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日本が50以上の原発と大量のプルトニウムを抱え込んでしまった本当の理由

日本の原子力の歴史を網羅的に記述した文章が米国のPEC(Public Education Center)により公開された。 

United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium

非常に中身が濃いので簡単に要約などできないが、この文章を読むと、日本の原子力発電と宇宙開発が「日本はいつでも核兵器を作ることができる」という「非核・核カード」を持つために押し進められたことが良く分かる。

私の目を引いた文章は何カ所もある。たとえば、

In October 1964, communist China stunned the world by detonating its first nuclear bomb. The world was caught by surprise, but nowhere were emotions as strong as in Japan. Three months later Japanese Prime Minister Eisaku Sato went to Washington for secret talks with President Lyndon Johnson. Sato gave LBJ an extraordinary ultimatum: if the United States did not guarantee Japan’s security against nuclear attack, Japan would develop a nuclear arsenal. The ultimatum forced LBJ to extend the U.S. “nuclear umbrella” over Japan. Ironically, this guarantee later enabled Sato to establish Japan’s Three Non-Nuclear Principles: to never own or produce nuclear weapons or allow them on Japanese territory. The policy won Sato the Nobel Prize for Peace. The Japanese public and the rest of the world never knew that these three principles were never fully enforced, and Sato allowed the secret nuclear weapons program to go on.

という部分。この文章によると、日本が米国の「核の傘下」に入ることになったのは、佐藤栄作がリンデン・ジョンソン大統領に「米国が日本を中国による核攻撃から守ると約束しない場合は、日本が自分で核兵器を作る」と脅したから。これによってノーベル平和賞を獲得したのだから、素晴らしい交渉力だ。

次の文章も興味深い。

By 1988, when the Senate ratified Kennedy’s U.S.-Japan Nuclear Agreement, Japan was one of only a few countries in the world that regarded plutonium as an asset, not a liability. The Soviets and Americans were trying to devise ways to store and secure vast quantities of this long-lived, radioactive element. In places like Germany and Italy, strong public protests compelled governments to store plutonium outside their own national borders.

冷戦も終わりに近づいた1988年ごろには、ソビエトも欧米諸国はどこも自国に溜め込んでしまったプルトニウムを「負の資産」と見ていたにも関わらず、1960年代に佐藤栄作が立てた国家戦略をひたすら押し進めていた日本だけがプルトニウムを「価値のある資産」と見なしていた、という話はなんとも言えずに皮肉だ。

その結果が、六ヶ所村の再処理工場であり、見果てぬ夢の「もんじゅ」なのだ。

結局のところ、日本が50以上の原発と大量のプルトニウムをバカみたいに抱え込んでしまった理由は、冷戦時代に佐藤栄作が立てた「『核兵器なしの核の抑止力』を持つために原発を作り、プルトニウムを備蓄する」という戦略を、ベルリンの壁が崩壊してからも20年以上も方向転換せずに、走り続けて来てしまったことにあるのだ。

本来ならば、トップに立つ政治家が「方向転換」を指示しなければならないのだが、ここ20年は政治家の影響力は落ちる一方で、本来の「舵取り」をする人がいないのが今の日本の一番の問題だ。

その結果、与えられた仕事を着々とこなすのは上手だが、ちゃぶ台をひっくり返すようなことは決して出来ない霞ヶ関の官僚が、1960年代に立てられた時代遅れの国家戦略を2012年の今になってもコツコツと実行しているから、原発を止めることもできなければ、使用済み核燃料の処理問題も先送りしたままで放置しているのだ。

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