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小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」、東京新聞の社説だけが、検察審査会の問題点を炙り出している

◆小沢一郎元代表の「暗黒人民裁判」は、検察審査会法に内在する様々な問題点を炙り出している。それは、日本の民主主義を危険にさらすとともに、基本的人権を危うくするものが含まれているが故に、根本的な法改を促している。
 この問題を鋭く指摘しているのは、東京新聞の5月10日付け朝刊の社説である。全文については、このプログの最後に「参考引用」しておく。この社説は、公正中立な立場で書かれていて、多くの読者が、極めて高い評価を与えている。

 日本のマスメディアは、「公正中立」「不偏不党」を建前に掲げていながら、実際には、「偏向報道」に終始しているのが、実情である。とりわけ、小沢一郎元代表に関する報道は、極端なほど、偏向している。いかに日本国民の多くが勧善懲悪好きだからと言っても、これはかなりひどい。米CIA新聞と言われている読売新聞をはじめ、自民党「清和会」と関係が緊密な統一協会との関係が濃厚な産経新聞、あるいは、朝日新聞、毎日新聞、駐日米大使館と直結していると見られている文藝春秋、それに近年、「反小沢色」を鮮明にでしている週刊現代などのマスメディアは、人権無視の極度な偏向報道を続けている。

◆そのなかで、東京新聞は、5月10日付け朝刊の社説で、極めて冷静かつ論理的に検察審査会の問題点を指摘して、多くの読者ばかりでなく、インターネットのなかでも評判を呼び、大喝采を呼び、この社説自体が猛烈な勢いで全国津々浦々に拡散し、新規読者を増やしている。毎日新聞記者出身の私も、この東京新聞現象には、驚嘆させられている。半面、毎日新聞の社説には失望感が著しい。

 検察審査会の問題点の1つは、検察官役の弁護士が、第一審から第3審までずっと検察官役を務めることが許されているということである。そうだとすれば、検察庁はもう1つ別の検察システムを持つことを意味しているのかという疑問が湧いてくる。しかも、指定弁護士は、報酬として各段階の審理で最高限度120万円を受け取りながら、最終審までボランティアとして検察官役を務めなくてはならない。

 2つ目は、正規の検察庁は、最高検から地検に至るまで「検察官一体の原則」で活動しているのに、検察官役の弁護士は、この原則に拘束されるのであろうか。検察官役の弁護士は、日常業務では私人であるのに対して、検察官役であるときは、国家公務員として扱われるのか。この場合、だれかから現金を受け取った場合、収賄罪にはならないのであろうか。

 3つ目は、公訴権を与えられていることをもって、「控訴権」「上訴権」まで同じ指定弁護士に与えられていると解釈していいのであろうか。この点は、検察審査会法には名文規定はない。いわば欠陥法になっている。
 4つ目は、原点に立って考えてみると、検察審査会が、「白黒」をつけられないので、ともかく裁判で決着してもらおうという程度の感覚で地裁の審理にかけて、判決を得れば、
それ以上のことは、検察官役の弁護士に期待されていないにもかかわらず、さらに、第二審、第三審まで裁判を行い、しかも、被告人を有罪にもって行くことが許されているのか。

 検察審査会に関するあれやこれやの疑問に対して、東京新聞は、文字通り、「良識(コモンセンス)」に基づき、明快な答えを示している。何かとエキセントリックな偏向報道に走り勝ちなマスメディアがあふれている日本において、珍しくまともな新聞であることを改めて感じさせられる。
 小沢一郎元代表の件を検察庁に告発し、また検察審査会に申し立てたのは、マスコミ関係者と称するたった1人の人物と言われているけれど、検察庁や検察審査会は、その正体すら明かさず、秘密にしている。おまけに、審査員11人についても、秘密にしている。これでは、小沢一郎元代表の裁判が、「暗黒人民裁判」というワッペンを貼り付けられるのは、当たり前である。  
【参考引用】東京新聞は5月10日付け朝刊の社説で「小沢元代表控訴 一審尊重へ制度改正を」という見出しをつけて、以下のように述べている。
 「一審無罪の小沢一郎民主党元代表を検察官役の指定弁護士が控訴するのは疑問だ。そもそも検察が起訴を断念した事件だ。一審無罪なら、その判断を尊重するよう検察審査会制度の改正を求めたい。
 新しい検察審制度で、小沢元代表が強制起訴されたのは、市民が「白か黒かを法廷で決着させたい」という結果だった。政治資金規正法違反の罪に問われたものの、一審判決は「故意や共謀は認められない」と判断している。
 つまり、「白」という決着はすでについているわけだ。検察が起訴する場合でも、一審が無罪なら、基本的に控訴すべきではないという考え方が法曹界にある。国家権力が強大な捜査権限をフルに用いて、有罪を証明できないならば、それ以上の権力行使は抑制するべきだという思想からだ。
 とくに小沢元代表の場合は、特捜検察が一人の政治家を長期間にわたり追い回し、起訴できなかった異様な事件である。ゼネコンからの巨額な闇献金を疑ったためだが、不発に終わった。見立て捜査そのものに政治的意図があったと勘繰られてもやむを得ない。
 小沢元代表はこの三年間、政治活動が実質的に制約を受けている。首相の座の可能性もあったことを考えると、本人ばかりでなく、選挙で支持した有権者の期待も踏みにじられたのと同然だ。
 新制度は従来、検察だけが独占していた起訴権限を市民にも広げる意味があり、評価する。だが、新制度ゆえに未整備な部分もある。検察官役の指定弁護士に一任される控訴判断はその典型例だ。検察でさえ、控訴は高検や最高検の上級庁と協議する。
 指定弁護士の独断で、小沢元代表をいつまでも刑事被告人の扱いにしてよいのか。「看過できない事実誤認」を理由とするが、検察審に提出された検察の捜査報告書などは虚偽の事実が記載されたものだ。どんな具体的な材料で一審判決を覆そうというのか。
 むしろ、「白か黒か」を判定した一審判決を尊重し、それを歯止めとする明文規定を設けるべきだ。最高裁も二月に、控訴審は一審の事実認定によほどの不合理がない限り、一審を尊重すべきだとする判断を示している。むろん被告が一審有罪の場合は、控訴するのは当然の権利だ。
 検察による不起訴、強制起訴による裁判で無罪なのに、「黒」だと際限なく後追いを続ける制度には手直しが急務である」

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