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れいわ新選組、怒涛の当事者候補大作戦!! の巻 - 雨宮処凛

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 参議院選挙が迫っている。そんな中、あらゆるところで「山本太郎現象」なる言葉を聞く。

 そんな山本太郎議員が旗揚げした「れいわ新選組」の候補者に今、大きな注目が集まっている。

 すでに発表された蓮池透さんはご存知だろう。拉致被害者である蓮池薫さんの兄にして、元東電社員。拉致被害者家族でありながら、太郎氏が政治に目覚めるきっかけとなった「原発」に東電社員としてかかわっていたという稀有な立場だ。

 れいわ新選組の候補者として6月末、新たに二人が発表された。

 一人は、安冨歩氏。東大教授であり、女性装でも知られる氏は昨年、埼玉県東松山市の選挙に出馬。馬やちんどんミュージシャンたちと繰り広げたお祭りのような前代未聞の選挙を覚えている人も多いだろう。そんな安冨氏のインタビューなどを私は様々な媒体で読み、「生きづらさ」を体現する人物として、そして「男らしさ」「女らしさ」などの壁をぶち破る存在として、非常にリスペクトしてきた。

 ここで安冨氏の経歴を「なぜ日本の男は苦しいのか? 女性装の東大教授が明かす、この国の『病理の正体』」を参考にしつつ、紹介したい。

 同記事によると、安冨氏の両親は「男の子は大きくなったら戦争に行って、天皇陛下のために死ぬ」という靖国精神を植え付けられたど真ん中の世代。そんな親は安冨氏にエリートになる以外の道を許さず、氏は京大に進学。住友銀行(当時)に就職したのち、京大で修士課程に進み、東大教授にまで上り詰めたという。親が望んだ華々しいエリートコースだが、たびたび沸き起こる自殺衝動に長らく悩まされてきたという。

 「どんなに登り続けてもゴールの見えない断崖絶壁を、一人、延々と登り続ける孤独と不安」。しかし、「挑戦することをやめると気が狂いそうになる」のでやめられない。

 そんな安冨氏が「解放」される大きな転機のひとつが「離婚」。同時に両親とも絶縁すると、自殺衝動は消えたという。また2013年から始めた「女性装」も安冨氏を大きく変えたようだ。男らしさの呪縛から解放され、同時に「“自分でないもの”になろうとするストレス」から解放されたという。記事にて、安冨氏は以下のように語っている。

 「今まで私は男らしく振る舞ったり、男らしい恰好をする事で、私自身を“自分でないもの”にしていた。親によって植え付けられた『男は元気ハツラツとした兵士になって、国のために死ね』という洗脳を、知らずに履行していた。それが、自殺衝動や苦しみの原因」

 トップエリートに上りつめた人が、自らの生き方を見直すことは稀だろう。しかし、安冨氏は自身の気持ちと向き合い、生き方を変えていった。その姿が多くの人に勇気や気づきを与え、著書も多数出版している。

 その安冨氏が、れいわ新選組から立候補するというのである。6月27日の出馬記者会見で、女性装に身を包んだ安冨氏は、もっとも大きな原則は「子どもを守る」こと、それこそが基本原則であることを強調した。

 同時に、すでにこの社会は「政策をどうこうしてなんとかなる段階」を超えていることも指摘。政治の原則を変えるためには、「今まで私たちが知っている政治じゃない」存在こそが必要と、れいわ新選組からの出馬を決意した理由を述べた。現代社会を「豪華な地獄」(見た目は素晴らしいけど、中にいると息が詰まって苦しい社会だから)と表現する安冨氏は、「経済」という言葉を「暮らし」に変えなければならないと述べ、以下のように語った。

 「東京タワー建てて、新幹線走らせて、オリンピックやって、大阪万博やったから経済成長したので、スカイツリー建てて、リニアモーターカーひいて、東京オリンピックやって、大阪万博やったらもういっぺん経済成長すると思ってんじゃないかと思いますけど、雨乞いです、こんなの。私たちはその雨乞いのために何十兆円も使ってるんですね。狂気です、こんなの。

 一人ひとりの暮らしが立つってことはどういうことかを、考えなければいけない。私たちの社会の立て付け、法律とかイデオロギーとか思考とか価値観すべて、私たちが、経済と呼んでるものに応じて出来上がっているので、それが続かないと死ぬと思っているけど、それはただの勘違いです。私たちは勇気をもって、自分たちの暮らしを立て子どもを守り、育てるってことをどうやったら実現できるかを考えないといけないし、それには助け合いが必要です。お金では解決できない。だから人と人との関係をとり結ぶ手段が必要なんです。

でも、私たちはそういう能力を失ってきた。なぜなら、そういう能力を持つ人間は資本制生産システムにとっては不便なんです。友だちのこと考えて会社に来ないような奴はダメなんですね。だから友達が一人もいなくてお金が頼りの人間がいなくては、私たちの経済は持たない。私たちは友だちを作る力、助け合いをする力を失ってしまったので暮らしは成り立たなくなり、お金を稼がなくては死んでしまうと思うようになったわけです。

 それを改める以外に、繁栄の中の貧困という意味のわからない世界から抜け出すことはないと思います」

 安冨氏の話を聞きながら、胸が高鳴るのを抑えられなかった。なんだか、今までの「政治を語る言葉」では到底語り得ない選挙が始まりそうではないか。これまでの政治の方程式なんか、まったく通用しない世界。この安冨氏の大きな視点と、山本太郎氏の経済政策が合致したら、と思うだけでワクワクしてくる。安冨氏も、太郎氏の経済政策について、「一部の人が儲けるものではなく、みんなが豊かになる政策だと思っている」と語った。会見のこの日はさらに、時空が歪むような質問が記者の口から飛び出した。

 「新撰組には、安富才助っていう馬術師範がいたと思いますが、安冨さんは子孫ですか?」

 安富って苗字で馬術師範で新撰組って、もう安冨氏の先祖確定だし生まれ変わりに決まってるのでは?

 この質問に安冨氏は、祖父が岡山出身で、安富才助も岡山、ポピュラーな苗字でもないのでもしかしたら遠縁かもとしつつ、「安富才助は土方の遺言を受け取った人なので、太郎さんが倒れる時は、私が遺言を引き受けたい」と述べたのだった。ああ、こんなに時代劇マニアとかが喜びそうな話なのに、いまいち知識が足りなくて悶絶できないことに悶絶する!!

 このように、安冨氏の会見は、終始「隣にいる山本太郎が常識人に見える」という、これまた初めての感覚に襲われながらも無事に終了。これから起きるとんでもない「祭り」に期待値が振り切れそうに高まったのだった。

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