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ドーミーインも参入する「ホテル暮らし」の進化形態とは

中長期の滞在でホテルライクなサービスが受けられる「ドーミーレジデンス市ヶ谷」

オークウッドホテル&アパートメンツ新大阪

ラウンジやトレーニングジムなど付帯施設も充実(ドーミーレジデンス市ヶ谷)

「ホテル暮らし」と聞くと、有名人が自宅代わりに都内の一流ホテルに長期滞在しているようなイメージを持つが、近年はホテル業態の多様化やライフスタイルの変化、訪日外国人の増加も相まって、中・長期の利用が可能なホテルも増えた。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、さまざまな泊まり方を提案するホテルの進化形態をレポートする。

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 ホテルが多様化する中、本来の“宿泊”についても従来見られなかったサービスが目立つようになった。

 まず、特徴的なワードとして挙げたいのが「タイムシェア」。そもそもタイムシェアという言葉は、ハワイなどのリゾートにあるコンドミニアムホテルを1週間単位で購入し物件を共有するスタイルのことを指す。

 一方、最近日本で用いられるホテルのタイムシェアというワードは、一定期間(長期)のタイムシェアといった意味とは異なり、“短時間利用を可能にするサービス”を指す場合が多い。一般的なチェックイン○○時~チェックアウト○○時というのではなく、「24時間のうち〇時間利用可能」「○○時~○○時の間の○時間利用可能」といったスタイルである。

 ホテルの短時間利用はいまに始まったことではなく、レジャーホテル(ラブホテル)では2時間、3時間といった休憩利用は一般的だ。最近では「デイユース」などと呼ばれ、ビジネスホテルなどでもプランを見かけるようになった。デイユースは男女が特定の目的に短時間利用することもあれば、サラリーマン単身での仮眠・休憩利用も多いという。日中、都心で静かに仕事するために利用するという人もいる。

 短時間利用のタイムシェアスタイルはカプセルホテルでも見られる。進化系カプセルホテルとして人気の「豪華カプセルホテル安心お宿」では、“お昼寝(デイユース)プラン”として、「お昼から深夜まで、いつでも予約可能」と公式サイトで大々的に謳っている。気軽に利用できる点では、よりタイムシェア向きの業態であろう。

 また、レンタルルームや漫画喫茶なども一定の時間にプライベート空間が提供され、“ホテルがライバル”と掲げる店もあるが、法律的に宿泊業との差異のひとつが寝具の有無。また、空間の仕切りや分煙などの点も施設の利用に際しては考慮したい。いずれにしても料金が安価なのは大きな特色だ。

 冒頭で“購入する”スタイルを紹介したが、購入という点でいえば会員制ホテルの人気は高まっている。形態としては、募集口数で割った持分を所有する所有権付会員権、利用する権利だけ持つ利用権制、預託金制など様々であるが、中でも“ポイント制”は多く見られる。利用する権利をポイント購入し、ポイントに応じて回数分利用できるスタイルで、法人が社員の福利厚生などに利用するケースも顕著だ。

 最近、プリンスホテルが会員制ホテル事業に乗り出すことがニュースになった。名称は「プリンス バケーション クラブ」。第1弾として、軽井沢 浅間プリンスホテルの敷地内にヴィラタイプの「プリンス バケーション クラブ ヴィラ軽井沢浅間」、ホテルタイプの「プリンス バケーション クラブ 軽井沢浅間」を2019年7月8日に開業することを発表した。

 会員権の販売は東急不動産と連携し東急リゾートに販売の一部を委託。会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」の会員との施設の準相互利用も2019年7月から可能にする。滞在価値の向上のため敷地内には温泉棟を新設、ホテル棟と温泉棟の間はモノレールも新設するという。

 長期ステイ、住まうように滞在するという点では、ホテルにレジデンス(高級分譲アパート)を併設するスタイルも増えている。レジデンス部分を分譲することにより投資資金を回収できるし、建築コストのリスクを緩和する狙いもある。付帯施設はもとよりホテルライクなサービスとレジデンスは相性が良いのだ。

 レジデンス、ホテルライクといえば、「サービスアパートメント」というワードも見かけるようになった。一般のマンションとの違いは、家具や家電をはじめ調理器具から食器までついていることや、室内の清掃、コンシェルジュサービスが受けられるといった点も魅力として挙げられるだろう。何より敷金・礼金が不要だ。

 洗練されたサービスと高級感で人気なのはオークウッドブランド。都心を中心に最近では新大阪にも開業した。“オークウッドプレミア”“オークウッドレジデンス”“オークウッドアパートメンツ”といった多彩なスタイルの施設を利用目的に応じてフレキシブルにセレクトできる。

 一方、人気ビジネスホテルのドーミーインで知られる共立メンテナンスもサービスアパートメントをスタートさせた。4月に開業した「ドーミーレジデンス市ヶ谷」では、コンシェルジュ、朝食、ハウスキーピングといったホテルライクなサービスを提供。ラウンジやトレーニングジムといった付帯施設もホテル的だ。ビジネスパーソンの中・長期滞在、訪日外国人旅行者にも人気とのこと。

 実際に筆者も滞在してみると、時期もあってか地方から上京した新入社員の姿が多く見られた。ブッフェスタイルの日替わり朝食はかなり充実しており入居者にも人気の様子。契約形態は様々であるが、月額35万円程度ということもあり法人の契約が多いという。一見高額であるが日で割れば1万円少々。都心で同クラスのホテルならば1泊2万円以上はしそうだ。

 快適な暮らしとホテルサービスは親和性が高い。今後、ホテルへ求められるニーズが多様化する中、ちょっとだけホテルにこもったり、ホテルにステイするように暮らしたりと、日々の生活とホテルがますます密接な関係を持っていくことだろう。

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