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「反権力シンドローム」という病

■日本の反権力思想の正体

香港における史上最大規模のデモが、世界中の人々から賞賛されている理由は、偏に、人権や自由を圧殺しようと目論む中国共産党に対する憤りからであることは言うまでもない。

しかし、日本ではそうは思っていない人達もいるようで、香港デモと日本で報道されるデモを同列に扱っている人もいるようだ。

図らずも今回の香港デモは、一部の日本人の反権力思想の正体をあぶり出すリトマス試験紙の役割を果たしてくれたようだ。

これまで中共のスパイのように思われていたような人々の一部が、実は単なる反権力だけが目的だったということが判明した。これは、香港デモが齎した想定外の収穫だった。これは喜ぶべきことなのかもしれないが、ある意味では、実は非常に危険なことなのかもしれない。

■「反権力」が正義という病

かつての学生運動は当時の若者の「ファッション」だったと言われることがある。思想的な中身は全く理解しないまま、ただその時代の空気に踊らされた若者という意味では「ファッション」というのは実に的を得た言葉だと言える。

中国と日本の立場の違いを考えずに、ただ闇雲に香港デモを賞賛している人々は、ただ、国家権力を批判することさえできれば、それがどのような国家権力であろうと構わないという、言わば「反権力症候群(シンドローム)」というような状態にある。

アメリカに生まれればトランプ大統領を批判し、中国に生まれれば習近平を批判し、日本に生まれれば安倍総理を批判する。その症状は、思想的に、右も左も関係なく、ただ、下(小)から上(大)に向かって「反権力」を叫ぶことが正義という病でもある。

中国共産党は日本から見れば、思想的には「極左」に位置する。だから、左翼系のマスコミや言論人はシンパシーを感じて批判しないという思想的事情もあるわけだが、ただ、反権力だけが目的の人々には、そういった縛りが無いため、思想ではなく反権力デモにシンパシーを感じるということなのかもしれない。

加えて、そのデモの良し悪しにも拘らない。暴れようが暴れまいが関係なく、ただ反権力という姿勢であればハイになるという病だ。

■思想を知らずに犯すデモの危険性

しかし、ここで考えなければならないのは、「知って犯す罪」と「知らずに犯す罪」のどちらが性質(たち)が悪いかということである。

思想を知った上で人を煽動する行為と、思想を知らずに人を煽動する行為のどちらが悪質か?
普通に考えると、思想を知った上で人を煽動する方が、確信犯なので悪質と考える人が多いかもしれないが、実際のところは、思想を知らずに人を煽動する行為の方が悪質だと言える。

なぜなら、そこには罪の意識が全く働かないからである。自らが正義と思い込み、罪を犯している意識が全く無いほど罪深いことはない。どんな悪人でも良心が芽生える可能性があるが、悪を行っているという自覚のない人には良心が芽生える余地がないからだ。解り易く言えば、間違いを認めようにも認められないということ。

具体的な例で言えば、中国と日本の思想的違いを全く考えずに「平和憲法を変えると戦争になる」というようなことを絶対的な正義だと思い込んでいるような人は、自らが他人を戦争(占領)に巻き込む危険を犯していることにも気付かない。

「憲法改正反対」と叫ぶことが、まるでファッションであるかのようにその時代を生きる。しかし、時が過ぎ、それ(占領)が現実になったとしても、自ら罪の意識を感じることはなく「あれは当時のファッションだった」と言うだけ。これを悪質と言わずして、一体何と言うのだろうか?

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