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日本人がスタバにハマりつづける根本理由

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コーヒーチェーン最大手のスターバックスが、ますます好調だ。今年2月に開いた東京・中目黒の新店は、6~7時間待ちの大人気。5月からはレトロがテーマの「スタアバックス珈琲」も始めた。スタバの戦略がうまいのか、それとも日本人がスタバを愛しすぎているのか――。

今年2月にオープンした「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」(提供=スターバックス コーヒー ジャパン)

今年に入り打ち出した2つの新プロジェクト

あの「スターバックス」が、新たな“プロジェクト”で攻めている。いずれも好調だ。

例えば、2月28日に東京・中目黒にオープンした「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」(以下「ロースタリー」)は都内の新観光名所となった。桜の名所である目黒川のほとりという立地もあり、満開の季節には入店するまで「6時間以上待ち」だった。

また、5月15日から期間限定で「スタアバックス珈琲」も訴求。こちらは新店舗ではなく、既存店に簡単な看板を掲げ、「プリン アラモード フラペチーノ」などのメニューを取り入れた。レトロな喫茶店の人気メニューであるプリンアラモードに、同社独自のフラペチーノをアレンジしたものだ。これ以外に「ウィンナー珈琲」なども販売した。

「『スタアバックス珈琲』は、平成から令和に元号が変わる時に、長く愛された良いものを振り返りたい。日本の若者にレトロを楽しむブームが来ているのもあり『Brand New Retro』というテーマを掲げました。古くからの文化に敬意を払いながら、新たなものに生まれ変わらせ、未来に伝えたい思いも込めたのです。SNSなどネットでの反応も良く、売れ行きも好調でした」(スターバックス コーヒー ジャパン・広報担当)

なぜ日本人は、ここまでスタバが好きなのか? 取材結果も踏まえて分析してみたい。

中目黒の新店はまるでテーマパーク

筆者は、著書『日本カフェ興亡記』(2009年、日本経済新聞出版社刊)の取材開始時から、スターバックスを見てきた。同書で紹介した当時の店舗数は841店(2009年2月末時点)で、首位の「ドトールコーヒーショップ」の1138店(2008年8月末時点)に次ぐ2位だったが、店舗数は約300店、ドトールより少なかった。

それが現在「スタバ」の国内店舗数は1434店(2019年3月末現在)もあり、2位の「ドトール」(1111店。2019年4月末現在)を、逆に300店以上も引き離す。船でいえば巨大艦隊だが、悠然と進むのではなく、さまざまなチャレンジをするのが興味深い。

長年見てきて感じるのは、「上から目線」と「横から目線」の使い分けだ。

例えば「ロースタリー」は存在感を含めて「上から目線」だ。2014年、米国・シアトルに同業態1号店がオープン。その後、中国・上海、イタリア・ミラノ、米国・ニューヨークに次ぐ5号店として東京に開業した。道路の一角に突き出るようにそびえる建物も壮観で、上空から見ると豪華客船のようだ。

メニューの内容もユニーク。例えば同店にしかない「ゴールデン スカイ ブラックティーラテ」(950円+税。ブラックティーにターメリックやカルダモンでスパイシーな風味をつけたティーラテ)には“黄金のわたあめ”(ターメリックシュガー製)が乗っている。

建物の中には焙煎工場も併設され、複数の焙煎機が設置。張り巡らされたパイプからは焙煎された豆が流れてくる。各階にテーマを掲げ、さまざまな訴求がされている。

メニューは1000円前後が中心なので、ドリンクとフードとスイーツを頼むと3000円ぐらいかかる。「カフェの食事」としては高いが、「テーマパークでの食事」と思えば、納得価格に思えてしまう。好き嫌いはあるだろうが、こうした訴求は競合を圧倒する。

独特のサイズ名がもたらすミステリアス性

ここでいう「上から目線」はネガティブな表現ではなく、消費者が憧れ、少し見上げるという意味で使った。スタバが新たな提案をする時、多くは上から目線なのだ。

例えばドリンクのサイズ名がそうだ。「ショート」(容量は約240ミリリットル)→「トール」(同約350ミリリットル)→「グランデ」(同約470ミリリットル)→「ベンティ」(同約590ミリリットル)」という呼び方は、日本上陸後23年たっても、戸惑う消費者が多い。それでも決して「S・M・L(サイズ)」には変えない。

これを各店のパートナー(同社は全従業員をこう呼ぶ)が臨機応変に行い、横から目線で説明する。例えば容器を並べて「これがショートで、この大きさがトールです」と話す時もあれば、地方の店では「大・中・小です」と、戸惑うお客にも分かりやすく伝える。

「ロースタリー」限定で発売している「ゴールデン スカイ ブラックティーラテ」=著者撮影

「ロースタリー」のようななじみのない業態は、さらに伝える工夫が必要だ。会社として開業までのパートナー教育も行うが、アルバイトでも個々のスタッフの当事者意識は高い。

カタカナ用語を駆使して、少しミステリアス性を持たせる。そうした「ブランドとしての一線」を守る一方で、通訳者(店舗パートナー)が「気どっている感」をなじませるのだ。

スターバック社内では「コーヒービジネスではなくピープルビジネス」という言葉が浸透している。ここでいう「ピープル」にはいろんな意味があり、人材力もあるだろう。

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