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主権者教育の再認識

 平成27年の通常国会に私が座長を務めた超党派のプロジェクトチームが、公職選挙法改正案を提出し、選挙権年齢を満20歳から満18歳以上に引き下げた。1年の周知期間を経て、平成28年の第24回参議院議員選挙から実施された。あれから3年が経過して、次の参議院選挙が目前に迫っている。選挙権年齢の引き下げは70年来の大改革で、若者の政治参画を促す目的があったが、投票率はどうだったのだろうか。

 前回の参議院選挙の全体投票率が54.70%なのに対して、18歳が51.28%、19歳が42.30%だった。また平成29年10月実施の衆議院選挙の全体投票率が53.68%なのに対して、18歳が50.74%、19歳が32.34%だった。新たに選挙権を得た18歳の投票率は全体のそれにかなり近くなっているが、19歳となると大幅に低下する傾向が見てとれる。

 18歳では多くの若者は親と同居しており、また高校生として周囲からの働きかけも多く、主権者教育の一定の成果が出ていたと見ることが出来る。しかし19歳となると環境も大きく変わり、折角の教育も剥げ落ちてしまうのではないだろうか。付け焼き刃でなく、効果の長続きする主権者教育が望まれる。

 効果の長続きするものとはどういう教育だろうか。政治の仕組みなどの知識を詰め込むだけではやはり駄目だと思う。毎日の新聞に目を通して、世の中の動きや政治の動きに関心を持つことが、まず大切だ。しかしそれではまだ不十分で、「人口減少社会でも活力を失わないためにはどうしたら良いか、戦争を起こさないためにはどうしたら良いか、どのように予算配分したら皆が満足するか」など、身の回りの課題を取り上げて、先生やクラスメイトとディベートしたり、皆の前で発表したりといった実体験が重要ではないか。

 文科省は新しい学習指導要領の目玉として、ディベートやプレゼンテーションなどのアクティブラーニングの要素を取り入れようとしている。これはどの教科でも大切だが、取り分け主権者教育においては特に重要である。現場の教員に求められることは、これらが教科の付け足しではなく、教科のど真ん中を形成しているという認識である。主権者教育の一層の進化を実現しなければならない。

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