- 2019年07月04日 06:15
東京五輪"ランチ難民"が産む意外な商機
2/2■オフィス外ではアレンジして食卓に
中村さんによると、法人向けのサービス開始当初(2014年)は、「家庭への持ち帰り」需要を想定していなかったそう。ですが、あるテレビ番組で女性社員たちが持ち帰る様子が報道されたのを機に、似たような使われ方が広まったのではないか、とのこと。

「利用者は、持って帰ったおかんの商品をただレンジでチンするのではなく、『ちょい足し』や『味変え』で、アレンジレシピに挑戦しているようです。例えば、カツを卵とじにしたり、豚の角煮と切り餅を炊飯器に入れて、ご飯を炊いておこわ風にしたり、といった具合です」
その他、「次の日のお弁当用に」や、「両親の介護中、家事軽減のために」と持ち帰る女性もいるようだ、と中村さん。こうした社外も含めた利用で、従業員の「ワーク・ライフ・バリュー」の支援に貢献できれば、と言います。

また社内でも、納会やランチミーティングなど「食」を通じたコミュニケーションの場でも役立っているそう。「同僚が、どんなメニューを選ぶのかな」などに注目することで、会話のきっかけ作りになるケースも多いようです。
■健康経営の一環として
もちろん、利用者だけでなく企業側にとっても、オフィスおかんを導入する大きなメリットがあります。その一つが、従業員の「健康」と栄養バランスへの配慮。
皆さんは、最近よく使われる「健康経営」という言葉をご存じでしょうか。
もともとは、アメリカの臨床心理学者ロバート・ローゼン博士が提唱した理論(ヘルシー・カンパニー)に基づくもの。従業員が心身ともに健康であれば、会社の業績向上にもつながるはずだという視点です。
近年は経済産業省も、健康経営に取り組む企業を「見える化」する取り組みをスタートさせています。例えば、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する企業を「健康経営 優良法人」として認定する、といった具合。
優良企業と認定されれば、その後の採用活動や株価の上昇等にもつながる可能性があります。もちろん、従業員のモチベーション向上など、社内の活性化にもつながるでしょう。
■画期的なサービスが続々と登場!
こうした政府の動きは、先のPEST分析でいう「Politics(政治)」の部分に当たります。
つまり、健康経営という視点を、政府が「認定制度」として導入することが分かった時点で、近い将来、オフィスおかんのようなサービスの利用企業が増えるだろうと予測できる。当然ながら、その後のさらなるビジネス拡大も望めますよね。
実際におかん以外にも、この市場に目をつける企業が次々と登場しています。
その一つが、2018年7月、サントリービバレッジソリューションが、ぐるなびと提携して始めた、法人向けの新サービス「宅弁TM」です。
■つくりたての宅配弁当を「自販機」で注文
これは、職場に設置された専用の「自販機」で、飲料を購入するかのごとく、職場近隣のレストランから宅配弁当を注文できるサービス。従業員は、午前10時までに自販機から注文・支払いを済ませれば、その日のランチタイム(12時ごろ)に、職場で作りたての宅配弁当を食べられます。
両社は東京都内の企業から「宅弁TM」の設置エリアを拡大し、2020年までに1000台設置を目指しているそうです。
また、「デリバリー型社員食堂」をコンセプトに、契約企業に日替わりで弁当を届けてくれるのが、「シャショクル」(スターフェスティバル)。
サービスの開始当初(2015年)は、1日100食以上の販売が見込める大企業・複合ビルでの「対面販売」利用が中心でした。ですが19年夏からは、「キャッシュレス&無人化販売」の実現によって、1日20食からの契約が可能に。これにより、従業員数が少ない中小企業でも、利用しやすくなったと言います。
働く男女にとっては「逆風」となるであろう、東京五輪期間中のランチタイム。ですが、関連ビジネスを提供する企業にとっては、まだまだ伸びが期待できそうですね。
(マーケティングライター 牛窪 恵 写真=iStock.com)
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