記事

磯野貴理子問題と空前の皇室ブームにみる、「親近感」と「権威」が大好きな人たち 速水健朗×おぐらりゅうじ すべてのニュースは賞味期限切れである - 速水健朗 おぐらりゅうじ

1/2

おぐら 磯野貴理子さんのニュース、速水さんはどう思いました?

【写真】この記事の写真を見る(11枚)

速水 え、磯野貴理子ってなんかニュースあったっけ?

おぐら 24歳年下の夫との離婚を発表したんですよ。離婚を切り出した夫に理由を聞いたところ、言われたのが「俺ね…自分の子供がほしい」と。

速水 そうなんだ。それ話題になってた?

おぐらりゅうじ(左)=1980年生まれ。編集者。速水健朗(右)=1973年生まれ。ライター。

おぐら なってましたよ。レギュラー出演しているフジテレビの番組で発表したんですが、ネットではその理由に対して批判が殺到しました。

『はやく起きた朝は…』に変わっても、変わらなかった3人の絆

速水 そりゃ誰でも途中で気が変わることもあるけど、それを馬鹿正直に相手に伝える必要はなかったよね。それ言っても許されるのって戦国武将がギリギリ。でもさ、おぐら君はこのニュース、なんでそんなに気になったの? 年の差離婚問題として? ネット炎上案件として?

おぐら いや、その離婚を発表したのが『はやく起きた朝は…』という番組で。

速水 ちょっと待って、その番組ってまさか森尾由美と松居一代が出てるやつ?

おぐら 松居一代は出てません。松居直美です。

速水 日曜の朝の? あれまだやってたんだ、それがびっくりだよ。でも番組名『おそく起きた朝は…』じゃなかった?

おぐら 年を重ねて早く起きるようになったんです。今は朝の6時30分から放送されていて、4月には番組開始25周年を迎えたんですから。

速水 25年もやってるんだ。よく同じ3人で話が尽きないよね。あと、その間に磯野貴理子のキャラがほぼ変わってないように見えるのもすごい。

おぐら 3人の関係性と絆の強さが番組の魅力なんです。で、その離婚を発表した時も、松居直美が磯野貴理子をハグして泣きながら「私たちが一生面倒見るから」って。森尾由美も「うんうん」って。つらい告白をしたあの場に、25年間一緒に過ごしてきた仲間がいたことは大きな救いでした。

なぜテレビはオールドメディアで現役なのか

速水 なるほど、継続性がテレビの強みなのか。そこはオールドメディアも馬鹿にできないというか。

おぐら テレビはオールドではなく、ちゃんと現役ですけどね。長寿番組になると、レギュラー出演者たちの成長や関係性の変化を視聴者と共有できるんです。ネットで批判をした人たちのほとんどは継続的に番組を見てはいないと思いますが、それでも出演者3人の友情には共感した。だからこそ、まるで自分の仲間が傷ついたように感じて、批判が膨れ上がったんじゃないでしょうか。

速水 長くテレビに出続けていると、なんとなく知り合いみたいな感覚になることはあるんだろうな。

おぐら ことタレントに関しては、今は近寄りがたいスター性のある人よりも、たとえ錯覚でも親近感のある人のほうが好感度も上がるし、世間を味方にしやすいです。

「カルチャー顔」問題はどこがダメだったのか?

速水 一方で、4月には新興メディアの『ドンクライ(DON’CRY)』が配信した「『カルチャー顔』が好きで好きで好きで。モトーラ世理奈を見ると胸が痛くなる」という記事が、何人かの若手モデルやミュージシャンを「カルチャー顔」だと分類して炎上した。

おぐら コンセプトのページには「他者に『分かってもらえない』『上手くやれない』『必要とされない』と感じ、苦しんだことはありませんか?」「そんな貴方のためのメディアがDON'CRY(ドンクライ)です」と書かれていましたが、まさに自分たちのためのメディアだったんだと痛感したでしょうね。泣くなと言われても、あれだけ炎上したら泣きますよ。

速水 ただ、あそこまで批難されたのは、取り上げられた当事者の1人である小袋成彬が、Twitterで「他の人は知らんけど、俺はムカついた。名指しでからかったんだから、お前一回ロンドンまで謝りにこい。」ってキレたのもあるけど、世間に何かしら響いた部分があったからだよね。これが「バブル顔」とかだったらそこまで燃えなくない?

おぐら 記事にあった「標準的なハーフ顔ではない」「弱そう」「順風満風な人生を歩むような顔にはどうしても見えない」というような表現にルッキズムを感じられたことが批判の根幹でした。

速水 ルッキズムだ、人種差別的だ、外見をけなして失礼、という批判もあるけれど、そもそも、まったく違う系統の顔を強引にジャンルとして分類してるだけなんだよね。あとは、「カルチャー」って言葉の使われ方も気になる。

おぐら 「カルチャー」という言葉自体に差別的な意味合いはないですからね。

速水 顔を批評することについて言えば、南伸坊が顔真似をする『本人術』とか、山藤章二の似顔絵とか、顔と性格を結びつける芸当は、昔から日本の文化としてある。

おぐら そういった顔真似の後継者とも言えるのが、くっきーがやっている白塗りの顔まねとか、ガリットチュウ福島がインスタグラムで発表しているものまね芸ですね。

速水 なるほど、顔から真似るものまねはあるよね。海外のものまねだと、衣装とか髪型は真似ても、そんなに顔まで真似ない気がする。

新旧競争し続けるのが”理想のメディア”

おぐら 「カルチャー顔」の記事はすでに削除されて、記事の執筆者が謝罪、さらに「ロンドンで小袋さんに謝りました。DON’CRY、今後のガイドライン」という記事で、実際にロンドンまで行って小袋さん本人に謝罪したこと、反省したうえで今後どうしていくのかを書いています。

速水 その謝罪を最後に、いまのところ新しい記事は配信されていない。25年も続く『旅サラダ』的なオールドメディアもあれば、出来たばかりで更新が止まる新興メディアもあるってことだね。

おぐら さっき話した番組は『旅サラダ』ではなく『はやく起きた朝は…』です。ちなみに、正式名称『朝だ!生です旅サラダ』は、今年で26年目。

速水 まあどちらにせよ、新旧のメディアが拮抗するのはいいんだよ。競争したり、足りない部分を補い合ったり。それよりも不思議なのは、4月末からGWにかけて、テレビが本当に天皇一家一色に染まったこと。

GWのTV番組で見えた「空前の天皇ブーム」

おぐら 不思議なんですか? 元号が変わったんですよ、当然テレビでは特番が組まれ、ニュースでも取り上げるでしょう。

速水 いや、最初のうちは平成を振り返る企画の特番が多かったんだけど、途中からは完全に皇室の話をやってた。これって、空前の天皇ブームが来たってことでしょう。

おぐら 昭和から平成になった時とは違いますか?

速水 当時、俺は中学生だったからよく覚えてる。あまりのテレビのつまらなさに、みんなが当時まだ新しかったレンタルビデオ屋に押しかけた。それを機にレンタルビデオが普及したの。で、今回はそれがNetflixになる可能性があった。実際Netflixは、平成最後の朝日新聞に裏表4面刷りの大全面広告を出したんだから。でもあまり話題になってない。

おぐら 業界人とか一部の人たちはNetflixの話をよくしてますけど、今でもテレビだけを見ている人たちのほうが多数派ですよ。

速水 そこの乖離は激しい。新しいものを受け入れる人とそうでない人と。そういった状況の中で、継続性とコンテンツの話になるわけだけど、天皇家ってもう百何十代も続いていて、本当に継続性の塊というか。

おぐら 価値観の多様化を受け入れることが推進されてはいますけど、一方で多くの人が興味を持つものって、結局は集中するんですよね。

あわせて読みたい

「メディア」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    バレてる? ポルノサイト閲覧記録

    島田範正

  2. 2

    韓国大使に一喝 河野外相を称賛

    一般社団法人日本戦略研究フォーラム

  3. 3

    N国代表の崎陽軒謝罪 見事な戦略

    かさこ

  4. 4

    N国「ひとり放送局」詐欺行為か

    文春オンライン

  5. 5

    ネガティブ禁止 仕事増えるSNS術

    倉持由香

  6. 6

    韓国人識者 日本経済に勝てない

    NEWSポストセブン

  7. 7

    中国より挑発的な韓国の軍事行動

    木走正水(きばしりまさみず)

  8. 8

    別荘5億円 外国人が激増する町

    BLOGOS編集部

  9. 9

    新生銀行 売出価格は1株1387円

    ロイター

  10. 10

    埼玉県知事選の流れはほぼ決まり

    早川忠孝

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。