記事

国民民主党が進める「家計第一」の経済政策とは何か

2/2

消費税は凍結

まず、今年10月からの消費税増税は凍結です。1月~3月期のGDP速報値でも消費はマイナスでしたし、国内外の経済も不透明感を増しています。今、消費税を上げれば、かえって消費の腰を折ってしまい、不況の扉を開けることになりかねません。

さらに、今後、仮にリーマンショック級の世界経済の混乱が発生した場合には、消費税の減税も、消費を下支えする経済対策の一環として検討すべきと考えます。とにかく、家計所得を増やさない限り消費は伸びません。

なお、最低賃金を速やかに引き上げるべきとの意見もありますが、中小企業には賃上げ能力がそれほどありません。まずは、家計の負担を軽くして消費を増やし、国内企業の売り上げを伸ばし、賃上げできる環境を整えることが順番としては正しいと考えます。この順番を間違えると、韓国のようになってしまいかねません。

法人税には「最低税率」導入し、賃上げ減税を

法人税は国際的に下げ過ぎです。国際競争力の観点から、各国とも法人税の「引き下げ合戦」に巻き込まれています。これでは、法人税は基幹税としての役割を失ってしまいます。まさに、G20などの国際的な協議の中で、協調して法人税率の適正化を図るべきです。

「最低税率」について国際的合意を取り付ける必要があります。また、GAFAと言われるプラットフォーマーに対する課税の強化、適正化も必要です。さらに、今後はデータが価値を生み出す源泉となるので、データを課税標準とした新たな法人課税のあり方も検討していくべきと考えます。

そして、法人税減税を行う場合であっても、やみくもに税率を下げるのではなく、従業員の賃金を上げた企業には減税を行い(賃上げ減税)、そうではない企業には高い税率を適用するなど、労働分配率の向上につながるメリハリの効いた法人税改革を行うことが「家計第一の経済政策」を進める上では重要だと考えます。

マイナス金利はやめて金利を正常化

デフレを脱却するために、日本銀行は金利を引き下げ続けてきたわけですが、マクロで見ると、企業部門は資金余剰セクターになっています。資金が不足しているわけではないので、企業は金融機関からお金を借りる必要がないわけです。加えて、マイナス金利で地銀の経営が悪化しています。さらに、家計の金利所得の減少が、消費低迷という副作用を生じさせているのは、先ほど述べたとおりです。

日本には、純個人金融資産が1500兆円あるので、仮に1%の金利がつけば、15兆円が家計に移転することになります。とても大きな額です。この額の半分でも消費にまわれば、GDPの名目成長率を1%以上増加させることは可能でしょう。

児童手当を増額し、3人子どもがいる家庭には1000万円給付

可処分所得を増やすためには、家計負担の軽減策も重要です。特に、若い世代の家計負担の一番は、なんと言っても子育て・教育の負担でしょう。小中学校から大学まで公立に行った場合でも、一人当たり最低でも1000万円はかかると言われています。

そこで、現在の児童手当を月15000円に拡充し、中学卒業までの交付を高校卒業まで延長します。こうすれば、子どもが3人いる家庭には合計約1000万円が給付されます。子ども1人分の子育て・教育費用を、公的にサポートすることができます。

また、多額にのぼる不妊治療を保険の適用対象とするなど、子どもの妊娠、出産、教育にかかる負担を徹底して軽減し、家計の可処分所得を増やします。

賃貸住宅の家賃補助を

次に家計にとって住居費も大きな負担です。現在、住宅ローン減税など、持ち家の取得については様々な支援策がありますが、賃貸住宅への国の支援は乏しいのが実態です。現在、約1500万世帯が賃貸住宅に住んでおり、高齢者、学生、若い現役世代の中にも賃貸住宅にお住いの方も多数います。

しかも、調査によると、40歳未満の女性にとって、家賃負担が可処分所得の25%を占めています。男性だと約20%が家賃負担です。いずれにしても、家計の大きな負担になっています。そこで、年収500万円以下の世帯で一定の条件を満たす場合には、月額最大1万円を支援し、可処分所得の向上につなげていきます。

農業者に営農継続可能な所得を補償せよ

自営業、とりわけ農家の所得が低下していることも、消費低迷の1つの要因です。そこで、営農継続可能な所得を補償するため、販売価格と生産コストの恒久的な差額を補填する「戸別所得補償制度」を復活させます。

欧米でも農家所得の大部分は公的支援で賄われています。また、国際的な生産方法であるGAP基準を満たす形で生産する農家には、加算措置(GAP加算)を上乗せし、環境や食の安全に配慮した農業を応援します。

農家の所得が増えれば、地方における消費が盛り上がり、地域経済の活性化につながります。農業者戸別所得補償制度の復活は、家計第一の経済政策を進めるためにも重要なのです。

子育て・教育や、研究・開発への投資は国債発行で

最後に、家計第一の経済政策を進めるための財源について述べたいと思います。

平成の30年間で、国の予算規模は約1.7倍になりました。同時期に、年金、医療、介護などの社会保障関係費は3.3倍になっています。借金返しである国債費は約2倍です。しかし、教育や科学技術の予算は、30年の間、ほぼ横ばいです。この間、中国もアメリカも研究開発の予算を大幅に増やしています。これが経済成長や技術力の差につながっています。

さらに、今後2042年まで65歳以上の高齢者の数は増加し続ける見込みなので、社会保障の予算を削って教育や科学技術の財源を見つけることが困難です。また、増税も簡単ではありません。では、乏しい教育・科学技術の予算が今のままでいいのでしょうか。そんなことはありません。

そこで、私が提案するのが「こども国債」の発行です。具体的には、将来の経済成長や税収増につながる支出については、幅広く国債発行による財源調達を認めるようにします。今の財政法は、橋や道路などの公共事業に対してのみ国債(建設国債)の発行を認めています。橋や道路は将来の経済成長につながり、また、将来世代も便益を受けるので、将来の世代にも負担してもらうのが合理的との考えによるものです。

しかし今や、知識や技術こそが富の源泉になる時代で、人や技術こそが未来に残すべき最大の資産です。だからこそ、教育や科学技術関係予算の財源についても、国債発行で調達することに合理性があると考えます。

まだ個人的な粗々の計算ですが、成長と税収増につながる分野として、①教育・子育て、②科学・技術、③防災等の社会インフラ整備の重点3分野には、今後20年間で約300兆円規模の投資を行い、GDPの成長率を1%程度、押し上げることを可能にしていきたいと考えています。

「消費を軸とした好循環」と「未来への大胆な投資」が鍵

このように、「家計第一の経済政策」は、家計の可処分所得を増やし「消費を軸とした好循環」を生み出すことに力点に置きながら、同時に、教育分野をはじめとした「未来への大胆な投資」を行うことで、日本経済の潜在成長率を引き上げる経済政策です。

「消費を軸とした好循環」

「未来への大胆な投資」

これらは、いずれもアベノミクスには欠けている要素です。

国民民主党は、この「家計第一の経済政策」を進めることで、日本経済を覆う閉塞感を打ち破り、安心と希望のある日本社会をつくりあげていきます。

あわせて読みたい

「国民民主党」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。