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韓国の敵意に禁輸で反撃した安倍首相の腹 反日を煽る文氏に世論はさめている

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日本は韓国世論の心をつかむ必要がある

 産経社説をさらに読んでみよう。

 産経社説は「政府は先に韓国産水産物の検査も強化した。福島県産水産物などの輸入を禁じる韓国への事実上の対抗策なのに、表向きは食中毒対策と説明している。今回の措置も西村康稔官房副長官は『対抗措置ではない』としている」と指摘し、こう訴える。

 「だが、韓国相手に曖昧な姿勢を取るべきではない。信頼関係が損なわれたというなら、信頼回復に必要なことを具体的に示し、韓国側に対応を迫るべきだ。そうした強いメッセージが必要である」

 馬耳東風の韓国に強いメッセージを送ることには賛成である。ただ、「北風と太陽」という寓話があるように、強引な対応で迫れば文政権はかたくなになるだけだろう。日本は韓国国民の心をつかむ必要がある。つまり韓国世論を味方につけることである。

反撃しなければ、さらなる攻撃を仕掛けてくる

 産経社説に異を唱えるように掲載されたのが、7月3日付の朝日新聞の社説である。

 「対韓輸出規制 『報復』を即時撤回せよ」との見出しを付けてこう書き出す。

 「政治的な目的に貿易を使う。近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである」

 安倍政権が大嫌いな朝日社説の気持ちは分かるが、これまで日本は韓国に対して大人の対応をしてきた。やはりおかしいのは韓国だ。今回の朝日社説の主張には賛成できない。

 朝日社説は「大阪でのG20会議で議長だった日本は『自由で公平かつ無差別な貿易』を宣言にまとめた。それから2日後の発表は、多国間合意を軽んじる身勝手な姿をさらしてしまった」とも書くが、ウォール・ストリート・ジャーナルなどの論調をまねた書きぶりに思える。

 朝日社説は「確かに徴用工問題での韓国政府の対応には問題がある。先月に示した解決への提案は、日本企業の資金が前提で、日本側には受け入れがたいものだ」と書いたうえでこうも主張する。

 「しかし、今回の性急な動きは事態を一層こじらせている。機を合わせるように、韓国の司法当局は日本企業の株式を現金化する手続きを一歩進めた。韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴も検討するといい、報復の応酬に陥りかねない」

 実際、日韓関係はさらに悪化するだろう。報復の応酬を繰り返すかもしれない。だからと言って反撃しなければ、文政権はさらなる攻撃を仕掛けてくるだろう。

冬季五輪の女子スケートの名シーンを思い出したい

 最後に朝日社説は「日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである。国交正常化から半世紀以上、隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない」と訴える。

 「頭を冷やす」は別として、この訴えは正論だ。信頼と交流の蓄積を維持することは重要である。

 そこで思い出すのが、昨年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪のスピードスケート女子500メートルだ。あの氷上のシーンである。今年1月29日付の記事「照射事件で“異常行動”を続ける韓国の事情」の最後でも取り上げた。

 金メダルを獲得した小平奈緒選手が、多くの観衆が見守るなか、敗れた韓国の李相花(イ・サンファ)選手の肩を抱きかかえながらゆっくりと観衆の前を滑った。

 あのとき、韓国メディアは小平選出と李選手のこれまでの友情を詳しく紹介し、抱擁シーンを大きく報道していた。

 テレビを見ていて沙鴎一歩も、目頭が熱くなった。日本と韓国の選手がお互いの力を認め合った結果だった。反日感情など皆無だった。

「正当な反撃」と「韓国国民の把握」とのバランスだ

 しかし外交は感情では対応できないことがほとんどだ。安倍政権は「目には目を、歯には歯を」と反撃し、産経社説は毅然とした対応を主張する。もちろんこうした行為は外交上、必要だろう。否定するつもりはない。

 韓国の内情に詳しい知人のジャーナリストは「日本との関係悪化を憂慮し、『反日をあおる文大統領が韓国を駄目にする』などと文政権を批判する韓国メディアも多い」と話している。

 日本人も韓国人も同じ人間である。しかも韓国は同じアジアで、日本の隣国でもある。基本はお互いの心情だと思う。日本側が韓国人の心の内をつかんで理解していけば、きっと韓国もそれなりに応じてくれるはずだ。

 外交には正当な反撃に加え、交渉相手国の国民の気持ちを把握する努力がいる。両者のバランスが欠かせない。

 繰り返すが、安倍政権が文在寅大統領率いるいまの韓国政権を説き伏せるには、韓国世論に訴えて韓国国民を味方に付けることだ。

(写真=朝鮮通信/時事通信フォト)

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