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中日応援歌が「お前」で使用自粛 他球団で多く使われている現状

プロ野球・中日ドラゴンズの応援団が1日、応援歌の「サウスポー」に不適切なフレーズがあるとして、当面の使用自粛を決めたことをTwitterで明かした。報道によると、歌詞内の「お前」という表現が子どもにとって不適切と判断され、今シーズンから就任した与田剛監督の「『お前』より名前のほうがよい」との意向も影響したという。

サウスポーは応援歌としては定番で、高校野球でも広く演奏されている。長く親しんできた応援歌だけに、「意味不明」「不適切さは感じられない」「ファン離れが進む」「言葉狩りだ」などと、ドラゴンズファンの間で困惑する声が目立つ。

果たして、「お前」は不適切な表現なのか。Twitterなどの情報を参考に他球団の応援歌を見ても、「くたばれ」「燃やせ」などのきつい表現は数多く見られる。野球の応援という状況を考えれば違和感は覚えない。「子どもには不適切」とした中日球団の対応は唐突感があり、過剰という印象を拭えない人も多いのではないか。

写真AC

サウスポーは、ランナーが2、3塁に出塁するなど得点のチャンスに流れる「チャンステーマ」だ。原曲はピンク・レディーで、ドラゴンズでは2014年から使われていたという。歌詞は次の通りだ。

オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!
(Let's Go 【選手名】 Let's Go 【選手名】)
みなぎる闘志を奮い立て
お前が打たなきゃ誰が打つ
今 勝利を掴め (オイ オイ 【選手名】)

(中日応援団公式ホームページから)

問題とされたのは、「お前が打たなきゃ誰が打つ」の部分だ。朝日新聞によると、チーム内から「選手に失礼では」「子どもの教育上、よくないのでは」との声が上がった。応援団は球団から歌詞の変更を打診されたものの、急な変更が難しいため当面の演奏自粛を決めたという。

この件で、応援団は1日午後3時、【重要なお知らせ】と題したツイートを配信。「サウスポー」の使用自粛についてファンに理解を求める内容で、2日午後7時現在で約1.4万件リツイートされるなど反響を呼んでいる。

ネット上の反応は、使用自粛を疑問視する内容が大半だ。

中日ファンとして知られる立川志らくさん。ツイートで「お前」の言葉について「高い敬意を持って使われていた」と指摘し、使用自粛を強烈に批判した。

他球団の応援歌はどうなっているのか。チャンステーマを調べると、ドラゴンズのほかに、広島東洋カープ、福岡ソフトバンクホークス、北海道日本ハムファイターズ、オリックス・バファローズなどで「お前」という言葉が用いられている。

[全員パート] 勝利を掴みとれ 「選手名」
(以下、繰り返し)
[全員パート] 勝利に向かって突き進め 打ちまくれ打ちまくれ
お前の力を見せてくれ それ行け 「選手名」
[男性パート] ここで決めろ [女性パート] ここで決めろ
[全員パート] 「選手名」

(福岡ソフトバンクホークス公式ホームページから)

選手個人の応援歌にも「お前」の表現が目立つ。読売ジャイアンツの坂本勇人内野手の応援歌は次の通りだ。

オオオ オオオ オオオ オオオ オー燃えろ(坂本!)
誰よりも強く勇ましく オオオオオオ
お前が立つその場所は 熱気の渦が巻く
坂本 炎となれ

(読売ジャイアンツ公式ホームページから)

「坂本 炎となれ」の一言は強烈だ。ジャイアンツで活躍したウォーレン・クロマティの応援歌は、「お前が打たなきゃ 明日は雨 クロマティー」というフレーズでファンに知られている。

各球団の応援歌を見ると、選手名を呼び捨てにしており、「戦え」「敵」「闘志」など強い言葉が並ぶ。選手への親近感と、活躍してほしいとの思いから、ほとんどの野球ファンが疑問も抱かずに歌詞を叫んできたはずだ。

プロ野球を見る機会が少なくない。今回の問題を受けて、思い出したのは先月30日に横浜スタジアムのレフト側スタンドで見た光景だ。7回表の広島東洋カープの攻撃。先発投手に代わって、代打の松山竜平外野手が打席に立った。

応援団の太鼓の音に合わせて、カープファンが声を揃えた。「オイッ!!打て!!!」。
泥酔した中年男性も「オイッ!!打て!!!」。
翌日は学校があるはずの小さな女の子も「オイッ!!打て!!!」。

脂がのった33歳のベテラン選手に向かって、「オイッ!!」呼ばわりで「打て!!!」。

見事に松山選手がレフトへのヒットで期待に応えると、スタンドからは割れんばかりの歓声が起こった。カープを応援する身としては、期待が叶ったこの瞬間こそ最高だ。応援とは、「何とか選手の力になりたい」というファンの思いの表現手段以外の何物でもないはずだ。


メガホンを持ったり、応援歌を歌ったり。7回のラッキーセブンになれば、ジェット風船を飛ばす球団もある。「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた戦後から、プロ野球は国民に人気の娯楽として定着してきた。野球の本場・アメリカには無い日本独特の応援スタイルも、そうした人気を下支えしてきた。

ドラゴンズ広報部は今回の件について、「球団、応援団で協議した結果、当面、使用を控えることとしており、歌詞については検討している段階」としている。

プロ野球をめぐっては、かつての「たかが選手」という暴言も記憶に新しい。当時の選手を支えたのはファンであり、そうしたファンあってこその球団だ。

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