- 2019年06月20日 12:00
仕事の「気づき」こそコンテンツ! 才流・栗原氏とベイジ・枌谷氏が語るBtoB企業の経営者、マーケターのソーシャルメディア活用術
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BtoB企業はソーシャルメディアで自社商品・サービスを発信しづらいし、クチコミが自発的に生まれづらいからやるべきではない? こうした疑問にマーケターはどう向き合うべきでしょうか。
今回はBtoB企業の経営者としてTwitterやnote、オウンドメディアをフル活用しており、「DOER NOTE」では多数執筆もされる才流(サイル)栗原氏と、最近「BtoBにおけるSNSの可能性と活用のポイント」を書かれたベイジ枌谷氏のお二人に、BtoBの経営者やマーケターが参考にすべきソーシャルメディアの発信について伺ってきました!
Interview / ガイアックスソーシャルメディアラボ編集長 小東真人(@gxsoc_kohigashi)
目次
対談者紹介 お二人のソーシャルメディア発信の狙い ソーシャルメディア発信のきっかけ ソーシャルメディアでどんな情報を発信するか ソーシャルメディアの発信内容はどう思いつくのか 企業のソーシャルメディア担当者に向いているスキルや性格
1. 対談者紹介
株式会社才流代表 栗原康太氏(@kotakurihara)

株式会社ベイジ代表 枌谷力 氏(@sogitani_baigie)

2. お二人のソーシャルメディア発信の狙い
――まずお二人の会社について、またソーシャルメディアで発信していることを簡単に教えてください。
枌谷:株式会社ベイジ代表の枌谷です。うちは「BtoBに強いWeb制作会社」という立ち位置で事業を展開しています。クライアントであるBtoB企業の支援をするなかで蓄積した知見はもちろんなのですが、そもそも僕たちの事業形態自体がBtoBなので、自社のための集客やマーケティングのノウハウも、重要な知見となっています。
我々には事業上の大きな制約があります。それは代表の僕を含め、デザイナーやエンジニア、ディレクターだけで構成されたクリエイター集団であり、自社のマーケティングや営業を専任で担当する人物が存在しない、ということです。つまり、机に座って仕事をしているだけでも勝手にお客さんがやってくる状態を作る必要があるわけですね。
その目的を達成するために、いわゆるインバウンドマーケティングに取り組んできました。SNSもインバウンドマーケティングを効果的に行うための重要なチャネルと捉えており、これまで積極的に活用してきました。
――栗原さんはいかがですか。
栗原:株式会社才流代表の栗原です。うちの会社もBtoB企業のマーケティング戦略の立案や施策の実行支援をしています。僕はマーケティング業界に10年くらいいるのですが、非常にできることは増えていて。
ツールや手法がたくさん出てきて、高度になっている。ただそれをどういう順番で使っていくのか、そもそも誰に向けて届けにいくか、どういうメッセージを発信しにいくかみたいなマーケティングの根幹部分を相談できる相手がいない。それを社内では「ドーナツ化現象」と呼んでいて、ドーナツの真ん中にあたるマーケティングの根幹部分を支援するような会社をやっております。
ソーシャルメディアの活用という文脈だと、去年の5月くらいから本格的にソーシャル上でコンテンツの発信をやり始めました。端的に自社のマーケティング活動としてやろうかなと。
前職はガイアックスでBtoB向けにインバウンドマーケティングの支援をやっていましたが、この時からブログやホワイトペーパーなどのコンテンツを活用したマーケティングをやっていたので効率の良さは感じていたし、去年はIT業界内でTwitterが盛り上がっていたので、「これはチャンスだし参入するぞ」と決めてやり始めました。
枌谷:たしかに、2017年あたりから、それまでFacebookで活動していた方が続々とTwitterに移行してきた印象はありますね。
3. ソーシャルメディア発信のきっかけ
――お二人はソーシャルメディア発信に何を期待されているのか、具体的に聞いても良いですか。
栗原:大きくは二つあります。一つ目は前職でブログを書いておりインバウンドマーケティングをやって成果が出ていたので、今の会社でもやろうと思っていました。ただし良質なコンテンツを作り続ける自信はあったんですけど、立ち上げたばかりの無名の会社なので、コンテンツへの集客導線をどう作ろうかなと。

コンテンツを知ってもらう手段をいろいろ考えたのですが、デジタルマーケティング業界は競合他社がとにかく多い。検索経由の集客を後発で狙うのは難しいじゃないかと当時思って。そうしたら、枌谷さんのコンテンツがめちゃめちゃバズっているのを見つけました。これは本当の話です(笑)
枌谷:そうなんですか(笑)。
栗原:はい。ベイジさんの過去のブログやFacebook、Twitterの動向全部見にいって、なにがバズっている原因なのかを分析して。
当時の仮説はTwitterからバズが発生している、というものでした。僕が前職でインバウンドマーケをやっていたのは2012年、その当時はコンテンツの拡散はTwitterより、どちらかと言えば「はてブ」でした。「今はもしかしたらTwitterなのかも」、そう思ったのがきっかけです。
もう一つはソーシャルウケするコンテンツに、チャンスを感じたからです。
弊社はマーケティングに特化したコンサルティング会社といった立ち位置だと認識しているんですが、コンサルティング会社の王道というとマッキンゼーとかボストンコンサルティンググループとかだと思います。
彼らの発信している情報って、ハーバードビジネスレビューに寄稿したりとか自社で書籍を書いていたりすると思いますが、そういった情報がソーシャル対応あまりしていなくて。また、中小企業向けのコンサルティング会社のブログを見にいくと、コンテンツの質は高いけど、今っぽくない。
逆にこれを今っぽく、ソーシャルウケするクオリティーでコンテンツを出したら、彼らと同じように顧客を取れるんじゃないかなと思ったので。派⼿にいうと「コンサルティングファームの現代版」みたいな。
ハーバードビジネスレビューは買うけど読まなかったりしますよね。これからの世代の人は、あのフォーマットに脳がついていかないんじゃないかという仮説があったので、「スマホで見られるハーバードビジネスレビュー」みたいなコンテンツにチャンスを感じたんです。
枌谷:なるほど、すごい。
――一方で枌谷さんはどういったきっかけで。ソーシャル始められたんですか。

枌谷: Facebookは2011年頃から積極的に使っていました。当初は仕事のネットワーク作りが目的でしたが、そのうち、ブログの配信先として重要な役割を果たすようになりました。
かつてはエッジランクなどといわれていたFacebookのアルゴリズムは、発信者が自力で投稿をコントロールする余地があるんですよね。
たとえば、Facebookでのブログの告知方法について、火曜から木曜の間の8時か17時の30分前にアップする、記事と関係ない「良い出来事」を投稿に混ぜる、投稿に対するコメントは、翌日の8時か昼の12時、17時にする、という具合に、僕のなかでは明確なルールがあったりします。これはすべて、Facebookのアルゴリズムを意識した上での自分ルールです。
まずFacebookを基点にブログのLikeやコメントが増えていくと、はてなブックマーク(はてブ)に飛び火します。はてブに火が付くと、Botなども介在してTwitterでバズが回りだします。ここまでくると、Facebook、はてブ、Twitterが相乗効果を出しながらバズが広がっていくんです。

こういうバズを発火させる最初の燃料投下場所としては自力で投稿をコントロールできるFacebookが最適だと思い、ずっと重視していました。
――ではTwitterを今のように使い始めたのは、どんなきっかけが?
枌谷:Twitterは日本上陸した頃にアカウントだけは作っていましたが、ほとんど放置していました。当時のタイムラインはほぼ時系列で、自分で発信をコントロールできる余地が少ないと思っていたからです。ですが2016年末頃に本格的にやろうと決めました。2017年にIT業界で盛り上がるより、ちょっと早かった感じですかね。
なぜ僕がTwitterに本腰を入れ始めたかは、実は全然戦略的ではなくて。ある日うちの社員が、自分が読んだ本を細かくまとめてTwitterで小さくアウトプットしているのを見つけたんです。それを見て僕も「面白いな」と思って、真似し始めたのがきっかけです。
僕やベイジという会社は、なんでもかんでも戦略的に考えて行動してるって思われてる節もあるのですが、実はそうでもなくて。ブログもTwitterも最初の動機は「面白そう」でした。興味本位で始めたことの中から、うまく回り始るものが出てくるんです。そして、ある程度成果が見えるようになってから、ちゃんと戦略に組み込んでいきます。だからあまり大きな失敗しない。始める動機は大抵、あまり戦略的じゃないんです。
――面白そうで始めたTwitterですが、手応えはどこで感じていましたか?
枌谷:最初は、ちょっとしたツイートでイイネが100くらい付いて、これはブログよりも手間もかからず簡単だなって思いました。そうして書き方を色々試していく中で、何万もリツイートされ、数百万もインプレッションされ、「こりゃ、すごいな」と。
ある時からは「1万フォロワーを目標にしよう」と思い始めて、ツイートに対する反応やフォロワー数の変化を見ながらずっと実験をし続けていきました。1万フォロワーという目標を意識するようになったのは、本腰を入れてやり始めて数か月くらいしてからじゃないでしょうか。
でもその時も「これはビジネスになる」というより、「これは面白いぞ」くらいの感覚でしたけどね。
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