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激安/価格競争批判派の勘違い

日本ではデフレが続いているせいか、その矛先として価格を売りにする業態への批判が強くなっています。
一つは価格を下げるために質が下がっているという批判です。
先の乗客7名が亡くなった関越道の大型バス事故でも、規制緩和後の価格競争のバス業界が批判の的にされました。

“激安”に潜む危険性とマスコミの罪 (相場英雄 / Business Media 誠)
 一連の報道の中で筆者が気になったことは、ツアーバスの運賃が年々低下傾向をたどっている、という点だった。

 2000年の規制緩和以降新規参入が急増し、最終的に「価格競争」の消耗戦が繰り返されている、と多くのメディアが伝えた。折しもデフレ経済が長期化し、消費者の財布のひもは固くなるばかり。バスの乗り心地や車内サービスの善し悪しなどではなく、「価格」ばかりが競争の中心になった、という情報にも接した。

 価格競争の激化とともに、サービスを提供する企業が運転手の人件費を圧縮したことが、結果的に重大な事故につながる要因になったのは明らかだ。


これなどは典型的な批判例ですが、的外れです。
バス事故に関して言えば規制緩和以降もほとんど変わっていません。実際の事故件数や死亡者数を見る限りは規制緩和が安全性を軽視させて事故が増大したという根拠を見つけるのは難しい。

激安商品全てにリスクが潜んでいると筆者は考えていないが、デフレ経済下で幅を利かせる低価格の人気商品には、多かれ少なかれリスクが潜んでいるとみる。


相場氏は「焼肉酒家えびす」のユッケ食中毒事故のケースも上げていますが的外れです。「安さ」憎しで、価格が安い会社が事故を起こしたケースを取り上げているだけです。
食品偽装でいえば、吉兆はどうなんでしょう?ミシュランガイド2つ星のトゥエンティ・ワン(高級フレンチ)は?高級店でも偽装はあるのです。吉兆の場合は食の安全にかかわる使いまわしでした。
シンワオックスという会社が安い牛肉を使っているにもかかわらず、A4/A5の黒毛和牛だけを使ったと言って高い値段で売っていました。高級価格帯ではありませんが、価格競争になっていない赤福や白い恋人のケースもありました。

安全性を軽視したリスクが発生する本質は最終価格の安い/高いではありません。
儲けようとする意志です。
薄利多売で安くするために安全性を軽視する場合もあるでしょう。
しかし、値段が高い商品であっても、粗悪品を偽装して高く売って儲けようとする場合もあるのです。残念ながら相場氏のような「値段が安いものは悪くて、値段が高いものは良いに違いない」という思い込みを持っている人がいるから、業者は粗悪品でも値段を高くして良いものに思わせようとするインセンティブが働きます。

価格が安かろうが高かろうが、儲けようとする意志が悪い方に働くとリスクになります。吉兆のような高級料亭ですらそうなのです。
値段の高い/安いだけで語るのは本質を見誤ります。

バス事故でも本当に規制緩和後に安全性が軽視されて事故が増えているかをしっかり考えた方が良い。
(最近は報道が減りましたが)数年前には凶悪犯罪の増加という嘘がありました。
過去を懐かしむオールド世代は、つい「昔はよかった。今は…」となりがちですが、安易なロジックに騙されないように注意が必要です。

※当然、安いものを無批判に受け入れていいという話でもない

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