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「ジャパンディスプレイ国内取引状況」調査

 (株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、以下JDI)の再建が迷走している。JDIは4月12日、台中連合から金融支援を受けると発表したが、台中連合の機関決定が当初スケジュールより遅延。5月30日、官民ファンドの(株)INCJ(TSR企業コード:033865507)などが、台中連合の支援を後押しするためJDIへの追加支援を決定した。しかし、6月17日に連合に参加していた台湾の電子部品メーカーTPK Holdings Co., Ltd.が金融支援から撤退する意向を表明した。
 この間、JDIは白山工場の一時休業や1,200人規模の人員削減などのリストラ策を打ち出したが、JDIの取引先は情報収集に奔走する日々が続いている。

 東京商工リサーチ(TSR)は、JDIと持分法適用の(株)JOLED(TSR企業コード:300600798)と直接取引のある1次、間接取引の2次の取引先数を調査した。取引先総数は仕入先合計が1,172社(重複除く)、販売先合計は143社(重複除く)だった。
 JDIグループと直接取引している1次仕入先(199社)のうち、製造業が95社(構成比47.7%)とほぼ半数を占めた。1次仕入先の本社地は、東京都63社(構成比31.6%)を占め、一時休業が予定されている白山工場が所在する石川県は8社(同4.0%)だった。

※本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、ジャパンディスプレイとJOLED(以下、JDIグループ)の仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
※1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。

資本金別 1次仕入先は1千万円以上が約9割を占める

 JDIグループの取引先を資本金別でみると、1次仕入先(199社)では、1千万円以上5千万円未満が80社(構成比40.2%)で最も多かった。1千万円以上は176社(同88.4%)にのぼり、資本金が比較的大きな企業との取引が多い。


従業員数別 1次仕入先は100人以上が3割超

 JDIグループの取引先を従業員数別でみると、1次仕入先(199社)では100名以上が66社(構成比33.1%)にのぼる。

JDIグループの取引先 1次先の最多業種は仕入・販売ともに製造業

 JDIグループの取引先を産業別でみると、直接取引のある1次仕入先(199社)では、最多は製造業の95社(構成比47.7%)で最も多い。以下、卸売業の39社(同19.6%)、サービス業他の27社(同13.5%)と続く。間接取引のある2次仕入先(998社)でも、最多は製造業で500社(構成比50.1%)だった。次いで卸売業の315社(同31.5%)、サービス業他の62社(同6.2%)。

 販売先では、1次販売先(16社)のうち、最多は製造業の8社(構成比50.0%)。以下、卸売業の7社(同43.7%)、サービス業他の1社(同6.2%)だった。

 産業を細分化した業種別でみると、1次仕入先の最多は、半導体製造装置製造業の12社(同6.0%)。次いで、受託開発ソフトウェア業の11社(同5.5%)、電気機械器具卸売業の10社(同5.0%)と続く。


取引先の本社地 1次仕入先・販売先ともに関東および大都市圏に集中

 JDIグループの取引先を本社所在の地区別でみると、1次・2次仕入先、1次・2次販売先ともに最多は関東で5割以上を占めた。

 茂原工場のある千葉県は、1次仕入先が14社、2次仕入先が31社だった。また、白山工場を含めた「石川サイト」が所在する石川県は、1次仕入先が8社だった。

 JDIの金融債務にはINCJ(旧・産業革新機構)が連帯保証し、毎年夏に保証を含めたコミットメントラインの更改時期を迎える。JDIは、夏場に最大の得意先であるアップル社(米国)向けの製品の量産などで資金需要が活発になり、この時期はJDIの取引先からTSRに問い合わせが多く寄せられる。取引先の担当者は「夏の風物詩」と受け止めるが、例年こうした展開が繰り返されてきた。

 だが、今年は様相が大きく異なる。「iPhoneXR」向けの「フルアクティブ」と呼ばれる狭額縁の液晶は、iPhoneの世界的な販売鈍化で受注が低迷。工場稼働率も低下し、そのたびに工場資産の減損を実施したものの、「総利益率(粗利率)はマイナス、自己資本比率は視力検査並みの水準」(JDIの取引先)と語られるほど悪化している。さらに、5月30日に公表されたINCJなどの追加支援は、対価として成長期待の高いJOLEDを手放すことを決めた。JDIの関係者は、引き続きJOLEDとはビジネスパートナーに変わりないことを強調するが、売れる資産の「売り尽くし」感は否めない。

 「ジャパンディスプレイ」の商号で再出発した「日の丸」ディスプレイは、台湾と中国企業のコンソーシアム傘下に入ってでも企業存続の道を選んだ。だが、そのスキームも瓦解しつつある。

 現社名となった2013年当時から、液晶産業の勢力図は大きく変わった。「日の丸であるが故に取引から撤退できない」、「事実上の政府支援がついており、通常とは異なる与信判断が必要」と漏らす取引先の担当者もおり、依然として国策会社のイメージが根底にあるようだ。
 先行きが不透明なJDIの再建だけに、JDIは迅速かつ正確な情報開示が求められている。

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