米中の対立は、「自由で開かれたインド太平洋戦略VS一帯一路一空一天」という世界戦略の対立と、「「中国製造2025年」の目標の下、共産党主導の国家資本主義に対する米国の反発」という5G時代のデジタル経済覇権争いがその内実です。
貿易戦争という限定的な局地戦や来年のアメリカ大統領選対応という限定的な見方は、米中対立の本質を見誤ると思います。
その観点から、今回のG20で、「各国の対立点でなく、一致点を見出した」安倍首相の議長国としての役割は、成果があったと考えています。
米国は中国に対し、追加関税第4弾を見送り、ファーウェイへの禁輸措置も緩和する姿勢を示した上で、米中再協議の期限や目標を曖昧と化しています。
「保護主義と戦う」という文言は2年連続で見送られましたが、G20の大阪宣言は、「自由で公正かつ無差別な貿易・投資環境を実現し、開かれた市場を保つために努力する」という内容です。
この宣言が、米中をはじめ、各国のこれからの協議や合意に資することを願います。
そして、かつての石橋湛山大蔵大臣が、GHQとの激しい交渉をしている際、「日本の真の発展の為、自分は米英等との交渉と共に、日本内部の逆悪とも戦っていた」と日記に残していますが、国際交渉とは、自国内の改善と相まって粘り強く進めていくという普遍的な価値として、忘れてはならない教訓であると考えます。
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- 2019年07月01日 10:27