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大学入試採点に"学生バイト"は絶対反対だ

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2021年1月から始まる「大学入学共通テスト」では、初めて記述式の問題が導入される。その採点をめぐり、文部科学省は「アルバイトの大学生も認める方針である」とNHKが報じた。予備校講師の小池陽慈氏は「大学生に任せるべきではない」と強く反対する。その理由とは――。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taka4332)

■予備校関係者震撼「大学試験の採点にバイト大学生」

2019年7月4日、大学入試関係者を震撼させるニュースが流れた。

大学センター試験の後継として2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」の採点者に、なんと“大学生”が採用される可能性があるというのだ。

これまでの「センター試験」は、すべての教科で“マーク式”の問題が出題されていた。よって“採点者”は必要なかったが、後継の「大学入学共通テスト」は、生徒の「思考力」を試すという名目のもと、国語と数学で“記述問題”が出題されることになったのだ。

もちろん記述問題は、機械にかけて一斉に採点などということはできない。そこでは当然、“人力”による採点が不可欠となる。すなわち、“採点者”が必要となるわけだが……。

例年、センター試験は、約50万人が受験する。「大学入学共通テスト」でも、受験者数は同じレベルになると見込まれる。つまり、50万人分の答案を、きわめて短い一定の期間内に、正確に採点することが求められるのである。そして文部科学省は、その正常な運営には1万人の採点者が必要であると想定している。では、その“1万人”を、果たしてどうやって確保するのか。

■“シロート学生”に記述式解答の採点を公平にできるのか

これまでそれは、民間業者との連携のもと、プロの採点者や大学院生などでまかなうとされてきた。ところがそこに、「アルバイトの大学生」も採用する方針であることが明らかになったのだ。

再来年から始まる「大学入学共通テスト」には、初めて記述式の問題が導入されます。その採点には、およそ1万人が必要とされていますが、アルバイトの大学生も認める方針であることが、文部科学省への取材で分かりました。(NHK NEWS WEB<「共通テスト」採点にバイト学生 認める方針 疑問視の声も>2019年7月4日)

このニュースに触れて、「大学生に大学入試の記述答案など採点できるのか」と思った人も多いのではないだろうか。私は現在“予備校講師”として現代文を指導しているが、講師になる以前、5年ほど大手の予備校で「現代文」の全国模試の採点者を担当していたことがある。

その予備校の採点者は、大学生では採用に応募することすら許されず、私も大学院に進学してから採用されたのだが、研修や、模試のたびの会議、それに実際の採点に対する本部からの指摘など、一連の採点作業が入念に行われるため、当初は本当に驚いたものだ。

あの現場を直接に経験していればこそ、「大学生に大学入試の記述答案など採点できるのか」という意見が出るのは、当然のことと思われるのだ。

■“優秀な大学生”なら一定レベルの採点も不可能ではない

ただし、「大学入学共通テスト」の「国語」の記述問題に関するかぎり、人選を間違えなければ、つまり優秀な大学生であれば、あれを“採点できない”ということは、必ずしも言えない。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/YMZK-photo)

それはひとえに、「大学入学共通テスト」国語の記述問題の特質による。

「大学入学共通テスト」国語の記述問題は、大量の枚数を短期間で正確に採点する――のみならず、受験生が少しでも正確に“自己採点(センター試験同様、受験生は同テストの結果いかんによって最終的な出願校を決定するので、即時の自己採点を要求されることになる)”することができるように、解答が“一義的”に決まるよう、さまざまな仕掛けがなされているのだ。

例えば、本文や資料について話し合う【会話文】で解答の方向を“誘導”する。あるいは、設問に過剰なまでの“条件”を付して、解答をにおわせる。

したがって「大学入学共通テスト」の国語の記述問題では、同テストとは別の試験(私大や国公立大の2次試験など)の記述問題にしばしば認められるような、“許容できる解釈にそこそこの幅がある”という事態がそれほど発生しないと推測される。採点者のチーフなどを配置して細かい点をきちんと調整するなら、“優秀な大学生”であればある程度の機械的作業で一定レベルの採点も不可能ではない。

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