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「政界再編、有権者が左右する」政治ジャーナリスト角谷浩一氏

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細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(石田桃子)

【まとめ】

・麻生大臣は、年金問題に正面から向き合う姿勢を示すべきだった。

・自民党内には、議席を3分の2から減らすことが改憲発議に望ましいとの考えもある。

・自民党だけでなく政界全体において政治家の役割意識が希薄化している。

今回は、政治ジャーナリストの角谷浩一氏をゲストに迎え、細川珠生が話を聞いた。

今月26日、通常国会が閉会を迎えた。振り返ってみると、統計不正問題や失言など、国民の政治不信を招く出来事が相次いだ国会だった。

細川氏は、国会の終盤に表れた「老後資金2千万問題」と麻生金融担当大臣の対応について、角谷氏の考えを聞いた。

「老後資金2千万問題」とは、今月3日に金融庁が発表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」に関する問題。「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円」「毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる」「20年で約1,300万円、30年で約2,000万円の取崩しが必要になる」との記述が反発を招いた。

角谷氏は、麻生大臣を「国民の気持ちがわからないということを堂々と言える数少ない政治家の1人」と皮肉的に評価した。麻生大臣は「『国民に寄り添う』というのを売り物にしたがる」政治家とは違い、「ご自身の感覚と懐具合をベースにものをおっしゃるので、国民には相容れない言い方になる」という。

角谷氏は、自民党内からこれを問題視する声が出ないことに対しても、「自民党がお金持ち集団になったのか、お金持ちにひれ伏すような政党になったのか」と批判した。

角谷氏は、麻生氏が総理大臣時代も失言を繰り返していたことに言及し、「『悪夢のような』民主党系政権ができたのは、その前(麻生首相時代)の自民党がとんでもなく国民から信頼されていなかったから」と指摘し、国民が、当時と似た感情を抱いているのではないか、と述べた。

麻生大臣は、報告書に対して「誤解や不安を広げる不適切な表現であった」などと述べて、正式な報告書として受け取らないことを表明した。

これに対して角谷氏は、「大丈夫、心配するなと言って、蓋をしただけ」と述べ、麻生大臣の対応を不適切とした。現行の年金制度が不安を抱えていることを認め、正面から向き合う姿勢を示した方が、国民の理解が得られたとの考えを示した。角谷氏は、「国民はみんな、年金だけでは生きていけないだろうと、うすうす気づいている」と指摘した。

7月21日には、参議院議員選挙が控えている。細川氏は、参院選が憲法改正に与える影響について、角谷氏に聞いた。角谷氏は、「参院選で自民党あるいは与党が3分の2を維持できるかどうかが焦点になる」と述べた。

ただし、角谷氏によれば、憲法改正の発議について、自民党内に2つの考え方があるという。一つは、衆参両院で3分の2の議席を確保すること、すなわち、いつでも発議できる状態であることを重視する考え。これが従来、自民党内で主流の考え方であった。

二つ目は、3分の2から議席を減らした状態にこそ、発議の可能性があるとする考え方である。与党だけでいつでも発議できると言う姿勢は、野党の態度をかたくなにさせる。野党の協力なしには憲法改正ができない状態であれば、野党も議論に応じる、との見方だ。

細川氏は、国民は憲法改正を、どのくらい重要な争点として認識しているか、角谷氏の考えを聞いた。角谷氏は、「憲法問題が最優先課題だと考える有権者はあまり多くない」と答えた。現行憲法に不自由を感じる国民はほとんどいない。むしろ、「憲法は権力者たちを縛るためにあるもの。それが変わったり緩くなったりすることに対して危機感を持つ人もいる」という。

そうした中、角谷氏は「自民党の中も追いついていない」と述べた。自民党は今度の参院選においても、公約の6番目に「憲法改正を目指す」スローガンを位置付けているが、最優先課題との認識は党内にも浸透していないとみられる。

細川氏は、自民党が憲法改正を争点化するのは「年金や消費税といったことへの国民の関心を低くするため」ではないかと指摘した。さらに、安倍政権を「政権運営に横柄さが見られる」「3分の2の議席があったのに憲法改正の発議を実現できなかった」と批判した。

「自民党、与党側にお灸をすえるような結果が出て、野党の言い分を聞く姿勢が出てくれば、憲法改正や、私たちの生活により良い政策が実現していく道筋ができるのでは」と期待感を示した。

角谷氏は、自民党の横柄な態度、国民に対して雑な態度は、政治家の役割意識が希薄化していることの表れだと主張した。「議会が活性化し、国民がそれを見て一生懸命やっていると感じる」という政治の望ましい状態からかけ離れているという。

細川氏は、参院選後に政界再編の動きが起こりうるかどうか、角谷氏の意見を聞いた。角谷氏は、「地殻変動が起こる可能性はある」と述べた。

自民党を離党した政治家たちの末路を見れば、多くの人がそう簡単には政界再編は起こらないと考える。しかし、自民党を離党する人がいるのは、自民党内で意見しにくい閉塞感、すなわち「石破さんが冷や飯を食わされたと言うような雰囲気」があるからだ、と角谷氏は説明する。

そして、その不満がエネルギーになるタイミングの一つが、選挙だという。

また、野党の危機感も、引き金になりうるという。もし、参議院選挙で野党共闘に失敗すれば、「このままでは、この国に野党というものがなくなってしまうとなった時に、地殻変動が起こる可能性はある」と述べた。

角谷氏は、次の衆議院選挙の開催時期について、与党が消費税増税とオリンピックの前の、一瞬の隙を突くことを考えていると予測した。また、参議院の結果が良ければ、9月に突然衆議院を解散する可能性はさらに濃厚になるとの考えを示し、「少し投票率上がるだけで結果が全く変わる。まさにこれは有権者自身が決めること」と述べた。

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