- 2019年07月01日 12:12
長期入院や療養による子どもの空白埋めるNPO
1/2小児がんや慢性疾患などで長期の入院や療養を余儀なくされた子どもたちは、病院にいる時間が長くなる分、社会体験が不足しがちです。「学校に戻っても自分の居場所がないかもしれない」「勉強についていけないかもしれない」、そんな不安を抱える子どもたちへ学習や復学を支援する団体が岡山にあります。(JAMMIN=山本 めぐみ)
病気を抱える子どもたちの復学や自立を支援

岡山市を拠点に活動する認定NPO法人「ポケットサポート」は、小児がんや慢性内臓疾患などで長期の入院や療養が必要な子どもたちに対して、学習・復学・自立支援を行っています。
代表理事の三好祐也(みよし・ゆうや)さん(34)は、5歳の頃に慢性の「ネフローゼ症候群」を発症し、義務教育のほとんどを病院で過ごしました。自身の経験から、慢性疾患のために継続的な治療をしていたり、生活の中で規制が必要な子どもたちを支えたいと団体を立ち上げ、活動を始めました。

「病気による制限はあるかもしれません。しかし、制限の中では思いっきり遊んだり学んだり経験したりできるわけです。その環境を僕たちが提供できてれば」と活動への思いを語ります。
病気の子どもが抱える不安とは

「病気の子どもたちが抱える課題は、物理的なものから心理的なものまで幅広い」と三好さんは指摘します。
「まず、入院そのものが子どもにとっては大きな変化。この間までは元気で走り回っていたのに、ある日突然『動いてはいけません』という状態になる。お父さんお母さん、きょうだいやペットからも切り離される。家族との分離体験が、子どもにもたらす影響は少なくありません」

「次第に病院の生活に慣れて病状が安定してくると、次に訪れるのは『このまま自分はどうなっていくんだろう』という不安です。最初は治療で精一杯ですが、命が守られてなんとなく生活ができるようになってきた時、目の前の病気や治療のことから『学校はどうなっただろう』『友達はどうしているだろう』と気持ちが病院の中から外にシフトしていきます」
「一方で退院できる時期になると、元の生活から長く離れていた分、『退院した後、どうしたらいいんだろう』という不安を覚えます。
退院の際に『もとの生活に戻る』という表現こそ使いますが、病気になる前に戻ることはできない。病気を経験した自分は、病気を経験する前の自分ではない。病気を抱えながら共に生きていかなければならないんです。病気が完治したとしても、そこまでにかかった時間は取り戻すことはできません」
「病院ではどうしても疾患を見られて、自分を見てもらえない」

「入院中、ベッドに横になって見上げると白い天井があって、隣には点滴の棒があって。入院中はポジティブなことが考えられなくなるというか、『病気の自分』しか想像させてくれない空間なんです」と三好さんは自身の経験を振り返ります。
「病気になって入院すると、たとえば『◯◯病の◯◯くん、◯◯ちゃん』というように自分の枕詞(まくらことば)がその病気になってしまう。疾患を見られて自分を見てもらえないというか…。命を救うために入院しているわけなので治療が優先なのは理解できるし、ある種それは仕方がないことではあるのですが…、『本当に仕方がないことなのか』という疑問があります」
「(退院して)普段の生活に戻ったとしても、その経験が心の中に残っている。僕たちが携わることで、この体験は決してネガティブだけではないということを感じてほしいと思っています」
- オルタナS編集部(若者の社会変革を応援)
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