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「弱みを見せると社会的立場を失う」という考えは、なくなりつつあるのでは?

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信頼をベースにして「弱み」をシェアする

そこで思い出すのは、以前いたチームで、上手に「弱み」=自分が抱えている個人的な事情、について公表してくれたAさんのことです。

彼のお子さんには持病があり、不定期に通院や検査が発生するので、プロジェクト開始時に「こういうケースで休んだり、サポートをお願いすることがある」、とシェアがありました。

事前にAさんから「弱み」のシェアがあったことで、チーム内には自然と「Aさんは平日昼間、急に不在になることがありえる」という認識が広まりました。突然休まれると、残されたメンバーに急にタスクを振り分けることになり、負荷が高まります。であれば、事前に「Aさんがいつ休んでも大丈夫」なように準備をしておこう、という前提で仕事をするようになりました。

具体的には、報告書などの作業をあらかじめ前倒しで進行したり、Aさんがいつ急に不在となってもいいように、常に2人1組で作業に当たるようにしました。そして情報共有に漏れがなくなるよう、状況のシェアを意識するようにしました。そうすることで、誰かが情報を抱えることがなくなったのです。

結果、Aさんがいつお休みになっても大丈夫、という状態ができ、それを他のメンバーにも適用することで、全員が「いつ自分が休んでも大丈夫」な状態を意識して仕事をするようになり、それは「いつ誰が休んでも、その作業を誰かができる」という、全体のレベル向上につながったのです。

人生の「すべきこと」は他人に任せにくいが、「タスク」まで落ちていればチームで支えられる

この経験で感じたのは、育児や介護、サポートが必要な家族の存在、自分の持病など、それぞれの人生で背負わなければいけない「すべきこと」は、他人に任せにくいものですが、それが「タスク」にまで落ちていれば、ある程度はチーム内でワークシェアできるということ。

わたしが彼のお子さんのケアをすることは難しくても、彼がお子さんのケアをする間に発生するタスクを肩代わりすることは、可能だからです。

このことから、チームメンバーがおたがいの「弱み」をあらかじめ知っておけるというのは、「トラブルの事前防止策を講じておける」のだと実感しました。突発的なトラブルでもっとも怖いのは、対応策を立てる時間が取れないこと。

時間が取れないと、単純な作業でも緊急度が上がり、メンバーに負荷がかかります。時間をかけて準備しておけば簡単に対応できた問題でも、突然すぎて受けきれなかった、という経験は、誰しもあるのではないでしょうか。

そのためには、事前に自分が持っている「すべきこと」を把握し、それにどんな作業が必要で、どんなタスクが発生するのか、の分類と整理が必要になります。どうしても自分が置かれている状況というのは俯瞰しにくいもので、何を持っていて、何を持てそうにないか、というのは自分ひとりでは把握が難しい。そのために他者へ「弱み」を開示し、一緒に事前防止策を考えておくことが重要ではないか、と思うのです。

「弱みを見せると社会的立場を失う」時代は終わりつつある?

いままで「苦手」「弱み」の開示は、ネガティブなものとしてとらえられてきました。個人の「苦手」は、チームの仲間に「迷惑」をかけるもの、と思われがちだったからです。

しかし、「心理的安全性」という観点でみると、それぞれが「苦手」を開示し、お互いに受け入れることで精神的な安全性を得られ、むしろチームの効果性を向上させる。そうであれば、取り入れない手はありません。

チームメンバーの「弱み」を知り、事前にタスクに落とし込んで、ワークシェアできるよう因数分解しておく、というのは、「どんな状況にも対応できる」という「強み」になる。この習慣は身につけておくと、どんなときでも役に立つ、つまり「持ち運び可能なスキル」になるだろうと思います。

働き方が「メンバーシップ型(人を確保してから業務を割り振る)」から「ジョブ型(業務に対して人が割り振られる)」に移行しつつある今、自分の「強み」と「弱み」をセットで開示し、誰にでも「弱み」がある前提で組むチームは、もっと強くなる。

それは自分の「強み」と「弱み」をあらかじめ把握できている人同士が集まることで、業務をカバーしあえるからです。

人間が生きていくうえで「弱み」と「強み」はセットであり、「弱み」がない人間はいません。それは「個性」とも言い換えられるものだからです。これからの時代のチーム作りでは、おたがいの個性を隠さず開示し、心理的に安心できる状況を作ることが大事なのではないでしょうか。

やや楽観的かもしれませんが、「心理的安全性」の面からも、チームのパートナーシップの上でも、そういう時代が来ることを、願ってやみません。

今日はそんな感じです。
チャオ!

執筆・はせおやさい/イラスト・マツナガエイコ/編集・明石悠佳

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