- 2019年07月03日 10:52
フィードバックで本音を伝えるのが怖い──それは相手の成長機会を奪っていませんか?
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「フィードバックはする側もされる側も、お互い嫌な気分になるものだと認めることが大事」
こう話すのは、米フロリダの清掃サービス会社「スチューデント・メイド」創業者・CEOのクリステン・ハディードさんです。離職率の高い業界ながら、働きたがる人が続出し、スタッフは優秀な学生ばかりだそうです。
チームの上司は、ときに相手を傷つけてしまうフィードバックの伝え方に悩みます。上司から声をかけられるメンバーは、フィードバックに対して身構えてしまいがちです。
2008年の創業以来、フィードバックで多くのスタッフを成長させてきたハディードさんに、サイボウズ式、サイボウズ式のグローバルサイト「Kintopia」編集部員のアレックスが、相手の心を動かすフィードバックの方法について聞きました。
※この記事は、Kintopia掲載記事"Building Trust Within Your Company Starts with Giving Good Feedback—Interview with Kristen Hadeed (Part 1)の抄訳です。
フィードバックは「嫌なもの」。する側もされる側も
ハディードさんは、CEOの経験から、独自のマネジメント・メソッドを確立されていてます。
でも起業当初は、離職率も相当高かったそうですね。どうやってフィードバックの方法を考えていったんでしょうか?
ときには失敗もしつつ、相手の反応を見ながら試行錯誤してきました。
起業当時は、部下にフィードバックするのは苦手でした。というのも、45人ものスタッフが一度に辞めてしまったことがあったんです。
率直すぎるフィードバックをすると、みんなが辞めたくなってしまうのではないかと思って.......。

45人も......。それは衝撃的ですね。
ええ。だから、はじめは優しい言い方にして、「自分は認められているんだ」と感じてもらえるようなフィードバックにしようと考えました。
批判的な内容を伝える場合は、その前後にポジティブな内容を伝え、相手に大きなダメージを与えないように気をつけたんです。
でも、フィードバックを受けた人の多くがとても混乱していることに気づきました。自分の行動をどう改善したらいいのかわからないまま、フィードバックの時間を終えている、という感じでした。
辞めたスタッフは、なぜ自分の抱えている問題を伝えてくれなかったのでしょうか。
当時は、信頼がなかったんですね。
今は、フィードバックとは信頼を築くものなんだと理解しています。自分の本音を伝えれば、受け手も信頼し、本音を話してくれるようになります。
本音を伝えることは、時には受け手を傷つけることにもなりそうですが?
人間である以上、必ずどこかに改善できる点はあるものです。
それなのに、ミーティングや勤務評価で毎回、うまくできている点だけを伝えられたら、フィードバックの送り手を信頼できないはずです。あえて伝えられていないことがあるとわかりますからね。
当時の私は、スタッフに対して正直じゃなかったんです。だから彼らも私を信用しなかったし、正直に話してくれなかったんだと思います。
なるほど。
あと、私が学んだのは、送り手にとって、「フィードバックが嫌なのは当然だと認めていい」ということです。
実際、話を始めるときにそう伝えるのがいちばんだと思います。「本当に言いづらいんだけど、あなたを思ってのことなので、言わせてください」と伝えるんです。
なるほど。
気まずく感じていること、わからないことがあると認めると、フィードバックの受け手はあなたをひとりの人間として見てくれるようになり、信頼関係を築くことができるからです。
あなたが自分本位にならずに本音を受け入れてくれる人だと考えて、こちらの話に耳を傾けてくれるようになるんですよね。
正直に自分の気持ちを伝えれば、フィードバックの受け手も心を開いてくれるんですね。
フィードバックの三大要素は「相手の行動」「自分の気持ち」「自分が受ける影響」
ハディードさんがフィードバックに使っている「FBI」メソッドについて教えてください。
FBIは、気持ち(Feeling)、行動(Behavior)、影響(Impact)の頭文字です。
フィードバックの際は、私の現在の気持ち(F)と、私をその気持ちにさせた相手の行動(B)、私への影響(I)を伝えます。
ふむふむ。
例を挙げましょう。ミーティングに遅刻した部下に、FBIメソッドを使ってフィードバックをすると、次のようになります。
「わたしは残念に感じています(F)。なぜならあなたが今朝ミーティングに30分遅刻してきたからです(B)。そのせいであなたを頼りにしていいかどうかわからなくなっています(I)。」
「自分の気持ち」「相手の行動」「自分が受ける影響」の3点をこの順番で伝えます。 ネガティブなフィードバックの場合は、受け手は自分の行動を改めようとするはずですし、ポジティブな場合は、その行動を継続する気になります。

「なぜ『自分の気持ち』を含めないとならないのですか? 『行動』と『影響』だけではいけないのですか?」
よく、こんな質問を受けますが、それはダメです。 なぜなら、自分の行動が感情面でも周囲に影響を与えるものだと気づかないと、人はやる気にならないからです。
ふむふむ。
もうひとつ、効果的な方法があります。
人にFBIを伝えた時は、「明日私にもフィードバックを下さい。私や会社がどうしたらもっと良くなるかを教えて下さい」と伝えるんです。
これで、双方向的な関係をつくることができます。信頼を築く上でとても大切なことです。
この方法は、上司と部下だけでなく、どんな関係性でも有効ですね。
フィードバックの際、ポジティブとネガティブな発言のバランスはどう取っているんですか?
バランスというよりは、まずフィードバックをするときには「本心からすること」を心がけることです。
そして、「評価する」という目的のためだけに人を評価しないでください。
私の会社では、何かいいことに気づいたら口に出すようにしています。だれかがいいことをしたとしても、それを見たのが自分ひとりだけだったら、ほかの人に伝えない限り、そのことは評価されませんから。



