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- 2019年07月04日 12:00
ローリングストーンズから影響を受けた日本のバンドと比較する忌野清志郎の特異性
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岡本:オーティス・レディングのバックを務めたブッカー・T&ザ・MGsと作品を作ったりもしましたが。
高橋:それ以前に、『RAZOR SHARP』でイギリスに行ったときに、向こうの人たちから得たものがいっぱいあったみたいなんです。全然グルーヴも違うし、考え方とか。音はもちろんアティテュードですよね。はじめてのソロアルバムを作って、以降の活動にも反映させた。ブッカー・T&ザ・MGsは奇跡のような巡りあわせで、RCが無期限活動休止となった直後に、彼らとやることができる機会に恵まれました。
岡本:あれは、ブルース・ブラザーズ・バンドの来日公演がきっかけだったんですよね。
高橋:そうです。やっぱり、一番好きなサウンドなのでやってみたい気持ちがあったんだと思います。でも、MGsとやった作品以外で、ソウル・サウンドに傾倒したものがあるかといったら、そんなにはないんですよ。だいたい、ロック・サウンド寄りなんです。
岡本:『Memphis』と『夢助』は他の作品と違いますもんね
高橋:他の作品でもソウル・サウンドっぽさはあるんですけど、ちゃんとロック・サウンドになっているんですよ。だから、相当ストーンズは意識していたと思います。ソウル、ブルース、フォーク、カントリーの要素もあったとは思いますけど、中心はまぎれもなくロックでした。
岡本:イベントなどで一人で弾き語りをすることも多かったと思いますけど、そういうときもフォーク的ではなくてロックだったと。
高橋:必ず盛り上がりが、ストーンズ的なロックの盛り上がりなんですよ。歌を聴かせるんですけど、最初と最後はロック的な盛り上がりになる。清志郎さんのライブって、もちろん歌を聴くというのはあるんですけど、だいたいみんな盛り上がりに来ている。バンドでも弾き語りでも、ロックの盛り上がりなんです。
岡本:ソロで弾き語りだけのワンマン・ライヴってないですよね。唯一、1人でやっている『ONE MAN SHOW』では、ドラムを叩きながら歌ったりしていますし。やっぱり、もともとバンドサウンドが一番という考え方だったのでしょうか。

高橋:ウクレレにディストーションをかけて弾いたりしていましたからね。以前、清志郎さんが僕に「ローランド・カークっていうミュージシャンがいるんだけど(東芝EMIから)出てるからサンプルCDもらってきてよ」って言われて、ジャズの担当者のところにもらいに行ったら、「さすが清志郎さん、ローランド・カークのCDを欲しいなんて言ってくれたのは清志郎さんだけだよ」って言われて。それで、逆にコメントをもらってきてくれと頼まれたんです。
それでどんなミュージシャンなのか知らなかったので映像を見せてもらったら、サックスを5本ぐらい加えて全部吹くんですよ。ローランド・カークの作品に『溢れ出る涙』(The Inflated Tear)という作品があって、RCの「あふれる熱い涙」のタイトルはここからの引用だと思います。もちろん、音楽が好きなんでしょうけど、少なからずあの吹き方にも惹かれていたと思います。
そういうアバンギャルドなアーティストも好きだったと思います。79年~80年頃のインタビューで、好きなバンドはジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズって答えてるんです。ノー・ウェイヴ。フリクションのレックさんたちが当時海外でノー・ウェイヴの真ん中にいて、日本に帰ってきてからS-KENさんのコミュニティの中で紹介した。あんまり日本のオーバーグランドに出てきてなかった。
そんなときに清志郎さんがジェームス・チャンスっていうから、何者かなってレコード屋に行くんですけど、もちろん置いてなくて、新宿のマニアックなレコード屋に行って買った。それを聴いて「キモちE」の真ん中でグチャグチャになるところとか、「ぼくはタオル」のアバンギャルドさとか、全部そういうところからの影響だってわかりました。
岡本:へえ~! それは知らなかったです。
高橋:だから、ピアノとギターだけの弾き語りだけで聴かせるというのは、自身の遺伝子が許さなかったんじゃないですかね(笑)。
岡本:もちろん、ギターの弾き語りだけでも十分魅力的ですけども。
高橋:アコギの弾き語りだったとしても、最後はディストーションをかけてソロを弾いたりしてました。伴奏もないのにソロを弾くという。それまでのライブの流れをぶち壊すというか(笑)。そういうライブだから、終わった後の感想が「良い曲ですね、詞が良いですね」みたいにはならないんです(笑)。 清志郎最高! だけが残る。理想的なロックのライブで、世界最高のエンターティナーだと思います。
<書籍情報>

『I LIKE YOU 忌野清志郎』
岡本貴之 編
有賀幹夫 / 太田和彦 / zAk / 佐野敏也 / 角田光代 / 近藤雅信 / 高橋靖子 / 高橋 Rock Me Baby / 蔦岡晃 / 手塚るみ子 / のん / 日笠雅水 / 宗像和男 / 森川欣信 / 百世 / 山本キヨシ / 渡辺大知 (五十音順)
発売元:河出書房新社
現在発売中
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1400円
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309290188/
高橋:それ以前に、『RAZOR SHARP』でイギリスに行ったときに、向こうの人たちから得たものがいっぱいあったみたいなんです。全然グルーヴも違うし、考え方とか。音はもちろんアティテュードですよね。はじめてのソロアルバムを作って、以降の活動にも反映させた。ブッカー・T&ザ・MGsは奇跡のような巡りあわせで、RCが無期限活動休止となった直後に、彼らとやることができる機会に恵まれました。
岡本:あれは、ブルース・ブラザーズ・バンドの来日公演がきっかけだったんですよね。
高橋:そうです。やっぱり、一番好きなサウンドなのでやってみたい気持ちがあったんだと思います。でも、MGsとやった作品以外で、ソウル・サウンドに傾倒したものがあるかといったら、そんなにはないんですよ。だいたい、ロック・サウンド寄りなんです。
岡本:『Memphis』と『夢助』は他の作品と違いますもんね
高橋:他の作品でもソウル・サウンドっぽさはあるんですけど、ちゃんとロック・サウンドになっているんですよ。だから、相当ストーンズは意識していたと思います。ソウル、ブルース、フォーク、カントリーの要素もあったとは思いますけど、中心はまぎれもなくロックでした。
岡本:イベントなどで一人で弾き語りをすることも多かったと思いますけど、そういうときもフォーク的ではなくてロックだったと。
高橋:必ず盛り上がりが、ストーンズ的なロックの盛り上がりなんですよ。歌を聴かせるんですけど、最初と最後はロック的な盛り上がりになる。清志郎さんのライブって、もちろん歌を聴くというのはあるんですけど、だいたいみんな盛り上がりに来ている。バンドでも弾き語りでも、ロックの盛り上がりなんです。
岡本:ソロで弾き語りだけのワンマン・ライヴってないですよね。唯一、1人でやっている『ONE MAN SHOW』では、ドラムを叩きながら歌ったりしていますし。やっぱり、もともとバンドサウンドが一番という考え方だったのでしょうか。

高橋:ウクレレにディストーションをかけて弾いたりしていましたからね。以前、清志郎さんが僕に「ローランド・カークっていうミュージシャンがいるんだけど(東芝EMIから)出てるからサンプルCDもらってきてよ」って言われて、ジャズの担当者のところにもらいに行ったら、「さすが清志郎さん、ローランド・カークのCDを欲しいなんて言ってくれたのは清志郎さんだけだよ」って言われて。それで、逆にコメントをもらってきてくれと頼まれたんです。
それでどんなミュージシャンなのか知らなかったので映像を見せてもらったら、サックスを5本ぐらい加えて全部吹くんですよ。ローランド・カークの作品に『溢れ出る涙』(The Inflated Tear)という作品があって、RCの「あふれる熱い涙」のタイトルはここからの引用だと思います。もちろん、音楽が好きなんでしょうけど、少なからずあの吹き方にも惹かれていたと思います。
そういうアバンギャルドなアーティストも好きだったと思います。79年~80年頃のインタビューで、好きなバンドはジェームス・チャンス・アンド・ザ・コントーションズって答えてるんです。ノー・ウェイヴ。フリクションのレックさんたちが当時海外でノー・ウェイヴの真ん中にいて、日本に帰ってきてからS-KENさんのコミュニティの中で紹介した。あんまり日本のオーバーグランドに出てきてなかった。
そんなときに清志郎さんがジェームス・チャンスっていうから、何者かなってレコード屋に行くんですけど、もちろん置いてなくて、新宿のマニアックなレコード屋に行って買った。それを聴いて「キモちE」の真ん中でグチャグチャになるところとか、「ぼくはタオル」のアバンギャルドさとか、全部そういうところからの影響だってわかりました。
岡本:へえ~! それは知らなかったです。
高橋:だから、ピアノとギターだけの弾き語りだけで聴かせるというのは、自身の遺伝子が許さなかったんじゃないですかね(笑)。
岡本:もちろん、ギターの弾き語りだけでも十分魅力的ですけども。
高橋:アコギの弾き語りだったとしても、最後はディストーションをかけてソロを弾いたりしてました。伴奏もないのにソロを弾くという。それまでのライブの流れをぶち壊すというか(笑)。そういうライブだから、終わった後の感想が「良い曲ですね、詞が良いですね」みたいにはならないんです(笑)。 清志郎最高! だけが残る。理想的なロックのライブで、世界最高のエンターティナーだと思います。
<書籍情報>

『I LIKE YOU 忌野清志郎』
岡本貴之 編
有賀幹夫 / 太田和彦 / zAk / 佐野敏也 / 角田光代 / 近藤雅信 / 高橋靖子 / 高橋 Rock Me Baby / 蔦岡晃 / 手塚るみ子 / のん / 日笠雅水 / 宗像和男 / 森川欣信 / 百世 / 山本キヨシ / 渡辺大知 (五十音順)
発売元:河出書房新社
現在発売中
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1400円
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309290188/
- Rolling Stone Japan
- 音楽カルチャーマガジン米Rolling Stone誌の日本版



