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「弱みを見せると社会的立場を失う」という考えは、なくなりつつあるのでは?

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先日、Googleの「re:Work」というWebサイトが話題になりました。

これは、Googleをはじめとする、さまざまな組織の働き方のアイデアを集めたもので、採用、目標設定などのテーマについてのテキストが読めるサイトです。その中にあるページで、「心理的安全性」というトピックについて触れられていました。

心理的安全性: 心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。

今日は、この「心理的安全性」について思うことを、書いてみたいと思います。

「心理的安全性」を提供できるかどうかと、プロジェクトの成功には関わりがある

以前、「「だから言ったのに」という人の言葉を無視してはいけない」という記事を書きました。あるプロジェクトで、ネガティブな発言をするメンバーを軽んじた結果、うまくいかなかったときの話です。


2015年10月14日
「だから言ったのに」と言う人の言葉を無視してはいけない

このときも「ネガティブな発言をしにくい環境」を作ってしまったことで、プロジェクトを成功まで導くことができませんでした。ポジティブな意見しか聞きたくないという、発言の種類を制限するような空気を作ってしまったことで、あるメンバーが口をつぐんでしまい、全体を俯瞰した意見を取り入れられなかったのです。

つまり、「どんな種類の意見を言っても、このチームなら大丈夫だ」という「心理的安全性」がない状態でプロジェクトを進めてしまった。その結果、偏った視点しか得られず、防げたはずのトラブルを防げませんでした。いま振り返ってみても「心理的安全性」を提供できるかどうかと、プロジェクトの成功には関わりがあると感じます。

そして「心理的安全性」の定義にある「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」という部分をかみくだいていくと、「苦手」と「弱み」をシェアできる環境が大事だ、とも言えるのではないかと思います。

人間には必ず「苦手」や「弱み」がある

チームはさまざまな人が集まって仕事をしています。その中には、得意分野が違う人、苦手分野が違う人、さまざまなタイプがいて当然です。そしてスキル的な「苦手」「弱み」以外にも、人間的な意味での「苦手」「弱み」も人それぞれです。

たとえば、わたしは全体を俯瞰して設計図を作り、それを進行していくのは得意なのですが、人見知りな性格が原因で、あまり接点のない人に声をかけ巻き込んでいくのが苦手で、他のメンバーにアドバイスを求めることがあります。

スキル的なものは、ツールを導入することや他のメンバーの力添えで補えますし、正直に申告しやすいですが、人間的な「苦手」や「弱み」はなかなか言い出しにくい。わたしの場合、それは「人見知り」や、「◯◯なときにストレスを抱えやすい」とか、「◯◯なときに余裕がなくなりがち」など。つまり、性格やパーソナリティに関わる部分です。また、パーソナリティに関わる部分以外にも、育児、介護などといった、ごく個人的な事情もあったりします。

そういった部分の課題は「気の持ちよう」「本人の成長努力」でどうにかしろ、と言われがちなもの。確かに、本人の成長努力でカバーできる範囲も多分にあるでしょう。また、そのためのライフハックや、技術的なサポートを受けられるものもあるかもしれません。

そしてそもそも、「これはわたし自身の問題だし……」と、他のメンバーへ「苦手」「弱み」を開示すること自体にハードルを感じる人もいるでしょう。しかし、誰にでも「苦手」「弱み」があることは事実で、それらとうまく付き合っていくことは、なかなか難しい問題です。

「弱み」を隠すのは、トラブルのタネを隠すこと

出産・育児を経験し、仕事に復帰してみると、「得意・不得意」以前に、「物理的にできない」こともあるのだと気付きました。子どもの通園サポートや病気のケア、それ以外にも、育児と仕事の両立といった「自分の体力的な問題」にもぶつかるようになったのです。

今までは自分のためだけに働いて、自分の範囲だけ守っていればよかったので、気合いや根性論でどうにかなった部分もありました。が、ケアしなければいけない子どもや家族ができると、そう簡単にはいかなくなってしまいました。つまり新しい「弱み」が生まれてしまったのです。

こうした「弱み」を開示することは、もしかしたら、キャリアアップや出世競争の上で不利となるかもしれません。「自分にはできないことがあります」と周囲へオープンにする必要があるからです。

そして前述したように、この「弱み」は「わたし個人の問題」であり、他の人にとっては関係ないことだ、という自制もあります。それでも、できないことがある、という事実を隠して、気合いでカバーしようとしても、いつか限界が来てしまうと思うのです。

自分自身が致命的な「弱み」を抱えるようになったとき、もしかして、他のメンバーにもこうした「弱み」──介護やサポートが必要な家族がいるとか、人に比べて体力がないなど、「自分ひとりではどうしようもできない問題」があるのでは? と思うようになりました。

そして、その問題の種類や解決策も、関わる人の数だけバリエーションがありそうです。であれば、「弱み」を共有した上で、おたがいサポートし合う必要があるのでは? と思うのです。

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