- 2019年07月04日 09:15
"社名が聞き取れない"はチャンスになる訳
■「何度も聞き直す」は本当に失礼なのか
「もう1度お願いできますか?」と聞き返せばいいことなのですが、相手の会社名などを何度も聞き返すのは、失礼だと感じる方もいるでしょう。業態や社風によって対応に違いはあるかもしれませんが、1度で聞き取れなかった場合には、お客様第一を考え、相手のせいにならないように留意しながら、下記のように対応するのが基本でしょう。
例えば電話口では、「誠に恐れ入ります。確認のため、もう1度、御社名をお願いしてもよろしいでしょうか?」。

それでも聞き取れない場合、改めて丁寧に3回目を尋ねることになります。コールセンターなどでは、固有名詞を聞き取るために、以下のように丁寧な確認作業を行っているそうです。「アイウエオの“ア”に、カキクケコの“カ”ですね?」。そうして聞けば、先方が訂正してくれることもあるので、確定できたら「○○様ですね?」と復唱する。
より私たちの日頃のやり取りに役立ちそうなノウハウとしては、「漢字ではどのように書くのですか?」と聞く。横文字の場合は、「スペルをいただけますでしょうか?」と具体的に聞き出すようにするのです。
特に新しい環境に身を投じたときや、新人の場合に、初めてのビジネス相手に挨拶したケースで、先方の社名が聞き取れないこともあるでしょう。そんなとき、「何度も聞き直すなんて失礼だ」「うちを知らないなんて、新人なのか?」などと相手が不快感を示すことも、ありえます。
しかし、それはコミュニケーションのチャンスだと捉えるべきです。「はい、不慣れで申し訳ありません。ご指導いただけますと幸いです。今後ともよろしくお願いします」と、こちらを覚えてもらえるように自己アピールの機会に変えればいいのです。そうして経験を積む中で、自信をもって、臨機応変に対応できるようになるはずです。
■「もっと自分勝手になっていい」
そもそも、あなたが「2回も聞くのは失礼だ」と思ってしまうのは、自己肯定感が低下しているせいかもしれません。相手の言葉を聞き取れないことはよくあることで、焦る必要などなく、本来ならその場で対応できるはず。なのに、対人コミュニケーションが不安になり、相手への失礼な振る舞いを過剰に気にしてしまっているのではないでしょうか。
「自分のせいで聞き直すなんて」「自分勝手で迷惑をかけているのでは」――そんな思いを抱いている時点で十分、謙虚な姿勢なのですが、それもわからなくなってしまっている人が、非常に多い。
そんな方には、自己肯定感を高めるために、「もっと自分勝手になっていい」とアドバイスします。すると、「なんでも失礼にズケズケ言う人にはなりたくない」と返される人もいます。しかし、そのように「ズケズケ言う人にはなりたくない」ということは、社会的な感受性をしっかり持っているということですから、あえて恐れる必要などないわけです。
低下している自己肯定感を高め、「丁寧に聞き返せばいい」とポジティブに思えるようになることが大事です。
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中島 輝
心理カウンセラー
作家。著書に『何があっても「大丈夫。」と思えるようになる 自己肯定感の教科書』など多数。
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(心理カウンセラー 中島 輝 構成=伊藤達也 写真=iStock.com)
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