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幼児教育無償化で浮いたお金、使っていいのは11年後?

「幼児教育無償化」、「高等教育無償化」という言葉を見聞きすると、わが子のための教育費のあれこれがタダになり、トータルではずいぶん安くなるという期待を持ってしまいそうです。

けれど、「2019年、子育て世帯の教育負担は軽減されるのか」にもあるように、わが家が対象になるかどうか、対象になるとしたらいくらなのかということを理解してからでなくては、安くなるとは言えません。
今回は、上記の新しい制度の仕組みと家計の時間軸をリンクさせて考えてみます。

払わなくてすむ保育料、ホントはいくら?

現在、幼稚園や保育園の保育料は、「子ども・子育て支援新制度」の枠組みの中で上限が決まっていて(新制度になっていない幼稚園もあります)、保護者は所得に応じて、市町村が決めた金額を払っています。

たとえば、年間収入が約470万円の場合、保育園に通う3歳児の保育料月額がA区では1万4,100円、B市では1万5,600円、C市では2万1,700円です。

幼児教育無償化では、これらの保育料をゼロにするということなので、C市在住の3歳児の家庭では2万1,700円の負担がなくなります。

ただし、2万1,700円には給食費などが含まれていて、無償化の対象ではない部分は今後も家庭が負担しますから、家計の軽減額は2万1,700円よりも小さくなります。

無償化実施後の自己負担額が仮に1,700円だとすると、C市在住の3歳児の家庭では、家計からの支出がこれまでよりも2万円減ることになります。

毎月2万円の支出が減れば、家計はずいぶん楽になります。食費がちょっと増えたり、子どもの習い事を一つ増やしたり、これまで自宅でカットしていた子どもの髪も美容院で切ってもらうこともできるでしょう。

けれど、油断は禁物です。
子どもの成長とともに増える支出が待っているからです。

子どもの成長に比例して増える教育費に使いたい

子どもの成長とともに支出は増えますが、おそらく、保護者の収入は連動して増えません。子どものための支出をしたいときに、その年の収入で足りなければ、支払えないことになってしまいます。

学校でかかる費用は通常、節約のしようがありませんし、食費なども簡単に減らすことはできません。そうなると、学校外の教育費が影響を受ける可能性が出てきます。



「学校外教育活動に関する調査2017(ベネッセ教育総合研究所)」によると、学校外活動費の支出ピークは中学3年生。1か月あたりの金額は2万5,900円で、うち教室学習活動費が1万7,500円となっていますから、塾代が約68%を占めています。

学校外でかかった費用を集計した内閣府の調査でも同じ傾向がみられます。

塾代は、高等教育に進むために必要な学びや成績のためのものでもあるでしょう。教育費をためるために塾に行けないようでも困るでしょうし、塾代を出したがゆえに進学費用の貯蓄ができないのも困ります。

ところで、「教育費をためる」という時、その教育費は大学や専門学校などの高等教育の費用を指します。大学の学費は1年間分または半年分を一括で前払いすることが多いうえに、1年間あたりの金額が高校までよりも高い(私立小学校をのぞく)ため、あらかじめためておかなくてはならないからです。

「高等教育の負担軽減(無償化とはあまり言わなくなっています)」は、住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯だけが対象です。そのため、該当しない家庭では、これまでと同じように準備する必要があります。

私立大学文系の4年間の費用に相当する500万円を、18年間でためようとすると、1年間あたりの積立額は約27万8,000円、1か月あたり約2万3,150円です(利息・税金は考慮せず)。

大学の費用を積み立てながら塾代も負担してやりたい時期が来ることを見越し、幼児教育の無償化で浮いたお金は、大切に取り分けておくことです。



前述のC市の例では1か月あたり2万円浮くわけですが、今、お子さんが年少クラスに通っているとすると無償化によって払わずに済む金額は60万円になります。

<条件>無償化実施開始から卒園まで2年6か月
軽減額:期間を通じて月額2万円
<計算>2万円×30か月=60万円

60万円には手をつけず、大学の費用に充てるのが望ましいでしょう。学校外活動費がピークになる11年後の中学3年生で預貯金ができなかったり、塾代が不足する場合にも役立ちます。

(筆者:菅原直子)

「子ども・子育て支援新制度について、VI.公定価格・利用者負担」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/pdf/setsumei6.pdf

「学校外教育活動に関する調査2017」
https://berd.benesse.jp/up_images/research/2017_Gakko_gai_tyosa_web.pdf

「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_hiyo/pdf/zentai/data1_1.pdf

プロフィール

菅原直子

「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

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