(第6章 司法)
・裁判官の報酬を減額できる条項を規定。

(第7章 財政)
・財政の健全性の確保を規定。

(第8章 地方自治)
・国及び地方自治体の協力関係を規定。

(第9章 緊急事態)
・外部からの武力攻撃、地震等による大規模な自然災害などの法律で定める緊急事態において、内閣総理大臣が緊急事態を宣言し、これに伴う措置を行えることを規定。

(第10章 改正)
・憲法改正の発議要件を衆参それぞれの過半数に緩和。

(第11章 最高法規)
・憲法は国の最高法規であることを規定。



 現行憲法の不備を補完する条項
「緊急事態条項」内閣による政令の制定
「地方参政権」は日本国籍を有する者


 日本国憲法改正草案では現行憲法の不備を補完する条項が加えられた。

 緊急事態条項(第九十八・九十九条)は、大規模な自然災害や外部からの武力攻撃を受けた場合、内閣による法律と同じ効力の政令の制定や、総理大臣が財政上必要な支出や首長への指示を可能にした。
 ただし、緊急事態宣言は事前か事後の国会承認を必要とする。100日を超えて宣言を継続するときは事前の国会承認や、基本的人権の最大限の保障を義務づけている。

 また、現行憲法の解釈で論争となった事項については、同草案は明確な意思を示した。
 永住外国人の地方参政権は現憲法でも最高裁の判決で日本国民に限られると示された。それでも民主党が判決を曲解し同権利の実現を目指したため、解釈の余地が残らないよう首長選、地方議会選は「日本国籍を有する者が直接選挙する」(第九十四条)と定めた。


 新しい時代に合わせ環境保全など規定
 憲法改正の発議要件も過半数に緩和


 政府見解により合憲とされている私学助成に対し、現行の「公の支配」を「公共団体の監督」(第八十九条)に改め、合憲であることを明示した。

 信教の自由に関し、「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないもの」(第二十条)を加え、地方自治体による靖国神社への玉ぐし料の支出を可能にした。

 さらに、新たな時代にふさわしく、第二十五条で環境保全の責務や在外国民保護、犯罪被害者配慮を規定した。

 この他、人口を基本とし行政区画、地勢などを考慮して選挙区を定めることを規定(第四十七条)した。

 憲法改正の発議要件を緩和して憲法改正によって柔軟に国民のニーズに応えるため、現行の衆参両院での3分の2の賛同から過半数(第百条)に改めた。

 発表の会見で、党憲法改正推進本部の保利耕輔本部長は「党全体の合意形成ができた」と強調し、わが党の憲法改正原案の国会の提出を目指す方針を表明した。

 わが党は党組織を挙げて、幅広い国民の理解を得る努力を積み重ね、憲法改正の実現に全力を尽くしていく

『自由民主』より

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