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- 2019年06月22日 19:57
ゾンビ映画を作ったジム・ジャームッシュ、禁煙成功は『大菩薩峠』のおかげだと語る
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『ザ・デッド・ドント・ダイ』に出演するイギー・ポップ(©︎Focus Features)
内臓を食べるシーンで具合が悪くなったイギー・ポップ
—イギー・ポップが飢えたウォーキング・デッドになるまで、どのような指示を出したのでしょうか?
俺はこれまでにもイギーと一緒に仕事をして来たけど、彼はとてもオープンだ。そして指示されるのが好きなんだよ。彼は、「OK、どうしたんだ、俺に何を求めてるんだ?」と知りたがる。今回一つ問題があったとしたら、彼は人工の内臓を食べ過ぎて病気になりそうだったってことかな。ヴィーガンのものもあったし、プラスティックで出来たものもあったし、いろんなものを彼のために準備した。彼はすごくたくさんのテイクを、長い時間をかけて撮ったんだ。しばらくすると、「今、すごく気持ちが悪い。ジム、俺は吐きたくないんだよ!」と言ってきた。だから、「いいよ。あと1ライク、君が内臓を持っているところを撮ったら終わりだからね……」と伝えた。
—今あなたがおっしゃったシーン以外は、 血みどろのシーンは少ないですね。彼らは処分される度に、埃になって散って行きます。この描写は、元々あったアイデアなのでしょうか?
そうだね。スプラッター映画は作りたくなかったから。血みどろ映画にもしたくなかった。でも作中では、たくさん首を落とされるシーンが出てくる。俺たちの体は、60%以上が水分で、心臓や脳もそうだろ? 俺は水風船や半分のソーセージのように、ただ歩いているだけの自分から、このイメージを得たんだ。だからゾンビには灰になってほしいと思った。彼らはもう、乾ききっているから……灰から灰になる。ゾンビに水気がないというアイデアが気に入ってね。今までのゾンビ映画の中で、こういう描写をした作品は無かったんじゃないかな。あるのかな? 俺は見たことがないんだ。でも、自分の独特のアイデアを盛り込むというのは、いつだって良いことだよね。
—キャストの皆さんを見ると、これはあなたの映画だとすぐにわかる内容になっています。
そうだと思う。俺は、自分の好きな人と働きたいからね。ビル(マーレイ)とアダム(ドライバー)、そしてクロエ(セヴィニー)のために、3人の保安官のパートを書いたんだ。そしてスティーヴ・ブシェミのために悪役を作った。なぜなら彼はすごく優しくて、気前が良くて、差別主義者でもないから、彼をめちゃくちゃ性格の悪い差別主義者に仕立て上げて、MAGAハット(Make America Great Againと書かれた帽子)を被せたんだ。彼ならそれをやってくれると思ったからね。

『ザ・デッド・ドント・ダイ』のアダム・ドライバー(©︎Focus Features)
10日間ロフトにこもって、1日3回『大菩薩峠』を見た
—トム・ウェイツには世捨て人の預言者を、ティルダ・スウィントンには刀を持った葬儀屋を演じてもらっています。
(笑)トムと一緒にいるためなら、どんな言い訳だって素晴らしいものになる。彼と俺は電話でよく話すんだけど、トムは西海岸にいるから、あまり頻繁には会えなかった。80年代、彼がニューヨークに住んでいた頃は本当に楽しかった。だからもっと、彼にたくさん会いたかった。
ティルダには、俺が数年前から持っていた、ざっくりとしたアイデアを伝えて、彼女にこう聞いたんだ。小さくて変な町で、演じて見たいキャラクターっている?とね。そうしたら彼女は、「私、葬儀屋を演じてみたいわね!」と即答した。俺は二つ返事で、「OK、スウィントン、君に決定!」と伝えたよ。
—刀も彼女のアイデアだったんですか?
いや、あれは俺がマーシャル・アーツや、それに関わる映画が好きだったからなんだ。そして数年前、俺が禁煙した出来事からも着想を得た。すごく大好きな日本の映画があるんだ。60年代の映画で『大菩薩峠』っていうんだけど……。
—確か仲代達矢が主演で、残忍な侍を演じる映画ですよね。
そう。彼のキャラクターはサイコパスでイカれた侍で、ムカついたからという理由で、簡単に人を殺すんだ。俺が歩こうとした道にいるお前らが悪いんだ、全員消え失せろ!ってね。(刀で人を斬るジェスチャーをしながら語る)最終的に、彼はそういう輩全員と戦って、敵が主人公の手足を切ってしまうんだけど、それでも憎悪に満ち溢れていた主人公は戦い続ける。ものすごく怒りに満ちた、ニヒリスティックな映画なんだよ! それで俺が禁煙をしようと思ったときに、この主人公と似た類の怒りに満ちたんだ。もう35年も煙草を吸っていたから、やめるのはめちゃくちゃ大変だった! そこで何をしたかと言うと、10日間ロフトにこもって、1日3回『大菩薩峠』を見たんだ。
—本当ですか?
禁煙によって生じる怒りを感じた時、DVDを入れて、初めから終わりまでただ見ていた。自分の中に怒りが込み上げるのを感じ、このイカれた、ヒネくれた侍が恐ろしいことをするのを見て、自分自身を浄化した。ものすごく役に立ったよ。それが俺の治療法だったんだ。もし君が家にいて禁煙しようと思ったら、この方法をオススメするね(笑)。
—『ザ・デッド・ドント・ダイ』は、怒りに満ち溢れたコメディです。『大菩薩峠』ほどではありませんが、荒涼としていて、独特の方法で憤怒を表していますね。
そうだね、怒りに満ちた映画だと思う。俺はゾンビに飽き飽きしていたんだよ。まるで、本物のゾンビが俺たちの周りを歩いていて、何にも興味を持たず、世界を終わらせようとしているようにね。実は『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に、何気無いこんなワンシーンがあるんだ。カップルが ゾンビのような人間について話している。なぜなら彼らは、自分の周りにあるものに対して意識を向けていないからだ。そして世界の大部分が、その差し迫った終わりに対して、いかに無意識であるか、を語っている。それは悲しいことだし、イライラするよ。俺は、そんなのはもうウンザリなんだ。だからこの映画では、俺ならではの手段で怒りを表明しているとも言えるね。
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