- 2019年07月04日 10:05
【読書感想】グラビアアイドルの仕事論 打算と反骨のSNSプロデュース術
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グラビアアイドルの仕事論 打算と反骨のSNSプロデュース術 (星海社新書)
作者: 倉持由香
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 2019/04/27
メディア: 新書
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内容紹介
グラビアアイドル史上初のビジネス書発売!「尻職人」倉持由香が伝授する最新の自己プロデュース術にして仕事論!
グラビアアイドルという職業に、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか。「可愛くて胸さえ大きければ水着姿を見せるだけでお金を稼げるんだから“楽”だよな」と思っている方もいるかもしれませんが、現実はめちゃくちゃ厳しいのです! 芸能界では地位が低く見られがちな私たちの仕事で“稼げる”人は、ほんのひと握り。雑誌のグラビア、テレビの一席を巡り、熾烈な競争が繰り広げられるグラビアアイドルの世界を生き残るには打算的な“戦略”が必要でした。本書では、お尻の自画撮りをSNSに拡散し、「#グラドル自画撮り部」を立ち上げグラドル界をサヴァイヴしてきた私が編み出した、SNSによる自己プロデュース術と仕事論をお届けします。
これはたしかに「ビジネス書」だ……
僕はグラビアアイドルには詳しくないのですが、倉持由香さんと「尻職人」というキャッチフレーズは知っています。
Twitterをやっていると、直接フォローしていなくても、リツイートされてきたり、自画撮りの写真を目にすることも多いのです。
ただ、もうグラビアアイドルを熱心に見るような年齢ではなくなった中年男としては、「なんか気合入っているな、というか、ガツガツした感じで、『尻』とかアピールされると、こっちとしては引くよな……」という感じでもあります。
そんななか、この本を読んでみたのですが、倉持さんが子どもの頃から「女性の身体とその見せ方」に深い興味を抱いていたことや、グラビアアイドルとしてなかなか成功できずにくすぶっていたなかで、「ガツガツと」見てもらうために努力を続けていたことを知りました。
この人のセルフプロデュース術と向上心は、本当にすごい。
その一方で、倉持さんは、「毎日同じ時間に出勤して、同じ仕事をするような生活には耐えられない」とも告白しておられます。
多くの人に見てもらうために、トライアンドエラーを繰り返しながら、その結果をフィードバックしてより高い効果を追い求める、というのは、すべての仕事、とくに、ネットでのアフィリエイトに親和性が高そうです。
この本を読んでいて、以前読んだことがある、「自分自身をプロデューサー的な視点で見続けていた」指原莉乃さんの著書を思い出しました。
指原さんや倉持さんのファンというのは、見た目やキャラクターに魅力を感じているのと同時に、あるいは、それ以上に、彼女たちがプロデューサーとして、次にどんなことを仕掛けてくるのかを楽しみにしているようにも思われます。
アイドルとかグラビアって、本当に難しい世界だと思うんですよ。
そこには「読者や観客をひきつけるための技術」が集約されているのだけれど、ファンは「あまりに作り込まれたもの」に対して、なんとかく「釣られたくない」と思うところもある。
「塩対応」とか「嫌々グラビアをやらされている感じ」「グラビア慣れしていない雰囲気」に魅力を感じることも少なくないのです。
Twitterは当時から使っていましたが、今のように自画撮りを上げることはせず、ブログの代わりとして撮影会のオフショットを載せたり、オタク系アイドルになろうと漫画ネタをつぶやいていました。
自画撮りに勤しむようになったきっかけは、セクシーな露出で人気のコスプレイヤー・うしじまいい肉さんでした。うしじまさんの自画撮り写真を見て「自画撮りってすごくエロい」という発見があり、自分なりに少しずつアップするようになったのがきっかけです。そして、撮影会で撮って頂いた写真より自画撮りを載せる方が、フォロワーの増加率が高いということにも気づきました。カメラマンという他者の存在がない自画撮りはプライベート感が強く、そこがファン心理を掴むのだと考えました。
そして、もう一つの転機となったのは2013年の春頃になります。当時、ニコニコ生放送でグラビア番組を毎週やっていた私には、なじみのカメラマンさんがいました。ある日、その方から「もっちーは大きなそのお尻を武器にした方がいいよ。出さなかったらただの無駄尻だよ!」とアドバイスを頂いたのが、”尻職人”が生まれたきっかけです。
その言葉を聞くまでの自分は、他人よりもお尻が大きいことがコンプレックスでした。被写体の魅力を一番引き出してくれるであろうカメラマンさんから無駄尻と言われたのは衝撃的で、その日を境に「今までは隠していたけど、いっそ出すなら派手にやってみよう」と思い、Twitterでお尻を強調した自画撮り画像をアップするようになりました。
倉持さんも、最初から自分のセールスポイントをうまくアピールできていたわけではなく、試行錯誤の末にたどりついたのが「自画撮り」と「お尻」だったのです。
プロのカメラマンが撮った写真よりもプライベート感がある自画撮り+本人にとってはずっとコンプレックスだったお尻。
先入観を捨てて、事実を検証し、あれこれ試してみた先に「答え」はあった。