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フィードバックで本音を伝えるのが怖い──それは相手の成長機会を奪っていませんか?

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フィードバックをもらうときは、質問してその場で内容を完全に理解しよう

フィードバックの受け手へのアドバイスもいただきたいです。相手の話を聞く以外に何かすべきですか?

送り手同様、受け手もフィードバックは楽しいものではないことを、事実として認めましょう。

フィードバックの送り手に共感を持つのも大事です。その人はあなたのことを思っているから、何も言わないほうが楽なのに、あえてその話をしているんだと認識しましょう。

そう考えると、感情的になるのを防げそうですね。



その通りです。 あと、「ハーフ・フィードバック」にならないように、気をつけたほうがいいですね。



ハーフ・フィードバック?



ハーフ・フィードバックは、送り手が気まずい思いで伝えてきたフィードバックを指します。内容が抽象的になりがちで、受け手は何を改善したらいいのかわからなくなってしまいます。

たとえば、「あなたは昇進対象に選ばれませんでした。よくやっていると思いますが、次のステップに進むにはもう少し成長が必要です」というような内容です。

たしかにそういう内容のフィードバックはありがちですね。



このような内容があいまいなフィードバックは、聞いたままにせず、質問してください。

「もう少しくわしく聞かせてください。具体的に何を変えたらいいのか教えてくれませんか?」というようにね。

掘り下げて、具体的な改善方法を聞き出すんですね。



はい。フィードバックを受けた後に、その内容を明確に理解できているようにするといいですね。

フィードバックは顔を合わせてやるべき。オンラインツールや匿名では意図が伝わらない

ハディードさんは、毎日だれかにフィードバックをしているんですよね。なぜ、そこまでできるのですか?

人を成長させるのが、リーダーである自分の仕事だと考えているからです。

個人的な目標として、(1)改善すべき点を伝えるフィードバック、(2)現状を承認するフィードバックを、1日1回ずつすることにしています。

この2つのフィードバックをするのは、相手に自分が秀でている点と、改善できる点を理解してもらいたいからなんです。自分に毎日言い聞かせて実行し、リーダーにも同じ姿勢を求めています。

フィードバックは顔を合わせて行う。ときにはビデオ会議を利用することも。Photo by Student Maid

部下の成長にはフィードバックが必須ということですね。



そうです。私たちは「360度評価」も取り入れているんです。

まず、メンバーに自分がよくできている点と改善すべき点を考えてもらい、グループで共有します。それからみんなでコメントし、ほかに共有することがあれば付け加えてもらいます。

オンラインツールを使うのではなく、顔を合わせて行うのもポイントです。

評価やフィードバックのためにオンラインツールを使う企業は多いと思います。なぜそれではいけないのですか?

まず、声のトーンがわかりませんよね。相手の意図と違うトーンを読み取ってしまうのはよくあることです。

匿名のフィードバックは、さらに問題です。フィードバックを読んでも、だれのフィードバックなのかばかりが気になって、内容が頭に入ってこないでしょう。

対面だと、本音を伝えにくいこともあると思うのですが。



厳しいフィードバックをする場合は、受け手の精神状態を考えるのも大切です。

特に360度評価で、改善すべき点をたくさん受けた人は、それを消化する時間が少し必要かもしれません。

私の場合は、受け手に気分を聞いて、時間が必要なようなら、明日改めて話をしよう、と伝えています。

このとき大切なのは、自分で判断をするのではなく、どうしたいかを本人に聞いてみるということ。聞けば希望を伝えてくれるでしょう。

部下のフィードバックに上司からの反応がないような会社は、働く価値がないかも

部下が上司にフィードバックをするときもありますが、この場合、本音を伝えることに抵抗がある人は多いと思います。会社での自分の将来を、上司に決められるという人も多いと思うので......。

上司へのフィードバックは難しいですよね。上司の反応として、2つのパターンが想定されます。

ひとつは好意的な反応。この場合は、感謝して今後どうするか話し合いをすることになります。

もうひとつは否定的な反応です。その場合は、本当にその職場で働き続けたいのか、自分に問いかける時です。

なるほど......。



上司の対応から、多くのことが見えてくると思います。

フィードバックに感謝はしても、それ以上何も言わず、問題の対処方法や解決策を考えないようなら、働く価値のない会社かもしれません。

もし上司が「対策を考えましょう」と言ったなら、あなたにとってベストな方法を考えているということです。

最終的に、あなたの要望が聞き入れられなかったとしても、会社側に腰を据えて解決策を探る意思があるということです。

ハディードさんも、スタッフからフィードバックをたくさんもらっているんですか?



常にもらっています。フィードバックで多いのは、メンバーのプロジェクトに対する私のリアクションについて、ですね。

どんな内容ですか?



「私が不満足だと相手に誤解させてしまう」というものです。

プロジェクトに対して、私はいつも改善点をひとつ伝えるようにしています。

でも、メンバーは「プロジェクトが評価されていない」と思ってしまうことがあるんですよね。本当は評価しているんですけれど......。

確かにそう感じてしまう人はいるかもしれません。



改善法を探すのは私の強みなので、だいぶ努力しました。プロジェクトにもう少し早めに参加させてもらうようにするとかね。

自分のリアクションの傾向が学べたのは、チームからのフィードバックがあったからです。「プロジェクトをいまひとつだと思っている」とメンバーに感じさせてしまったのはなぜかを、具体的に掘り下げていくようにしましたね。

部下の失敗を事前に防ぐか、あえて許容するか。基準は「相手が成長できるかどうか」

ハディードさんの会社では、スタッフの失敗に対して、年々寛容になっているそうですね。 とはいえ、事前に防ぐべき失敗はあるかと思います。

「この人には失敗を経験してもらい、あとでフィードバックをしよう」「この人は失敗するから、その前に一言伝えておこう」と判断する基準を教えてください。

ハディードさんの著書”Permission to Screw Up”のタイトルの意味は、「失敗する許可」(日本語版のタイトルは、『離職率75%、低賃金の仕事なのに才能ある若者が殺到する奇跡の会社』)

その失敗で部下が成長するかどうか、ですね。

失敗によるコストが一定数以上かからないようなら決定権を与える、という人は多いと思いますが、私の考え方はもっとシンプルです。

その人が失敗によって成長するか? と自分に問いかけ、答えがイエスなら失敗するのは止めません。ノーなら、その人自身や会社を傷つけることになるので、事前に対策をとります。

相手の成長がポイントになるんですね。



そうです。ただし、壊滅的なミスをしそうな時でも、「やってはいけない」と言うだけにはしません。どんな影響が出そうか話し合い、計画段階に戻ってほかの解決法を探すよう頼みます。

そして、こちらから答えは伝えません。毎回答えを伝えることは、ミスから守ることはできても、部下の成長にはつながりませんから。

本当に自分のチームを力づけたいなら、時には自分は遠ざかり、メンバーを失敗させる必要もあるのです。

新たに管理職になり、部下へのフィードバックに悩んでいる人にアドバイスをください。



多くの人がフィードバックに苦手意識があるのは、気まずい思いをするからです。

でも、人を成長させる機会があるのに、自分が気まずいからといってやめるのはおかしくありませんか

それはあなたのわがままです。私自身も「フィードバックを億劫に感じるとき、そう思うのは自分勝手だ」と自分に言い聞かせています。効き目は抜群ですよ。

Building Trust Within Your Company Starts with Giving Good Feedback—Interview with Kristen Hadeed (Part 1)" - Kintopia
執筆:Alex Steullet/編集:鈴木統子

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