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深刻な大気汚染の韓国、中国には文句が言えないのか? - 朴承珉 (在韓ジャーナリスト)

毎日の朝、微小粒子状物質「PM2.5」濃度の数値を確認することはもう日常的なこととなった。数年前からソウル市内では、多くの人がマスクをつけて歩いている姿をよく目にする。韓国で大気汚染は深刻な社会問題になっている。


マスクをしてバス停を歩くソウル市民(AP/AFLO)

昔から韓国の冬の気候を「サムハン、サオン・三寒四溫」という4字熟語に比喩した。3日は寒くて4日は暖かい天気が繰り返されるという意味だ。最近は"三寒四温"という言葉の代わりに「三寒四微」という言葉が出ている。シベリアから吹いてくる冷たい風の天気が止むと、すぐに微粒子状物質(PM10)がやってくるからだ。

3月5日、最悪のPM2.5が韓国を襲った。同日、ソウルの1日平均の濃度が135マイクログラム/立方メートルで、2015年にPM2.5の濃度を公式に測定して以来、歴代最高値を記録した。韓国保健社会研究院の報告書によると、「現在、韓国民が最も不安を感じる危険要素は、戦争や自然災害ではなく"微粒子状物質などの大気汚染"である」という。

この1年間(2018年3月11日~2019年3月10日)ソウルのPM2.5の濃度は平均25.8マイクログラムを記録した。世界保健機関(WHO)勧告基準である10マイクログラムの2倍を超えた。

昨年4月にはソウルと水原(スウォン)、仁川(インチョン)で開かれる予定だったプロ野球3試合がキャンセルになった。キャンセル理由は雨天ではなくPM2.5のためだった。微粒子物質のため、プロ野球試合が取り消されたのは初めてだった。

同日、PM10が200マイクログラム、PM2.5は40マイクログラム以上高騰したためだ。ソウル市教育庁は一昨年4月、「微粒子物質の濃度がWHO基準値以上なら、今後、屋外授業をしない」と発表した。 

世界の都市大気汚染の調査機関の"エアビジュアル"が昨年、73カ国3000都市を対象に、年平均のPM 2.5の濃度を分析した「2018世界空気の質の報告書」によると、バングラデシュ(97.1マイクログラム)が年平均PM 2.5の濃度が最も高い国1位に、中国(41.2マイクログラム)が12位、韓国(24.0マイクログラム)は27番目に高い国家と分析された。

ソウル地下鉄公社は、地下鉄内の空気の質の改善に向け、来年までにすべての駅舎にPM2.5まで取り除く高性能空気清浄機を設置することにした。駅舎あたり8~16台を設置する。この空気清浄機は空気から微細な粒子を外す高性能フィルターが装着されている製品だ。

現在2号線の江南(カンナム)駅に高性能空気清浄機16台がテスト設置されている。空気清浄機稼動後、江南駅の乗り場と待合室のPM10は平均24.3%、PM2.5は24.4%減少したことがわかった。

国民が大気汚染問題を憂慮し、深刻に受け止めている状況で、大企業が大気汚染物質の排出を隠蔽していた事実が発覚した。化学大手のLG化学とハンファケミカルが微粒子物質の生成物質の排出量を捏造し、虚偽で報告した。

サムスン電子を含めてGSカルテックス、錦湖(クムホ)石油化学、ロッテケミカルなど大手企業6社も大気汚染物質の排出量を捏造した疑いを受けている。これらの中には特定の大気有害物質排出基準値を173倍も超過したにもかかわらず、「異常なし」と捏造した事例もあった。

住民らの不満が高まり、地方自治体の慶尚北道と全羅南道、忠清南道が最近、ポスコ、現代(ヒョンデ)製鉄など鉄鋼メーカーに「溶鉱炉(高炉)操業停止10日」という行政処分を下した。高炉(溶鉱炉)の"ブリーダー(安全バルブ)"を開放し、大気汚染物質を排出したという理由のためだ。

一昨年の大統領選挙の当時、文在寅(ムン・ジェイン)候補は環境公約として、「微粒子物質の排出量削減による国民の呼吸権の保障」を約束した。ところが、大気汚染が改善するどころか、段々深刻化すると、国民からは「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長を意識しすぎて、中国に対し、きちんと抗議すらできないのではないか」という不満が高くなった。

ところが、皮肉なことに、北朝鮮もPM2.5が酷いのは一緒だろうから、金正恩委員長もむしろ韓国に文句を言ってもらえたい気持ちかもしれない。韓国民は、昨年11月、文在寅大統領が中国・習近平国家主席との会談で大気汚染問題について公式的な抗議や具体的に問題を提起していなかったと怒っている。

国民は普段、中国の影響を83%と認識するが、
科学界は20%~50%と発表する

青瓦台(大統領府)は世論が悪化すると、首相室傘下にすでに"微粒子物質対策委員会"と"微粒子物質改善企画団"を置いているが、さらに、大統領直属の「微粒子物質問題解決のための国家気候環境会議」(以下、国家気候環境会議)を設置し、潘基文(パン・ギムン)前・国連事務総長を委員長に任命した。

国家気候環境会議は10日、「微粒子物質の発生原因などに対する不正確な情報に国民の不信が高い」「国民は普段、中国の影響を83%と認識するが、科学界は20%~50%と発表する」と明らかにした。

ところが、ネットの意見は、国家気候環境会議の発表を簡単には受け入れない。あるネットユーザーは「科学界の発表をもとに、中国の影響が20~50%と判断したが、50%に達する影響力も非常に高い数値だ」と指摘した。

潘基文委員長は、「国同士が互いに戦うのではなく、大気汚染物質と戦わなければならない」「中国との関係は攻防ではなく、互いに経験を共有し、相互協力する方向を選ぶのが望ましい」と述べた。

潘委員長はさらに「私が先月、中国の習近平主席に会ってみると、(習主席が)非常に深刻に思っており、韓国が直面している様々な状況についてもよく分かっていて、お互いに協力し合おう、という話を交わした」と紹介した。

潘委員長の習主席発言の紹介は、多分に国民の強い不満を抑えるための世論を意識した発言と聞こえる。余談だが、潘委員長は次期の首相候補の中の一人として名乗っている。

国家気候環境会議は、一般国民501人で構成された国民政策参加団が二回にわたって国民大討論会を行って、ここから出た意見を専門委員会で検討したあと、本委員会の審議を経て、9月に政府に政策を提案する計画だ。

これに対し、専門家グループよりは国民政策参加団の発言が強くなる可能性があるという懸念のため、専門性が欠如するのではないかという指摘が出ている。

世論は、「科学技術領域に近い微粒子物質対策を、国民政策参加団の熟議を経て練るというのは理解できない」「微粒子物質対策を、一つの宣伝に活用しようとしているのではないか、疑わしい」との批判も。さらに、国家主導の対策班ではない国家気候環境会議に任せ、"時間稼ぎ"ではないかという疑問も提起する。

国家気候環境会議は季節的に微粒子物質の濃度が再び高くなる前の今年9月にどのような微粒子物質の低減対策を政府に提案するのか注目される。

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