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経営危機の“日の丸液晶”ジャパンディスプレイ 迷走するCEO人事の舞台裏 - 大西 康之

「18年度の黒字は必達」と語っていた月崎氏だが…… ©共同通信社

 官民ファンドのINCJが筆頭株主の“日の丸液晶”ジャパンディスプレイ(JDI)。6月12日、月崎義幸CEOは業績低迷の責任を取り、9月30日付で辞任することを発表した。後任には旧日本興業銀行出身の菊岡稔CFOが就任するが、同社のCEOは4年間で4人目という異常事態に陥っている。

 売上高の半分を依存していたアップルからの液晶パネル受注が激減し、債務超過寸前のJDI。頼みの綱は中台連合3社からの最大800億円の金融支援だったが、土壇場で台湾電子部品メーカーのTPKが出資を取りやめてしまう。中台連合から資金を引き出せなければ命運が尽きるJDIは、国内の従業員の約25%にあたる1200人の希望退職を募り、主力で最新鋭の白山工場(石川県)を7月から9月まで操業停止。茂原工場(千葉県)の一部ラインを閉鎖するリストラ計画を打ち出し、合わせて決めたのが、月崎氏のCEO辞任だった。

 振り返れば、CEO人事はこれまでも迷走を続けてきた。15年には、経産省が起用を勧めた三洋電機出身の本間充氏がCEOに就任。だが携帯電話などの電池事業に強く、業界で“電池の本間”と呼ばれた男は、液晶パネル事業のプロではなかった。

まだまだ続く、CEO人事の迷走劇……

 17年にはセイコーエプソンなどで液晶パネル事業を担当した経験のある有賀修二COO(当時)がCEOに就く方向で調整が進んでいたが、経産省とINCJの横槍で東入来信博氏がCEOに就任し、有賀氏は代表権のないCOOにとどまった。東入来氏は白山工場の新設などで傷んだバランスシートを立て直すべく孤軍奮闘したが、官民ファンドが筆頭株主のJDIには人員削減も工場閉鎖も許されず、最後は体調を崩してしまう。

 その代行として登場したのが日立製作所出身の月崎氏である。日立で液晶の技術者だった月崎氏は日立、東芝、ソニーの液晶事業を寄せ集めたJDIが発足した時からの古株だったが、それゆえに“しがらみ”に足を取られ、経営らしい経営はできなかった。

 JDIの喫緊の課題が金策であることを考えれば、旧興銀出身の菊岡氏は適任に見えるが、そもそも菊岡氏が就任する9月末まで資金繰りが持つのか。“日の丸液晶”の終焉は刻一刻と近付いている。

(大西 康之/週刊文春 2019年6月27日号)

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