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帰国後も活躍できる外国人技能研修を

 「財政破綻への道、それだけが気がかりである」

 私にとって、最後の参議院自民党の総会でそうあいさつした。

 社会保障費は増大するのに、日本は少子高齢化である。さらに人手不足倒産も深刻である。その解決策として「外国人労働者の受け入れ拡大」を一貫して提言してきた。

 帝国データバンクのアンケートによると、対象約1万社のうち、50%以上の企業で正社員が不足、約33%で非正規社員が不足しているという。総務省のHPによると、15歳から64歳の生産年齢人口は2017年の7596万人が、40年には5978万人に減少すると推計されている。この現状を放置すれば、日本経済の活力はそがれ、社会保障も守れなくなる。

 今年4月に施行された改正出入国管理法では、アジア9カ国から外国人労働者の受け入れ拡大を目指し新たな在留資格として「特定技能」が設けられた。

 今年の1月には、受け入れ国のひとつ、カンボジアのイット・ソムヘーン労働・職業訓練大臣と会談した。大臣は「日本に技能研修に行かせても、帰国して仕事がない」と嘆いていた。技能研修は、日本語能力検定の「N5」(=基本的な日本語をある程度理解できる)レベルで可能になる。つまり、片言の日本語なので滞日中は単純労働に従事するケースが多く、帰国しても「技能」を生かしにくいのだ。

 特定技能は、「N4」とワンランク上の日本語能力が要求される。しかし今度は、優秀な外国人材は、「欧州や中国の富裕層のもとで働いた方がよい給料になる」と考え出しているとも聞いた。日本が外国人労働者を受け入れるには、お金だけでなく、技術や知識も与えるウィンウィンの関係をつくれるかが勝負を分けると考える。

 ワタミは先月、いちはやく特定技能の外国人材の育成を目的とした「グローバルドリームストリート」という会社を合弁で、シンガポールに設立した。カンボジアをはじめ、アジア各国で、日本で働くにあたっての語学やマナー研修を教える学校の運営や、実際の人材の送り出しを手掛ける。新聞発表後、予想以上の反響があり、多くの経営者から問い合わせを受けている。その際、必ず理想を語っている。

 私の理想は、外国人を単純労働と位置づけず、ワタミで例えるとするなら、日本で外食産業や有機農業のノウハウをしっかりと教え、自国に戻って、外食経営や農業経営で起業し、夢をかなえてもらうことだ。

 社名の通り、ドリームストリート(夢への道)でなければならない。私は、公益財団法人「スクール・エイド・ジャパン」の代表として、カンボジアに19年間通いつづけ、学校建設や孤児院運営をしており、学ぶことに熱心な子供たちを誰よりも見てきた。だから夢を応援する仕組み作りにも熱が入る。

 「勉強をしたいから辞書を貸してください」と現地の子は言う。そのハングリーさは今の日本にあるだろうか。カンボジアの労働大臣が嘆いていた「課題」は、経営者として「解決」していきたい。アジアで青年社長を育てる、これも私のこれからの夢のひとつである。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より

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