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テレビに革命を起こした『電波少年』ハプニングも逃すな

 1992年にスタートし、平成を代表する伝説的番組『進め!電波少年』(日本テレビ系)は、猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイクをはじめ、数多くの人気企画を生み出した。その演出・プロデューサーを務めたのがT部長こと土屋敏男(62)だ。

 今だから話せる電波少年の裏話を、土屋プロデューサーに聞いた。

――土屋さんが受けた過去の取材で、「人間は、追い詰めたら出てくる不思議な能力がある」とおっしゃってるんですが、なぜそう感じたんですか?

土屋 たとえばドロンズが、コロンビアとか知らない街に行くわけじゃないですか。道が分かれてて、こっちに行くとスラム街、こっちに行くと普通の住宅街ってときに、こっちに行くと危ないっていうのを、絶対に肌で感じてわかるようになる。

――まさに不思議な能力ですね(笑)。

土屋 そう。ディレクターはずっと旅に同行せずに交代してるから、わかんないわけ。ドロンズは長年やってるから、「こっちヤバいっすよ! だから、こっちに曲がって行きましょう」っていうのがわかるんですよ。

――現場で培った雰囲気や空気感を肌で感じて、危険を回避していたんですね。

土屋 公園で野宿していて、気がついたら靴を盗まれているぐらいは日常茶飯事で当たり前ですから。リュックごと盗まれるとかも。でも、実は危ないのはディレクターが持っているカメラなんです。カメラは明らかに値段が高いわけですよ。

 ディレクターがカメラを撮ってたら、強盗が来たんですよ。ディレクターはボコボコに殴られて、盗まれかけたんですが、強盗があきらめていなくなったんです。

 その後、殴られて血まみれになってるディレクターがどうしたかというと、そのカメラを自分に向けたからね。「これでいいネタが1本できた」って、自分を撮ってるんだから。

――すごい根性ですね。ディレクターさんも、体を張ってたんですね。それは放送したんですか?

土屋 放送しました。だって、そいつの悲願ですもの。だからハプニングが起こると「今のカメラ回ってた?」ってなるんです。

――ハプニングも逃したくないんですね。そうなると常にカメラを回すようになりますよね。

土屋 猿岩石が一番最初に旅に行ったんですが、確かミャンマーで町の食べ物を普通に食べたら、有吉(弘行)が腹を壊したんです。これはいよいよダメだってなって、救急車を呼んで病院に連れていって。

 点滴打って、できることは全部やった状態で同行ディレクターが俺に電話してきたんですよ。「実は有吉が倒れて、こうこうこうで、いま病院で点滴打ってます」って言ったとき、俺が返した言葉が「でっ、どっからカメラ回ってる?」。

――いや「でっ」じゃないですよ! 「それはそうと」じゃないですよ(笑)。タレントの体調より、ロケの撮れ高が気になってますやん!

土屋 もうね。頭のおかしな集団ですよ(笑)。

――それでディレクターさんは、どこからカメラを回してたんですか?

土屋 全然、撮ってなくて。それで有吉が点滴してるとこから回し始めたんです。それから「何か起きたら、とにかくカメラを回せ」ってなりました。

――土屋さんは現場に行くことはなかったんですか?

土屋 たまにはありますよ。遠藤久美子さんがゲストで(ドロンズの)アラスカのゴールを探しに行ったとき、一緒に行きました。ヒッチハイクして遠藤さんは車の助手席に乗って、俺たちスタッフは荷台に乗ったんですよ。

 でも、マイナス40℃とかで、寒くてもうダメだと思って車止めて、「ちょっと俺、無理だから」って遠藤さんを外に出して、助手席と変わってもらったからね。

――いや、タレントさんを極寒の荷台に出すってどういうことですか! ひどいですね(笑)。

土屋 でもそのときは、俺が危なかったの。

――寒すぎて危なかったから、ちょっとだけでいいから代わってもらったんですか?

土屋 最後まで代わらなかったかな(笑)。

――最後までかい! 鬼ですねー(笑)。そんな土屋さんが、今度、最先端技術を使った新しいイベントを仕掛けると聞きました。

土屋 「NO BORDER」という誰でも楽しめるコンテンツです。3Dスキャナーを使って3Dアバターを作成、観客自身がアバターとなって、ステージ上でダンスを踊れます。

※土屋氏がプロデュースするライブエンタメ『NO BORDER』は、7月7日から9月16日まで、大阪クールジャパンパークで開催

取材・文/インタビューマン山下

 1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退。現在はインタビュアー・お笑いジャーナリスト

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