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平成24年5月13日

本格化する税と社会保障一体改革論議

 先週本会議で、年金改革関連法案・子ども子育て支援法案・消費税等税制抜本改革法案などが相次いで審議入りしました。

 政府案の説明を聞いて強く感じたのは、野田総理が政治生命を賭けて臨むとされた消費税率の引き上げについて、その目的がよくわからないこと、そして本当に本気なのかということです。

 消費税率の引き上げが深刻化する財政悪化を好転させるために必要というのであれば、それと矛盾する効果の薄いバラまきマニフェストは即時撤回してもらわなければいけません。また、一方で歳出削減をどのように進めるかのビジョンがなければいけないのに、与党はいまだに議員定数削減の真剣な協議に取り組んでいなかったり(総理が前向きな発言をしても幹事長代行が「あれは総理の個人的発言」と否定している)、公務員制度改革や事業仕分けの改善がどうなっているかわからなかったりという問題があります。また、社会保障の一体改革についても「削減・効率化」という要素が入ってしかるべきですが、高齢者医療など既に自民党政権が示した案を否定しておきながら説得的な対案を示していませんし、生活保護の膨張をはじめとしたモラルハザードの対策もあまりに不十分です。

 消費税率の引き上げが逆に社会保障の「充実」に必要だというならば、どの分野(年金以外にも医療・介護などがあります)に充当するのか、最低保障年金の具体像はどうなっているのか、世代間の格差や少子化対策と高齢者対策のバランスはどうするのか、また、保険料と税という二つの制度のバランスや哲学の違い(保険料については受益と負担の関係がある程度明確になっている必要がある)をどう整理するのかなど無数の論点があります。

 増税しても財源としては限られた額となるため震災復興対策とどのように折り合いをつけるのか、また、引き上げに伴う景気への悪影響をどうするのかも考慮しなければいけません。当然説得力のあるデフレ対策が必要です。

 無論自民党もこれらについて詰めた検討が必要です。今後平場で改めて議論があるでしょう。ただいずれにせよ今国会で決着をつけるのであれば与党サイドで相当な努力が必要なはずで、依然として反執行部の姿勢を鮮明にしている小沢元代表についての党員資格停止処分の解除を控訴前に(しかも与党案への賛成の確約もなく)行っていることは理解に苦しみます。
 輿石幹事長の「来年まで解散はなくていい」という発言もそうですが、政策を成立させるよりも党内融和が優先しているのでないかとの疑問が拭えません。今後政局は不透明感が増すと思いますが、しっかり対応していきます。

原子力規制をめぐる迷走

 大飯原発再稼動については、政府から示される安全性を示すデータもこの夏の電力需給の見通しも信用されず、滋賀や大阪といった隣接自治体も厳しい意見を持っていることから暗礁に乗り上げている感があります。

 特に安全性のチェックをしっかり行うためには、現在の原子力安全委員会や保安院の組織を抜本的に改組し、この欄でもたびたび言及している自民・公明両党提出の「原子力規制委員会設置法案」を一日も早く通すことが、再稼動にせよ凍結にせよ問題の決着に必要なプロセスだと思うのですが、どうもこの法案をめぐる与野党の動きがよくわかりません。

 先週の日曜討論で民主党城島国対委員長が、「ゴールデンウィーク中に民主・自民の実務者協議で、政府案と自公案のすり合わせがあと一歩の所まで進んだ」という趣旨の発言をされましたが、自民党原子力規制組織プロジェクトチームの塩崎座長も事務局長の私も吉野環境部会長も何も聞いていません。そもそも規制部門の一体化や政府からの独立性がなされていない政府案と、それを国際水準並みに徹底しようとする私たちの案は、根本的に理念が違うので、折衷案などあり得ないと思っています。

 現に9日開催の党環境部会では、政府案に対する厳しい指摘が続出し到底受け入れられないという結論が出ました。かと思えば一転して「与党が自公案を丸呑み」という報道。一体どうなっているのでしょうか。本会議・委員会でのオープンな審議を求めていきたいと思います。

 AIJ問題など他の案件にも携わっていますが、混迷する政局を打開するためには政策だけの活動では足りません。色々動いていくつもりです。

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