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海外メディアを締め出す日本のマスコミの情けなさ

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米朝会談のニュースによって完全に余韻がかき消されたG20大阪サミットですが、今回、ネット番組「ニューズ・オプエド」にアンカーとしてたまに出演しているご縁から取材チームの一員として参加してきました。

この記事では、メディア職業人でも記者でもジャーナリストでもない立場から、素朴に現地で感じた事や考えた事をお伝えしたいと思います。

海外メディアの視点から

私たちは、記者クラブに属さない海外メディアの扱いで参加したため、国際メディアセンター(IMC)に常駐していたのですが、ディスプレイに映る映像を見ながら熱心にメモをとる海外メディア陣を見て、わざわざ日本まで来てディスプレイ越しに取材させている状況を不思議に思いながら、ホスト国として少し申し訳ない気持ちになりました。



まあ、当然、取材機会はそれだけではなくて、1日に数回、外務省報道官によるブリーフィングが開かれ、どういう内容が話し合われたのかについての説明と質疑応答が行われました。


質疑応答の時間も十分にあり、この写真では中央の通路にいる係員の方が質問者の元までマイクを持ってきてくれ、質問の一つ一つにかなり丁寧に答えていた印象です。

私は国際会議はもとより、記者会見の現場に入る事自体初めてだったので、こういう感じなのか、と新鮮に感じたものです。

はじめての議長国記者会見

そして、最終日にいよいよ安倍首相による議長国記者会見が行われるとの事で、心を躍らせながら会場に入りました。議長国のリーダーとして、鋭い質問にバシッと切り返す、そんな姿を想像し会見が始まるのを前から三列目の席に座って今か今かと待っていました。

実際の記者会見の映像と書き起こし文が首相官邸HPで公開されているので、内容についてはこちらをご覧ください。

G20大阪サミット議長国記者会見(2019年6月29日・首相官邸HP)

私がまず、あれっ?と思ったのは、書き起こし文にもある通り、質問者が固定のマイク位置まで進んでいかなければならなかった事です。前述した外務省報道官によるブリーフィングでは質問者の位置までマイクを持ってきてくれたため、どの場所からでも挙手をすれば質問ができましたが、この会見ではマイクが固定されているため遠い席に座っている記者には不利な状況でした。しかも、この写真のように席の間は狭く、マイク位置まで移動しようとするとゴタゴタしてしまう事も容易に想像がつきます。


結果として、指名されたのは日本メディアと海外メディアそれぞれ2名の計4名だけで、最前列と二列目のいずれも通路側(固定マイクの真横)に座っていた記者だけに質問の機会が与えられた形でした。日本メディアは、読売新聞と日本テレビの方です。この2社を覚えておいてください。



このお二方の質問内容は、書き起こし文にある通り、当たり障りのない内容と言えますし、映像を見ていただければわかりますが、それに答える安倍首相の視線が頻繁に手元のモニターやプロンプターに向いているように見えるのは私だけではないでしょう。おそらく想定問答集のようなものがあったのではないでしょうか?(まさか事前に質問通告や打ち合わせなどを行っていたわけではないと信じたいです)

ちなみに手元はこんな感じ。


私の左隣(通路側)にはジャーナリストの上杉隆氏が座っており、マイク位置まで一歩ほどの距離だったので流れからすれば次に指名される可能性が高く、次はこの人か!と思ったところで会見は終わってしまいました。予定より5分ほど早かったそうです。

聞くところによると上杉氏は、デジタル経済に関するルール作りを進めるための枠組みである「大阪トラック」にインド、南アフリカ、インドネシアが賛同しなかったことの理由や経緯に関する質問などを用意していたようですが、残念ながらこれらは日の目を見ることはありませんでした。

質問者も少なく、あらかじめ決められた原稿を読み上げるような会見で、想像していたものと違い拍子抜けしたのが正直な気持ちです。

首脳の会見ってこんな感じなんだっけ?と疑問に思ったので、他の国の首脳記者会見の映像を見てみることにしました。

他国の首脳記者会見

まずは、フランスのマクロン大統領の会見ですが、こちらは約8名(往復のやり取りがあり、音声だけでは判別が難しいため人数はおおよそです)の記者の質問に答えており、しっかりと質問者を見て対話をしているように見受けられます。

G20大阪サミット閉会後にマクロン仏大統領が会見(2019年6月29日・THE PAGE)

続いて、アメリカのトランプ大統領の会見ですが、こちらはなんと約26名の記者からの質問に次々と答えており1時間15分近く行われ、途中で冗談を交えて会場が笑いに包まれるなど、非常によくコミュニケーションがとれていると言えるでしょう。

G20閉幕・トランプ大統領会見(2019年6月29日・テレ東NEWS)

そして、両首脳とも自信に満ち溢れ、自分の言葉で話しているように見えます。プロンプターも使っていないようです。

なぜ、こんなに日本と違うのでしょうか。最初に思ったことは、大統領制と議院内閣制の違いではないかということです。

マクロン氏もトランプ氏も多くの国民から直接選ばれているため、反対派もたくさん存在するとはいえ、多数の人々に支持されているという自信があるのではないかと思ったわけです。

どれだけの人に選ばれたリーダーか

調べてみると、それぞれの大統領選挙で、マクロン氏は2017年に2,075万3,798票(当時の全人口の約31.1%)を、トランプ氏は2016年に6,297万9,879票(当時の全人口の約19.5%)を一般投票で得ています。

対して、安倍氏が得たことのある票数は2017年の衆議院選挙における山口4区の選挙民から得た10万4,825票(当時の全人口の約0.083%)と、2018年の自民党総裁選挙で自民党員から得た35万5,487票(当時の全人口の約0.281%)に加え、国会議員票の329票です。

制度の違いとはいえ、多くの国民が直接名前を書いて選んだリーダーと、そうではないリーダーに同じ資質を求めることは酷なのかもしれません。

おそらく前者のリーダーは選出される過程で全人格を国民の前にさらけ出すことになるでしょうし、次の選挙に向けて、このような会見の場は自身の主義主張や考え方や能力を国民の前に示す貴重な機会として捉えることになるのだと思います。

翻って後者のリーダーは、このような場は失言を恐れてできるだけミスをしないようにあらかじめ決められた内容だけを話すというような、まるでロボットのような人間味を感じない所作で会見を消化する事になるのも致し方ないのかもしれません。

では、同じ議院内閣制のイギリスのメイ首相はどうなんだろう?と思い、動画を探してみたのですがG20の会見は現段階では見つからなかったので、少し古いですがEUサミットでの記者会見の映像を見てみました。

British Prime Minister Theresa May gives speech at European Union Summit in Brussels(2017年10月20日・FRANCE 24 English)

5名の記者からの質問に対してたまに視線を原稿に向けているようにも見えますが、自分の言葉で答えている印象は強いと私は感じました。

(ちなみにメイ氏は2017年の総選挙では選挙区であるメイデンヘッドで全人口の0.057%である37,718票を得て当選)

うーむ。ここまで書いておいてなんですが、単純に制度の違いとも言えなさそうです...。

国内メディア向けの記者会見なら!

もしかしたら、G20の議長国も初めてですし、海外メディアがいる場だから安倍首相が警戒したのでは?と思い直し、国会閉会後に行われた最近の国内メディア向けの記者会見を見てみました。

安倍総理が記者会見(2019年6月26日・テレ東NEWS)

これを見て衝撃だったのは、冒頭14分ほど安倍首相がスピーチをするのですが、その後に幹事社である読売新聞と日本テレビ(G20議長国記者会見と同じだ!)からの質問にスピーチとほぼ同じ内容で回答しているのです。これで約10分浪費されてしまっています。なんという時間の無駄遣い。幹事社以外はウォール・ストリートジャーナルとNHKの2社のみで、約5分経過後に会見は終了します。

国内メディア向けの会見も冒頭の議長国記者会見と似たようなスタイルと言わざるを得ません...。

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