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【ZOZO】古着の値付けをAIで ── 「手放す」を社会に浸透させる


人気ファッション通販サイトZOZOTOWNでは、商品を購入する際、過去に購入した商品の下取り価格が表示され、その場で割引が適用される「買い替え割」を実施している。タンスの肥やしになってしまった服を引っ張りだし、下取りに出すと、簡単に欲しい商品を割引価格で購入できるサービスだ。


ユーザーに服を「売る」ことを意識させないこの割引サービスが今、アパレルの二次流通を加速させている。

ZOZOグループで二次流通部門を担うZOZOUSEDは、AIを活用した値付けで在庫削減や査定額アップを実現。現在およそ半数のアイテムをAIで値付けしており、価格の的中率(AIの値付けで実際に商品が売れた確率)はAI導入前の1.5倍だという。

古着の値付けをAIで設定する狙いや開発ストーリーを株式会社ZOZOUSED 島村龍也氏、佐々木北都氏に聞いた。

島村龍也(写真左)
株式会社ZOZOUSED マーケティング部 マネージャー

佐々木北都(写真右)
株式会社ZOZOUSED マーケティング部 MDセクション データサイエンティスト

「手放す」ことを意識しない購買サイクルを作りたい

――ZOZOTOWNの「買い替え割」や、ZOZOUSEDといった二次流通サービスが普及してきた背景には何があるのでしょう?


――島村
「人々がものを『所有』することよりも、ものから得られる『体験』に価値を置く時代になっていると思います。

そういった時代の潮流に加え、安くていいものを手に入れたいという消費者の欲求がテクノロジーで後押しされ、古着市場が大きくなっています


――島村
「古着の値付けは、買取側の経験や勘に基づいたブラックボックスです。服がいくらで売れるか、一般消費者でもイメージしやすくなれば、服を『手放す』概念は変わると思います。

現在は、服を『手放す』行為自体あまり浸透しているとは言えません。売ることを消費者に意識させることなく、服の購買サイクルに『手放す』を組み込んでいきたいです」

服を捨てられず、クローゼットの中身が増えてしまいがちな人でも、手持ちの服の価値がわかれば、「手放す」ハードルは低くなりそうだ。

AIの値付けで在庫が減り、買取額もアップ

――どんな要素を考慮してAIが値付けしているのでしょうか?

――佐々木
「価格予測AIは、ブランドの人気度合い、過去の販売価格などを学習し、最適な販売価格を予測しています。

品番単位でアイテムを特定するのも必須です。ZOZOTOWNでの新品時の定価などを紐づけ、変数として予測モデルに使用しています」

ZOZOUSEDで扱っている商品の約半分は、ZOZOTOWNの買い替え割経由で買い取っているという。ZOZOTOWNで購入された商品であれば、品番を特定するのは容易だ。


――島村
AIで価格をつけたときの的中率(AIの値付けで実際に商品が売れた確率)は、AI導入前の約1.5倍となっています。的中率が上がることで、倉庫内の在庫回転率が向上し、保管在庫を減らせました。

また、以前は過去の販売実績などのリセール周りの情報を中心に活用して査定額を提示していましたが、ZOZOTOWNグループに存在する一次流通の商品情報も機械学習モデルに変数として加えたことで、適正な販売価格を事前に予測できるようになりました。

結果としては、お客様に200円から300円ほど買取価格をアップさせることができました。AI導入の効果をユーザーにも積極的に還元しています

PoCは数えきれないほど回した

――開発を進めるうえで苦戦したポイントを教えてください。

――佐々木
販売価格を予測するという課題を、現在の予測モデルで解いている問題に落とし込むまでが難しかったです。

はじめは全商品の販売価格を予測しようと試みていましたが、PoCを進めていくなかでその難しさを思い知らされました。

現在、AIで値付けをしている商品は半数ほどです。一部ご紹介出来る内容ですと、

  • ZOZOTOWNで取り扱いのある商品
  • 過去にZOZOUSEDで販売したことのある商品

はAIで値付けしています」

どういうコンセプトで商品の価格予測をするか決めるため、何度も試行錯誤しながらPoCが繰り返された。

実際に売ってみないとPoCの結果はわからないため、結果を待つ間にも開発を進めた。モデル作成の自動化ツールなども活用しつつ、高速でPoCを回したという。


――島村
「AIで価格設定をするのが目的ではなく『より良い値決めを行う仕組みを作り、お客様に価値を提供することがゴールである』という軸をブラさなかったのも、開発成功の要因だと思います。

AIはあくまで手段であり、結果を出さなければ何も意味が無いという信念を貫いたからこそ、プロジェクトメンバーのモチベーションを下げずに高速で意思決定とトライアンドエラーを繰り返せました。

実現したいシステムのイメージを共有できていたし、何よりもシステムを構築する必要性をチームの皆が感じていました」

大量の画像データの使い道にワクワクしている


現在はAIで価格予測できる商品が限られているが、今後は商品範囲を広げ、クローゼットの中身すべての資産価値を見える化したいなど、将来の構想を語った佐々木氏。値付け以外にも、AI活用を考えていると言う。

――佐々木
「まだアイディアベースではありますが、レコメンド機能を開発してみたいです。

たとえば、『このブランドのあのシャツが好き』と伝えたら、似たようなシャツをいくつか提案してくれるAIは、需要があるのではと考えています。服の好みを言語化するのは難しいので、これは自分が欲しい機能でもあります(笑)

ZOZOUSEDの倉庫では、出品用の商品写真が複数のブースで毎日大量に撮影されているので、これを使わない手はありません」

――島村
「一次流通と二次流通、両方のデータをここまで膨大に持っているアパレル企業は他に存在しません。ZOZOTOWNの強みを生かして、データからファッションのライフサイクルを分析し、新しい取り組みにどんどん繋げていきたいです」

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