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この期に及んでも問題の深刻さを韓国側が理解していない件

韓国への輸出規制は2段階で強化されます。まず4日から、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)の3品目の輸出で個別の審査や許可が必要となります。さらに8月(中旬)をメドに、韓国を安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定から除外します。

さて4日から始まった3品目の輸出規制ですが、日本政府と経産省で半年かけ検討され非常に考え抜かれた輸出規制であることがわかってきました。

4日からこれら3品目は輸出審査対象になったわけですが、日本の輸出審査にかかる時間は約3カ月(90日)が標準で、これが韓国勢の生産に影響を及ぼす可能性がまずあるわけです。

韓国側の材料の在庫量は通常1~2カ月分であり、SK関係者は日本経済新聞の取材に対し、同社の在庫量は「3カ月は無い」としています。

日経記事によれば、「追加調達ができず3カ月が過ぎれば、工場の稼働は停止するのか」との質問に対しては、「そうだ」と答えています。

(関連記事)
半導体の国際供給に影響も、対韓輸出規制 4日発動
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46823990R00C19A7MM8000/

規制対象の3品目は日本企業の世界シェアが高く、フッ化水素は8~9割に達します。

調達先を変更しようとしても代替品が見つからない可能性が高いのです。

これら材料3種は、韓国にとり日本への依存度が高いだけでなく、すぐに台湾や中国、韓国企業などに輸入先・仕入れ先を変更しにくい材料なのです。

例えばレジスト(感光剤)は日本の住友と信越が世界市場を掌握しています、韓国でも錦湖石油化学、東進セミケム、トンウ・ファインケムなどのメーカーがあるにはありますが、問題は、韓国産レジストは品質水準が低く、10ナノ級以下の超微細工程では描画できないことです。

またフッ化水素(エッチングガス)は吸入しただけでも神経組織に損傷を来す猛毒物質で、保管・管理が難しいため、1カ月分以上の在庫を抱えるのは事実上不可能です。

サムスン電子やSKハイニックスにとって、日本の今回の「90日間輸出許可規制」そのものが、安定在庫水準の脅威となってきます。

さらに、その審査結果の運用が日本政府(経産省)に委ねられるため、90日掛かった審査の結果、輸出「不許可」との判断が下される可能性があることです。

もと経産省キャリアOBの宇佐美典也氏は「アゴラ」掲載記事において、私見と断った上で「貿易管理の枠組みにおいて本省自ら個別契約の審査をするのは「原則NG」とするものが中心で、ある程度運用が固まり事務が地方局に降ろされるまでは輸出制限に近い効果が生じる」と、当面「原則NG」、事実上の「禁輸」に近くなると述べています。

失礼してアゴラ記事より該当箇所を抜粋。

いずれの措置も既存の貿易管理の枠内で、新しい制度を作ったものである。その意味では日本は現行制度の中でできることをしたまでだが、韓国を狙い撃ちにした制度であることは間違い無く、韓国の「WTO違反」との指摘もあながち根拠がないわけではない。

一部には「個別同意にしても他の国並みで、いずれにしろ輸出が許可される可能性は高いのだから問題ない」という声もあるが、私見としてはそうは思えない。貿易管理の枠組みにおいて本省自ら個別契約の審査をするのは「原則NG」とするものが中心で、ある程度運用が固まり事務が地方局に降ろされるまでは輸出制限に近い効果が生じるものと思われる。

韓国への半導体材料輸出規制はどんな内容か?(特別寄稿) より
http://agora-web.jp/archives/2040083.html

前回のエントリーで「日本政府は基本的に輸出を許可しない方針」(読売記事)を「飛ばし記事」か?と、当ブログは疑りましたが、どうやらあながち飛ばし記事とは言えないようです。

(関連エントリー)

2019-07-03
「日本政府は基本的に輸出を許可しない方針で、事実上の禁輸措置」(読売記事)~日韓情報戦の様相を呈しているこの局面で、大スクープか大飛ばしか突出する読売報道
https://kibashiri.hatenablog.com/archive/2019/07/03

それにしても、今回の日本政府の史上初の対韓国半導体材料輸出規制措置の断行に対しての、韓国政府・韓国メディアのその反応の残念さはどうでしょう。

自国経済の大黒柱でもある花形産業に対する「不意打ち」に、日本に対する批判や怨嗟の声やWTO提訴などの対抗措置など、韓国政府の対応などを報じる韓国メディア報道はものすごいことになっていますが、全体を通じてなぜ今回日本がこのような強行手段にあえて出たのか? それを冷静に分析する視点がまったく見られないのです。

強制徴用問題に対する韓国大法院判決を前後して、日本政府は韓国政府にさまざまな方法で警告してきました。

麻生太郎副首相がメディアで直接警告したり、通産相らが韓国とのチャネルを通じて間接的に問題を提起もしてきました。

それでも韓国政府からはフィードバックがまったくなかったのです。

日本が韓国の強制徴用賠償判決の議論のための仲裁委員会構成を提案したときも、これもまた韓国政府は拒絶しました。

日本は公式・非公式チャネルと接触しながら問題を解決しようとしましたが、韓国政府は無反応で一貫してきました。

もはやこれまで、日本政府は現韓国政府に対して交渉相手として不適と判断したのです。

そして新たな「矢」をはなったのです。

・・・

韓国側に、なぜ今回日本がこのような強行手段にあえて出たのか? それを冷静に分析する視点がまったく見られないのです。

残念なことに、この期に及んでも、問題の深刻さを韓国側は理解していません。

(木走まみみず)

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