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スーパー業界で不動の地位を築くオオゼキ 人気の秘訣は「お節介すぎる」接客だった - 土屋礼央のじっくり聞くと

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土屋礼央の「じっくり聞くと」、今回訪れたのは激戦のスーパーマーケット業界のなかで、幅広い支持を集める株式会社・オオゼキ。

普段からオオゼキに通い詰めているという土屋礼央が、ゼネラルマネージャーの仲舘恒己さんに、強豪ひしめく東京都内でお客の心を掴む人気店になった秘訣はなにか、ほかの店にはない魅力はなにか、「じっくり」聞いてみた。

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メロンが580円 安くて良いものを売るオオゼキの秘訣は?

土屋:下北沢=オオゼキと言っても過言ではないくらいランドマーク的な存在のスーパーマーケット、オオゼキさんにやってまいりました。

今日はゼネラルマネージャーの仲舘恒己さんにじっくりお話を聞きたいと思っております。

仲舘:よろしくお願いいたします。

土屋:ただいま午後3時。この時間のスーパーはあまり混んでいない印象ですが、オオゼキさんはいつ来ても混んでいます。この時間もすごいですね。

仲舘:おかげ様で毎日たくさんのお客様に来ていただいているので、本当にうれしい限りです。これでも今が一番空いている時間帯なんです。これから日も長くなってくるので、夕方の5〜6時にかけて、レジに行列ができるくらい混んできます。

土屋:入口の生鮮食品がもう豪華!自分の家の話で恐縮ですが、一昨日、妻がオオゼキさんに買い物に行った際、「メロンがものすごく安く売っていた!」と驚いていました。

これだ!580円! 信じられない。


普段は贅沢品かなと思うものでも、「オオゼキだったら手が届くかもしれない」と期待して来ちゃうんですよね。品質が良くて値段が高いスーパーはあります。でも、「安くて品質が良い」というのはなぜでしょうか。

仲舘:オオゼキでは「鮮度・品質・品揃え」、の3つの原則を大切にしています。

土屋:鮮度・品質・品揃え?

仲舘:はい。品質の良さや大きさも含めて、鮮度・品質・品揃えが良いものを安く市場から買って、お客様に低価で提供していく。これがうちの会社の企業ポリシーです。

土屋:企業ポリシー! 僕が大好きな言葉です。

仲舘:オオゼキは各店舗によって仕入れ方法が違います。下北沢は地域柄、食のプロもたくさん通われるので、他の店舗と少し違い、プロ向けの食品を仕入れるなど工夫しています。

土屋:そうなんですね。では、生鮮食品売り場を見学させてもらいながら、仕入れについて担当の方にじっくり聞いてみましょう。

山盛りの陳列で売り場に活気を


土屋:個人的にずっと疑問に思っていたことなんですが、スーパーマーケットの生鮮食品売り場は1階にある印象が強い。でも、下北沢店は2階にありますよね。

仲舘:オオゼキは生鮮食品が目玉の会社なので、お肉屋さんと魚屋さんはあえて2階に配置しました。

土屋:そういうことですか! 陳列はいつも山盛りですね。

仲舘:礼央さんは陳列が山盛りのスーパーにどんなイメージを抱きますか?

土屋:活気がある印象を受けます。

仲舘:おっしゃる通りで、「とにかく良いものをたくさん積んで活気を売り場に出せ」というのが先代から言われ続けてきたことなんです。商品が少ないと「今日は少ない!」とお客さまから怒られます。

土屋:ソーセージが山盛りです! こんなに仕入れて大丈夫ですか?


仲舘:大丈夫です。特売だったら、山盛りに陳列していても足りなくなってしまうこともよくあります。

大切なのは売り場のビジュアル 4万円の高級商品も


土屋:精肉コーナーまでやってきました。今日は大きいお肉がありますね。ここまで豪華なお肉、普通のスーパーではなかなか見たことがありません。

仲舘:品質もさることながら、スーパーではビジュアルが大事です。「こんなの他のお店じゃ置いてないよね」という印象を持ってもらえるようにこだわっています。例えば4万円の商品を並べる時もあります。売れるか売れないはさておいて。

土屋:売れるか売れないかさておいて(笑)。

仲舘:さておいてですね。お子さまが来店した時に、最初はこういう形で仕入れたけど、最終的にはこういう風に切ったり加工したりして売っているんだよと説明できるスタイルもいいなと思って塊肉のまま商品を並べることもあります。

土屋:ちょっとした水族館とか、動物園的な感覚ですね。

仲舘:やっぱり「楽しい」が一番ですから。

「売り場の決定権は現場に」がオオゼキの強み

土屋: 鮮魚コーナーにやってきました。オオゼキさんの鮮魚売り場のコンセプトは?


仲舘:毎日、市場で新鮮なものをたくさん買って、安く売る。これが一番重要です。

土屋:普通に買ってきても安く売ることはできませんよね。安くする工夫は?

仲舘:私たちが最も頑張っているところなんですが、例えば下北沢店だと、鮮魚コーナーの担当チーフが市場に行って「これだけたくさん買うから、安く売ってください!」と交渉します。オオゼキでは売り場の担当チーフが全ての決裁権を持っているため、並べられている商品のほとんどが、チーフが選んだ品物なんです。

土屋:通常、仕入れの決定権は社長や店長などの偉い人にあると思いますが、オオゼキさんでは各売り場のチーフに決定権があるんですか?

鮮魚コーナーの担当チーフ、清水敦さんにお聞きしましょう。本当ですか?


清水:はい、ここの売り場の決定権は私にあります。

仲舘:オオゼキの強みの1つがこの担当者に決定権を持たせるシステムです。マネージャーの僕が「こんな商品を仕入れるなんてダメだよ」と言っても、チーフのシミズが「これは売れるんです」、「すごくいい商品だから仕入れさせてください」と言えば、チーフの意見が通ります。よくケンカしたもんね、昔。

清水:ケンカしましたね(笑)。


土屋:でも、売れなかったら怒られるんですよね?

清水:怒られることはありません。

仲舘:最終的には全て売り切ってしまうんです。実はオオゼキと他のスーパーマーケットさんの違うところが、「正社員の比率の高さ」。下北沢店に関しては9割近くの店員が正社員です。魚売り場に関してはほぼ全員が社員であり、プロフェッショナルです。

土屋:まるで清水さんの魚屋さんがスーパーのなかにあるといった感覚ですね。


土屋:ほかの店舗でも感じたんですが、オオゼキの店員さんは売っている姿がすごく楽しそう。イキイキ働かれている印象があります。

仲舘:自分で選び、買ってきた商品がたくさん売れることはとても嬉しいですからね。自分で仕入れてきたものなので売り上げには責任が生じますが、他人にやらされている訳ではない。そこが働く楽しさにつながっているんだと思います。

出店する場所も、とにかくお客さまにたくさん来ていただける場所を選んでいます。お客様が多い方が売る側のテンションも上がりますよね。

土屋:だから店内に活気があるんだ! では清水さん、今日の一押し商品を教えてください。

清水:今日の一押しは富山のホタルイカですね。この期間しか販売できないものです。富山産はミソが多く、とても美味しいですよ。


土屋:一押し商品が、やっぱり一番目に付く場所に置かれるんですね。魚は丸ごと買ったら、おろしてくれるんですか?

仲舘:販売からおろすところまで、オオゼキではすべてやります。それから、オオゼキの鮮魚コーナーのチーフは生魚以外も直接見て仕入れします。干物屋さんに行ったり、魚卵屋さんに行ったり。実際に食べてみて、美味しかったら定番商品にしてみようかなどいろいろ考えているんです。

創業当初は乾物屋 オオゼキの名前の由来は?


店内を歩き、オオゼキの活気を肌で感じた土屋礼央。気になったのは「安くて良いものを売る仕組み」だ。下北沢店の事務所に場所を移し、仲舘さんにオオゼキのことをさらにじっくり聞いてみた。

土屋:あらためて根掘り葉掘り、じっくり聞かせていただきます。まず、オオゼキの創業はいつでしょうか。

仲舘:もともとは乾物屋として、昭和32年、東急電鉄世田谷線の松原駅を挟んで現在の大関松原店の反対側の地区で創業しました。当時は生鮮食料品とはまったくの無縁でした。

創業者の佐藤達雄がリヤカーを引いて野菜を売り歩くなど、じょじょに今のスーパーマーケットの形に近づけていったと聞いています。

土屋:オオゼキという名前はどこから来ているんですか?

仲舘:諸説があります。1つは「相撲の大関説」です。「横綱のひとつ下の”大関”で常に上を目指す」という意味を込めて名付けたと。他にはオオゼキ屋という屋号を別の人からもらったという説もあります。

土屋:僕は普段から、オオゼキさんをよく使わせてもらっています。先日、レジで会計が終わって袋詰めしていたら、壁に先代の「全部お客さんに還元しよう」、「余計な儲けは少なくして、お客さんに喜んでもらおう」などの言葉が書いてあったのを見つけて、感動しました。

仲舘:お客さまに毎日、冷蔵庫代わりに来ていただくために、自分たちの利益は極力少なくして、その分、お客様にどんどん還元しようという先代の理念を表した言葉です。

株式会社 オオゼキ

土屋:だからこんなに安くて質がいいんですね。オオゼキの企業理念は先代社長の想いを受け継いでいるわけか。

仲舘:仕入れてきたものは値下げしてもいいから、とにかくその日のうちに売り切るという「商い」が自分たちの中で原点です。この「商い」の精神は先ほど見ていただいた生鮮食品売り場に一番よく出ているかもしれません。

土屋:昼間に買い物に来て、棚に商品が山盛りに並べられているのを見るとワクワクします。閉店間際はあの大量の商品も少なくなりますか?

仲舘:やっぱり最後は少なくなっています。先程ご覧になったときにメロンなどが置いてあった店頭入口の商品も、少なくなってきたら陳列スペースをクローズして縮小していきます。

大根1本をどこまで値下げできるか 市場での交渉がオオゼキの醍醐味


土屋:では、開店してすぐがお店に並ぶものが一番多いということでしょうか?

仲舘:そういうわけでもないんです。まず朝一の便でオープンまでに必要な品揃えを整えます。問題は2回目の便以降。俗に言う値段の格差が生じるところです。

土屋:値段の格差?

仲舘:1回目の便では「これを売ってください」と電話やFAXで市場に注文します。でも2回目以降はチーフが現場に行って、仕入れの交渉を行うんです。これがオオゼキで働く醍醐味のひとつです。

例えば、大根1本が朝の便で150円だったとします。この価格をどこまで下げられるのか。100円にできるのか50円にできるのかが交渉の腕の見せ所です。下北沢店みたいにお客様がたくさん来ていただける店舗では、量も多く捌けるので「200ケース買うから、できるだけ下げて欲しい」といった交渉をします。

土屋:なるほど! 朝は定価で売って、それ以降は市場もその日のうちに売りさばきたい心理が働くから交渉できるわけですね。この形になったのはいつからですか?

仲舘:創業当時からです。自分たちで仕入れてきたものを自分たちでしっかり売る。責任者である店長も含めてスタッフ全員で力を合わせてしっかりと売り切っていくというのがオオゼキスタイルです。

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