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ムーミン展・ボルタンスキー展・ブリュック展 - 益田ミリ


6月は3つの展覧会へ。

まずは六本木の森美術館の「ムーミン展」。閉館50分前に滑り込んだせいかさほど混んでおらず「ひとつひとつの絵をじっくり見られる~」と思って館内を進んでいたところ、係の人からデカい声で案内があった。

「ここから先、まだ500点の展示があります!」

マジデスカ。やばい、あと40分しかない。さくさく見ていく。

作品は名刺サイズほどの素描が多く、みな絵に大接近して観ている。その結果、入ってはいけない足元の枠線からがんがんはみ出している人が続出していた。

小さい絵を見るのは楽しい。作家が作品にむかっているときの、その個人的な距離感を味わえる。

壁にムーミンたちの影絵が映し出されていた。ひょこひょこ動く単純な影絵なのだが、

「影絵もよかったね」

会場を出たあと、一緒に行った友人らと真っ先に言い合ったくらい印象的だった。

影絵。

あのちょっと怖い感じ。いるのにいない。いないのにいる。そして黒い。

ふたつめの展覧会にも影絵があった。国立新美術館の「クリスチャン・ボルタンスキー展」。1944年生まれのフランスのアーティストである。

「幽霊の廊下」は、長い廊下に幽霊たちの大きな影絵がゆらゆら揺らめいている作品だ。影絵のガイコツたちはなんだかちょっと楽しげで、前を通り抜ける来館者たちに、

「そっちの世界は大変ですなぁ」

と語りかけているようだった。

ボルタンスキーの作品の中に「心臓音」がある。録音した人間の心臓音を点滅するランプに合わせて聴かせるという作品である。

わたしも何年か前に自分の心臓音を録音した。香川県・豊島にボルタンスキーの小さな美術館があり、来館者は自分の心臓音を録音することができる。そして、それは永久に保存される。今回の国立新美術館の展覧会ではボルタンスキー自身の心臓音が流されていた。

六本木の「国立新美術館」&「ウエスト青山ガーデン」は、わたしの中でセットになっている。展覧会の前か後にはここのカフェで甘いものを食べるルールだ。残念ながら大好物の生クリームのシュークリームは完売だった。でも大丈夫。ふっわふわホットケーキがあった。メープルシロップを贅沢にかけて食べた。

そうだった、「ムーミン展」のあと、併設のカフェで友人らとムーミンデザートを食べたのだった。ムーミンの家を再現した真っ青なゼリーがあった。地球上には存在しないであろう色の食べ物だったが、「ムーミン」という架空の生物の展覧会には必要なデザートなのかもしれない。

3つめの展覧会はフィンランドの作家「ルート・ブリュック展」。陶板、いわゆる焼きもの絵画である。ライオンや鳥がモチーフのかわいらしい作品が多く、ひとつもらえるとしたらどれを家に飾りたいかなぁと観るのは愉快だ。家に飾りたい(飾れる)作品と好きな作品が同じとは限らない。むろん、好きなほうが、好きなほうである。

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