こういう分析がある一方で、相変わらず7月の参院選のためのパフォーマンスとしか見ていない分析もあります。
「元駐日大使「韓日関係が悪い時こそ指導者は会うべき」」
「日本では参議院選挙までそれほど残っていないため、政府が強く出ている側面もあると考える。選挙が終わってこそ韓国問題を扱うにあたって負担がない。
元駐日大使ですら、こんなこと言ってますからね。選挙が終わっても日本側が妥協しなかったら、彼らはまた一歩、「日本の本気」知ることになるでしょう。
■ついにかつての「ツートラック外交」が言及される
過去に、日本と韓国がともに「ツートラック外交」を行っていた時期があります。
「歴史問題は棚上げにして、経済交流を進めよう」という考え方です。10年ぐらい前、朴大統領が執権するまでの日韓外交専門家の間では、「ツートラック外交」と言えば、この外交手段を指しました。
そしてようやく、忘れ去られていたこの外交手段が韓国側で復活してきたのです。
「【コラム】解決法のない韓日葛藤の解決法(2)」
韓日関係がオールストップする場合、損害が大きいのは我々のほうだ。両国の不幸な歴史から始まった強制徴用と慰安婦問題は、事実、解決法がない。ない解決策をあえて探そうと無駄な力を使って戦うのではなく、現状態から強制徴用と慰安婦問題の凍結および無期限猶予を両国が宣言すればどうだろうか。風呂敷に包んで棚に上げておこうという話だ。この問題がまるで存在しないように、互いに取り上げないで正常な隣国としてつきあってみるのだ。そのような状態で棚に白く埃が積もる程の歳月が流れたとき、問題はすでに消えてなくなっているかもしれない。
最後の部分の「問題がなくなっているかも」なんて言うのは、ありえませんけどね。もうさすがに日本側も、この聞こえのいいフレーズに引っかからないでしょう。
あ、でも引っかかった人がいましたね。
「日韓会談でレーダー照射「棚上げ」 それでも「信頼回復」道半ばな理由」
岩屋氏は会談後に記者団に明かしたところによると、日本側は自衛隊機の飛行が適切だったことを説明し、再発防止を求めた。これに対して、韓国側は「従来の主張」を展開したという。
「私どもの見解に変わりはないが、未来志向の日韓防衛当局間の関係を作っていくために、一歩前に踏み出したいと思っている」
と答え、事実上棚上げする考えだ。
この「争いある論点は棚上げにして、交流を進めよう」というのは、正にかつての「ツートラック外交」の考え方です。10年前だったら大して問題にもならなかったでしょう。
岩屋大臣がこんな昔ながらの「ツートラック外交」を言い出したのは、古びた考え方に固執しているのかもしれないし、誰かから吹き込まれたのかもしれません。でもこの外交手段は、韓国側が蹴り倒したのです。水の入った御盆をひっくり返したのです。もう元には戻らないのです。
思えば、募集工(徴用工)裁判判決は、戻れないルビコン川を渡った瞬間でした。「もう日韓関係の破綻は、再構成されるまで止まらない」と、政治家だけでなく、日本人全体が覚悟を持つ時が来たのです。
今まで見てきたように、まだ韓国側は『日本の本気』を認識していません。岩屋大臣のように間違ったサインを与える人が、日本の大臣レベルでまだいるのですから、仕方のないことです。
振り返ってみると、韓国が日本に強硬に出てくるようになったのは、経済面で「日本と対等になった」と韓国側が感じてからでした。だいたいソニーよりサムスンの方が時価総額が上になった頃からです。だから韓国の姿勢を改めさせる取っ掛かりは、韓国を経済的に追い込むことでしょうね。そのためには、日本側も傷を負う覚悟が必要です。
韓国の康外相は、「日本が報復措置を取るなら、われわれも黙っているわけにはいかない」と発言しましたが、はっきり言って、日本がそんなことをするとは全く信じていないでしょう。理由は簡単。日本がそんなことをやったことが無いからです。
日韓の健全な関係のために、やるべき時が来たのですね。