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自民党のトンデモ参院選資料に石破茂元幹事長が「怪文書だ!」

選挙本部の看板前で気勢を上げる安倍首相(共同通信社)

著者不詳の「演説用資料」(イラストは冊子より)

 迫る参院選(7月4日公示、21日投開票)に向け、自民党本部が配布した「演説用資料」が波紋を呼んでいる。

【写真】イラストに描かれた枝野氏らしき人物はヨダレを垂らしている

 自民党に所属する衆参国会議員の事務所に各25冊ずつ届けられたという冊子のタイトルは『フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識』。インターネットのサイト「テラスプレス」の記事からピックアップし、加筆、修正した内容を掲載したとある。その内容が“激烈”だ。

 立憲民主党の枝野幸男代表について〈革マル派に近いといわれています〉と、かねて安倍晋三首相が国会でも言及してきた主張(*)が繰り広げられ、国民民主党に合流した小沢一郎衆院議員については〈どんな世界にも飽きられて終わってしまったものはありますが、政界ではまさに小沢一郎氏がそうではないでしょうか。政界のオワコンです〉と手厳しい。

【*2014年10月の衆院予算委員会で閣僚の任命責任を追及する枝野幸男・民主党幹事長(当時)に対し、安倍首相は「殺人や強盗を行なった革マル派活動家が指導的立場に浸透しているとみられる団体から献金を受けていた」と反論した】

 批判が集まった厚労省の「毎月勤労統計」の不正問題については、〈立憲民主党や国民民主党は、民主党政権時代も不適切処理があったことは素知らぬ顔で安倍政権を批判し続けるのでしょうが、あまりにもさもしい政党〉と強引に矛先を変える。

 かたや安倍政権については、〈安倍首相の外交力は、現在の日本にとって重要な“政治資源”〉〈もはや安倍首相は、日本の外交ばかりか、世界のリーダー〉と礼賛一色だ。

 記述以上にインパクトがあるのは添えられたイラストだ。大きめの耳たぶが特徴的な“枝野氏らしき人物”は呆けたような目に、口からはヨダレを垂らしている。こめかみの横にはクルクルマークまでついている。共産党の“志位和夫委員長らしき人物”には犬の耳と手がついている。

 一方、さわやかな笑みを浮かべた精悍な男性のイラストは、“安倍首相らしき人”。“野党へのヘイト”にしか見えない冊子を、自民党は選挙演説の“アンチョコ”にしようとしたのか──。

◆政治家のイラストで人格攻撃

 元ネタとなった「テラスプレス」なるサイトが正体不明なことも、この「資料」が物議を醸している理由だ。

「資料」に記載されたURLを直接入力するとテラスプレスのサイトに辿り着く。昨年7月から記事が配信された形跡がみられるが、一般的な政治団体のサイトに記載されている所在地や問い合わせフォームはない。

 加えて不可解なのは、自民党の「選挙資料」の出典元にもかかわらず、石破茂元幹事長については、〈空疎な経済政策〉などの批判が並べられていることだ。

「誰が書いたのかも、誰が金を出しているのかも、誰が運営しているのかもわからない、そういう類のものを“怪文書”と呼ぶ。だからこの冊子は自民党版怪文書ですかね」

 そう話すのは石破氏本人だ。昨年9月の総裁選に出馬した際に、テラスプレスが自身を批判していることは把握したという。石破氏の事務所にも届けられた「資料」についてこう呆れる。

「選挙が近いので何らかの冊子が(党本部から)配布され、支援者や無党派の方々に配ったりすることはあります。でもこの冊子はあり得ない。自民党はフェアな政党のはず。“何者が作ったのかわからない冊子を選挙演説の参考にしなさい”というのは、私が好きな自民党がやることではない。

 選挙だから野党を攻撃するのは当然だが、野党を支持する有権者にも自民党を支持してみようかなと思わせることも大切なこと。いかに野党を大事にし、その後ろにいる国民に納得してもらうかを昔の自民党は実行してきました。それがこの冊子のように、“自民党だけ、安倍政権だけが正しい”なんて言うと国民を分断するだけ。政治家のイラストで人格攻撃をし、誹謗中傷、侮辱に近い内容です。これを参考に若手議員が演説をしたら大変なことになりかねない」

 自民党本部に「演説用資料」作成の経緯や関係などについて尋ねると、

「大手新聞の社説やコラムのように説得力のある内容であることから、これらの記事をまとめた冊子があるということで、通常の政治活動の一環として、参考資料として配布したものであり、テラスプレスの運営等には関与しておりません」

 とだけ回答した。

 安倍首相への問責決議案で野党にドスを利かせた三原じゅん子参院議員が目にしたなら、自民党にも「恥を知りなさい」と言うだろうか。

※週刊ポスト2019年7月12日号

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