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日本人がスタバにハマりつづける根本理由

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地域の景観に寄り添う「横から目線」の戦略

一方、「スタアバックス珈琲」の訴求は、日本文化を尊重する「横から目線」だ。

6月上旬、九州出張時に足を伸ばし、「福岡大濠公園店」(福岡県福岡市)で「プリンアラモード フラペチーノ」を試食。たまたま隣り合わせた女性2人組に聞いてみた。

「スタバが人気の秘密ですか? SNS映えするからじゃないですか。よく来ますけど、最近ハマっているのは(ここにはない)タピオカミルクティーですけどね」(大学2年生)

1999年生まれのこの女性は、スターバックス日本進出後に生まれた世代。現在、若い女性に圧倒的な人気のタピオカミルクティー店を好みつつ、スタバも利用するのが現代的な消費者像に思えた。

日本文化の尊重への代表的事例は、「リージョナル ランドマークストア」と呼ぶ、地域の景観に合った店だろう。

別の機会に詳述したいが、同業態1号店の「鎌倉御成町店」(2005年開業。神奈川県鎌倉市)を皮切りに、「富山環水公園店」(同2008年。富山県富山市)など各地に広がる。このシリーズではないが、大濠公園の店も周辺の景観にマッチした外観だ。

アメリカ本社に「フードは改善の余地がある」

そんなスタバにも課題がある。例えば「フードメニュー」の改善だ。飲食の好みは人それぞれだが、取材すると「スタバのフードはおいしくない」という声も耳にする。店内調理ではなく、仕入れ品という側面もあるだろう。ただし「ロースタリー」のパンメニューは店内調理で、試食するとレベルが高かった。

日本法人の初代CEO・角田雄二(つのだ・ゆうじ)氏が、スターバックスを今日の存在にしたハワード・シュルツ氏(米国本社の名誉会長)に送った、有名な手紙の一節がある。

「あなたの店のコーヒーとスタッフの笑顔は素晴らしい。でもフードは改善の余地がある」

この手紙がきっかけとなり、シュルツ氏と角田氏は面会。スターバックスが提携相手として選んだのは、米国でも飲食店を経営した経験を持つ角田雄二氏と、実弟の鈴木陸三氏が経営する「サザビー(現サザビーリーグ)」だったのだ。

角田氏の指摘から四半世紀がたち、それなりにフードの改善もしてきたスタバだが、ようやく本腰を入れて取り組んだのが「ロースタリー」ではないか、と筆者は感じた。

“留学生”スタバは国内人気を保てるか

かつて、ドトール創業者・鳥羽博道氏(現名誉会長)の取材時に、「欧米企業が日本で成功する秘訣に『本国のやり方を押しつけず、文化や風土を意識して変える』があるのでは」と、投げかけたことがある。質問に対する鳥羽氏の回答はこうだった。

「それはその通り。それに加えてもう1つ条件があります。外食産業の場合は特にそうで、『誰とパートナーを組むか』です。例えばマクドナルドは、日本では藤田田(でん)さん(故人、日本マクドナルド創業者)と組み、ケンタッキーフライドチキンは、日本法人の設立メンバーだった大河原毅さんに経営を委ねました。だからこそ成功を収めたのです」(鳥羽氏)

角田氏やサザビーとのパートナーシップが、ある段階までのスタバ成長の原動力となった。日本の事情が分からない留学生のようなスタバが選ぶ“家庭教師”は、上陸当初は提携先だった。しかし、事情が分かった現在、日本法人のパートナーたちは教師から“クラスメート”に変わったのだ。

「学生時代にアルバイトをしたスタバは、今でも大好きな店」という声を、企業の広報担当者やPR担当者(いずれも20代女性)から、別々の機会に聞いた。こうした卒業生も、スタバのよきサポーターなのだろう。

だが安心はできない。消費者の好みはどんどん変化し、昨日の人気は、明日の人気を保証しないからだ。“親日家の米国人”は、今後も日本国内で人気を保てるのか?

その答えが、紹介したような事例だ。業績が好調なうちに「新たな提案」を続ける一方、「不満の声」に耳を傾け改善する。こうした成果に「スタバ好き」の将来がかかっていると思う。

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高井 尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

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(経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 高井 尚之)

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